突然ですが、みなさんは最近図書館に行きましたか? 秋も終わりにさしかかっていますが、図書館で本を借りて読書の季節を満喫したという方も多いかもしれません。
近年、人びとの活字離れを指摘する声がある一方で、実はここ数年の日本における図書館利用人数や帯出数は徐々に増加しているそうですが、国民の平均利用回数は、まだまだ年1回~2回程度。(出典元)
本が好きな人にとって、図書館は秘密基地のようなワクワクする場所ですが、本にあまり興味がない人にとってはあまり身近な存在ではないようです。
greenz.jpではこれまでにも、まるで街のリビングのような「Halifax Central Library」や、ポップアップ型図書館の「Bibliomotocarro」などを紹介してきましたが、どれも「図書館をもっとオープンな場所にしたい!」という思いのもとで生まれたものばかり。
今回は同じ思いで、緑豊かで開放感あふれる学びの場としての図書館を提案する「Green Library」をご紹介します!
「Green Library」を提案しているのは、フランスのインテリアデザイナー、Pierre Ciretさん(以下、ピエールさん)。
ピエールさんが考えたのは、自然光が豊かに取り入れられ多くの自然に囲まれた、誰もが集いたくなる学びの場。本棚も周りの景色になじむデザインで配置をされ、図書館というよりは、まるで公園のような雰囲気です。
図書館のイメージ図
館内は2階建てになっており、広い窓から明るい日が差し込みます。
図書館というよりは、まるで公園のよう!
背よりも高い本棚がずらっと並ぶ暗い図書館とは、一線を画す印象を与える「Green Library」。しかしこのアイデアの特徴は、こういった真新しさだけではありません。実はこの図書館、フランス南部ニースにあるAvenue Thiersの古い駅舎を新しい図書館として蘇らせようとしているのです!
最近日本でも「公共R不動産」などを通じて、公共空間や遊休資産の有効活用に注目が集まっていますが、それらを再生するときのポイントは、元の建物の持つ強みを活かすこと。
実際ピエールさんのスケッチで描かれている、窓が大きくて天井が高く、館内が広々としたデザインは駅舎ならではの利点を活かして考えられています。そしてなるべく元の駅舎を活かすために、窓ガラスや鉄柱などは、駅に使われていたものを再利用することも考えているそう。
図書館の断面図。ヨーロッパらしい駅の名残がうかがえます。
ピエールさんは、自身のアイデアについてこう語ります。
図書館をデザインするときに大事なのは、まず何より、蔵書をきちんと保管する環境をつくることです。でもこのアイデアでは、人びとに図書館を学びの場としてだけでなく、多目的に利用してもらえる魅力ある場所にすることも、同じぐらい大事にしました。
太陽の光を最大限に取り入れた緑豊かな空間でリラックスをしてもいいし、学習室や読書室で勉強に励んでもいいし、対話やワークショップを行う場としても使ってもらってもいい。
私はこのアイデアを実現させることで、公共空間の持つ可能性を探っていきたいと考えているんです。
デザイナーのピエールさん
ピエールさんのアイデアが実現するためには、陽の光による本の日焼け対策など、まだまだ解決しなければならない課題がありそうです。
しかしこのアイデアが実現したら、図書館の機能を拡張することの持つ可能性が示され、遊休資産の有効活用も進んでいくのではないでしょうか? そしてこのような、一見かけ離れた問題の組み合わせが、意外な解決策を導き出すということを多くの人々に気づかせてくれるかもしれません。
[via Citylab, archilovers]