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産婦人科が贈る、ママのお腹と一緒に育つ本。 世界三大広告賞を制覇の「MOTHER BOOK」とは?

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妊娠。それは、とても神秘的で愛に満ちた素晴らしい経験です。

「本当に赤ちゃんがお腹にいるの?」と信じられない気持ち、「ちゃんと生きているかな」という不安な気持ち、初めてお腹の中で赤ちゃんが動いたことを感じた時の感動……。

様々な感情を経験する妊娠期間はとても濃密で、一瞬一瞬が愛おしいもの。でも過ぎてしまうとあっという間で、日々の細かい記録を残していない妊婦さんが多いようです。

そんな妊娠期間の記録を世界でただ1冊の本として残すことができるのが、今日ご紹介する『MOTHER BOOK』。

かけがえのない妊娠期間に、ママのお腹と一緒に“育って”いく、宝物のような美しさを放つユニークなビジュアルブックです。

世界が認めたメッセージ性とクラフトの美しさ

へその緒を入れるケースをイメージしてつくられた木箱。フタを開けると、一冊の白い本が現れます。これが、MOTHER BOOK。そっと手に取ると、ずっしりと図鑑くらいの厚さと重さを感じます。
 
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MOTHER BOOKの外観

1ページで一週間を表し、約40週の妊娠期間に合わせて40ページで構成されているこの本。

各ページの右側には、

1. さあ、新しい生命のはじまりです。
2. 赤ちゃんが男の子か女の子か決まります。

・ 
7. 心拍を確認できるようになります。

というように、一週ごとのおなかの中の赤ちゃんの状態が表現されています。そして左側はフリースペース。妊婦さんが自由に赤ちゃんへの想いを描くことができます。
 
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MOTHER BOOKの1ページ目

そしてこの本の最大の特徴は“ママのお腹とともに育つ”こと。週が進みページをめくるごとに、本の中のお腹がだんだん膨らんでいく立体的な仕掛けが施されているのです。

こちらの動画で、その“育つ”様子をあなたも体感してみてください。
 

MOTHER BOOKは、そのメッセージ性やクラフトの美しさが評価され、「ニューヨークフェスティバル」のデザイン部門の金賞を皮切りに、世界三大広告賞のグランプリとゴールド受賞で制覇。

「Clio」「One Show」のデザイン部門で金賞、そして「カンヌ広告祭」で今年創設されたヘルスケア部門のグランプリに輝きました。

少子化時代に妊娠・出産をより素晴らしいものにするために

MOTHER BOOKはどのようにして誕生し、現在の形になったのでしょうか。

この輝かしい快挙までのストーリーを、生みの親である「医療法人 葵鐘会(きしょうかい)」理事で広報担当の永友一成さんと、「株式会社電通名古屋支社」の土橋通仁さんに伺いました。
 
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医療法人 葵鐘会 理事で広報担当の永友一成さん

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株式会社 電通 名古屋支社の土橋通仁さん

葵鐘会」は、どこでも高いレベルの医療とサービスを受けられることを目指し、愛知県と岐阜県を中心に産科医療施設を複数運営している医療法人。

「少子化時代に、産科医療の大切さに注目いただけるような話題を発信したい」という永友さんの想いに共感した土橋さんは、

土橋さん 出産までの十月十日をもっと希少価値が高く、母子ともに大切な思い出となるように、そして出産というものがもっとかけがえのないもので、「人類にとって大切なもの」ということを話題化させることが、私たちの使命なのでは。

と、葵鐘会広報部をはじめ、地元名古屋のクリエイティブチーム、電通制作チームの女性や、コピーライターの女性(当時、ちょうど妊婦さんだったのだとか)の意見を積極的に取り入れて検討を重ねました。

その結果、多くのお母さんが熱心につける「育児日記」をヒントに、妊娠中を記録することができるMOTHER BOOKの構想が立ち上がります。

当初発想したのは、妊娠期間の270日分の日めくりカレンダーのスタイルのもの。270枚分の紙を切った形のたたき台をつくりましたが、美しい形にするためには厚みのある紙を使用しなければならず、ずっしりと重く、カレンダーとしては使いにくいものになってしまいました。

また、胎児の成長にも個人差があることから、1週ごとで構成する40ページの母子手帳のスタイルにまとめることに。

土橋さん 制作チームの中ではそのように少し妥協した部分があったので、40ページになってもクラフトとしての美しさには徹底的にこだわろうという意識で製作に取り組みました。

最も難関だったのは、やはりお腹が育っていく画期的なデザインの実現でした。
 
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何度も何度も試作を重ねました。

土橋さん カッティングと製本が非常に難しく、何度も試行錯誤を繰り返しました。製本技術と印刷技術を駆使し試作を重ねた結果、現在の形が完成したんです。

ひとりひとりが限られた時間の中で、精一杯努力したものがこういった形となりました。本当にいろんなスタッフの協力のおかげで、つくることができたと思います。ひとりでも欠けていたら、この作品は仕上がりませんでした。

と土橋さん。MOTHER BOOKを完成させたのは、「妊婦さんと赤ちゃんのためにいいものをつくりたい」という想いを共有し、その想いを実現することにこだわり抜いたチーム力でした。

いつまでも手元に残してほしいから。 “本”という形へのこだわり

昨今、妊娠や育児関連の情報はネットに溢れ、記録できるアプリも数多くあります。しかしMOTHER BOOKは、あえて“本”というアナログな形にこだわってつくられました。そこには、

人生の最大イベントの一つである妊娠・出産体験をより素晴らしいものにしていただきたい。

お子さんが大きくなってからも、いつまでも手元に残してほしい。

という葵鐘会の想いがこめられています。

パソコンやスマートフォンを使って記録するのと比べて、ペンを持ち美しい紙とデザインのMOTHER BOOKに書くという行為は少しだけ「書くぞ」という気合いが必要です。

その少し高いハードルが、妊婦さんがお腹の中の赤ちゃんや自分の気持ちの変化に、心を落ち着かせて向き合うキッカケになるかもしれません。

実際に使ってみた妊婦さんからも、

各ページにエコー画像や、思い出の写真を貼ったり、独自にデザインを書き加えたりして、気づけば世界で唯一の本ができあがっていました。

子育てで行き詰まった時に、読み返してみたりすると、「おなかにいる我が子への想い」を思い出すことで原点に立ち戻り、気持ちを整えることができました。

といった声が届いているそうです。

MOTHER BOOKは医療法人葵鐘会の産院で分娩予約をした妊婦さんに無料で贈られる他、2014年9月よりネット販売も開始しました。

数に限りがあるそうなので、気になる方はお早めに。妊娠した方への贈り物にも最適ですね。
 
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妊娠・出産は大変というイメージから積極的になれない方もいるはず。でも、この美しい本に出会った妊婦さんは、それぞれのスペシャルな体験を綴ることで、大変さを圧倒的に上回るほどの尊さや素晴らしさを感じることができるでしょう。

社会課題を解決するのは、ときには制度や仕組みそのものよりも、クリエイティブの力なのかもしれません。

(Text: namai hitomi)