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極上梅干さん、さようなら

極上梅干さん、さようなら

紀州の極上梅干をいただいた。パッケージの表を見ると、「有機肥料を主体とした土作り、漬け込み、天日干し、加工まで一粒一粒心を込めた手作り品」と書いてある。なんと恐れ多い、ありがたいことか! しかも減農薬、紀州南高梅のみを使用している、というから梅干好きにはたまらない。見た目は、すぐ口に2、3粒放り込みたくなるような美しさである。

ところが、これが私の悪い癖。必ずパッケージをひっくり返し、裏に記載されている原材料名を見てしまうのだ。これでたいがいの梅干とは、「さようなら」という羽目になるが、この紀州の極上梅干も例外ではなかった。食塩、三温糖、果糖ブドウ糖液糖、水あめ、酒精、みりん、醸造酢、アミノ酸、ビタミンv、B1、しそ色素とある。

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パッケージの裏を見るまではよかった、紀州の極上梅干

まあ、これはお菓子の一部と思えばいいのかもしれない。だが、それにしても、どうしてこんなにりっぱな素材にこれほどいろいろな甘味料、添加物を加え、調味しなければならないのだろう、と悲しくなる。これが昔ながらのしそと天日塩だけだったら、どんなにいいことか。第一、これでは病人には勧められない。でも今市販されている梅干のほとんどはこういう作り方をされていて、こういう味でないと売れないのだから、生産者ばかりを非難するわけにはいかないが……。

「医食同源」というが、梅干は日本古来の薬でもある。軽い食あたりやめまい、二日酔い、乗り物酔い、気つけ、などなど、あらゆる体調不良に効果がある。番茶に一粒入れて飲めば、酸性化した体を元に戻してくれるし、特に軽い症状には即効性のある伝統的な脅威の保存食といえる。しかし、そんな梅干も、戦後、特にここ何年かのうちに、添加物漬けの食べ物に変わってしまった。

正真正銘、無添加の手作り梅干

そういうわけで、梅干と言えば、私の場合、カリフォルニア在住のマクロの先生から船便で送ってもらっている。先生の梅干は、先生自ら自然栽培し、天日干しにしたシンプルなもの。だから、安全でおいしい。

せっかくいただいた紀州の極上梅干だが、残念ながら、さよならとあいなった。