ISSUE ソーシャルグッド

2 years ago - 2013.12.10

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アイデアをアイデアで終わらせない!ワークショップで社会起業家を応援するコミュニティ「MakeSense」が日本でもスタート!

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左から山本倫広さん、藤本太一さん、モリジュンヤさん

高齢化社会や東日本大震災もあり、「課題先進国」とも言われることもある日本。

特に震災以後は、社会課題について考える機会も増え、NPOやソーシャルビジネスが少しずつ盛り上がっているように思います。しかしながら、活動資金やメンバー、情報発信など社会的な活動を続けていくには課題や悩みもつきもの。

世界に目を向けてみると、フランス・パリからスタートした「MakeSense」というオープンコミュニティでは、リアルの場づくりとSNSを活用して、社会起業家の課題や悩みを解決する活動を行っています。

「MakeSense」は世界で50ヵ国ほどに拠点を持ち、ピッチイベントやアイデアブレストなどワークショップの開催回数は450回以上。総計参加者数は約7,000人を超えるなど急速にそのムーブメントは広がっています。


「MakeSense」の紹介映像(英語)

「日本にもないの?」と思った方にグッドニュース!実はその「MakeSense」が日本でも本格的に活動をスタートするのです。そこで今回は、「MakeSense Tokyo」を主宰する藤本太一さん、モリジュンヤさん、そしてこのコミュニティとコラボレーションをしていくツクルバで「THE FANCLUB」を主宰している山本倫広さんにお話を伺いました。

日本には社会起業家が育っていけるエコシステムがない?

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藤本太一さん(以下、タイチ) ぼくは「Happiness Architecht(ハピネス・アーキテクト)」という会社を経営していて、ロンドンを拠点にコラボレーション事業を行っています。greenz.jpでは、「ホームレス社長(Homeless CEO)」という企画でも紹介されたり、パートナーとしてもご一緒しています。

コラボレーションを行う時に、思いとか情熱とかお金じゃない部分にインセンティブがある場合が多く、比較的ひとは集まるのですがなかなか長続きしないんですよね。だから、思いついたときにすぐ手を動かすことが大事になります。さらには、コラボレーションしていくときには、分野を横断した人と出会うことが大事になってきます。

コラボレーション事業をスタートする前、2011年頃にはテック系の事業を行っていました。しかし、事業がうまくいかず、コミュニティづくりに力を入れ始めました。その頃に「社会起業家」という言葉を知り、自分の活動は社会起業的だなと思いました。

「MakeSense」に出会ったのは、「オックスフォードジャム」という社会起業家の集まるカジュアルなカンファレンスでした。そのときの登壇者の一人が「MakeSense」創設者のクリスチャンだったんです。

その後、ロンドンのコミュニティのミートアップやワークショップにも参加するようになり、社会起業家のネットワークを持つことができました。イギリスではそのような活動に参加する一方で、日本でも震災後、「若い人が社会的起業をしているけれども、しっかりと育っていけるエコシステムがない」という話を聞いたんです。

そこで、「MakeSense」ならお互い育て上げていけるような土壌が作れるのではないかと思い、今年の4月から「MakeSense Tokyo」の活動を小さくはじめました。そして、日本でこの活動をはじめるにあたって声をかけたのがモリジュンヤさんでした。

海外と日本で違いはあるけど差はない

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モリ 僕はタイチさんからお話を伺うまで「MakeSense」については知りませんでした。でも、話を伺ってみて、最初に感じたのは、コミュニティやワークショップなどを通じて社会起業家の問題解決をしているこの活動が面白そうだということ。

その東京版をやりたいと言われたときも、とても共感しました。その理由はいくつかあります。1つは以前から、僕は社会起業家やNPOの活動をサポートしたいという思いを持って活動してきたこと。多くの団体が特にコミュニケーション面に課題を抱えていることが多いと感じたことが、greenz.jpのようなメディアに携わり始めたきっかけでもあります。

もう1つは、これまでに「ミラツク」などのワークショップやフューチャーセッションに参加したことがあり、これらの手法にも社会起業家やNPOの活動の課題を解決するために、効果を発揮すると感じたんです。

それぞれが頭を悩まして、相談相手を探すよりも、ワークショップを通じて、課題を抱えている人と解決したいと思っている人が一堂に会して、解決に向かうためにアイデアを出し合ったり、そういう場を設けることで、確実にその社会課題にトライする人たちの状況がよくなると感じていました。

MakeSenseがすごいと思うのはそのメソッドやネットワークです。メディアの仕事をしていると、海外のことを日本語で紹介することもありますが、どうしても事例紹介になってしまうのがもったいないと感じていました。海外のネットワークにも接続し、海外で似たいような課題を抱えていた人からアドバイスをもらったり、逆に日本から海外にアドバイスすることもできるようにしたいと考えています。そうやって、「海外と日本で違いはあるけど差はない」ということをもっと広めていきたいですね。

MakeSenseではオフライン・オンライン両方のコミュニティがあるので海外情報をタイムラグなくやり取りするだけでなく、ワークショップを通じてアクションにまで落とし込めるのが良いと思っています。こうした理由から、タイチさんから誘われたときに一緒にやろうと決めました。

同じ分野での「競合」よりも「共創」を目指す

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タイチ MakeSenseの場合は、ほかの地域のナレッジをローカライズできます。世界中の拠点でいろんなチャレンジが行われているので、共有しないともったいない。せっかくネットワークとコミュニティがあるんだから、世界中で共有して、問題解決が早くなるのであればどんどんやっていくべきだと思います。

モリ 一方で、日本に目を向けてみると、社会起業支援があまりつながりを持っていないような気がしています。様々なNPO支援や助成団体、インキュベーションなどありますが、それを横断してつなげることができたらと思います。

MakeSenseの価値はワークショップなどを通じて、つながりを生み出すことにもあると思うので、日本の社会起業家やNPOのコミュニティを横断的につなげて、全体的に盛り上げていきたいです。

タイチ また、世界と比べて日本の問題は、コミュニティ同士が競合していることが挙げられます。同じ分野の人たちがパイを奪い合うよりも、MakeSenseではワークショップなどの場を設け、オープンにナレッジを共有して問題解決の促進を目指すという方向に持っていけるように活動を展開したいです。

そのために大事なのが活動分野を超えた横断です。MakeSenseではコミュニティがあるので、世界中で分野横断的に活動している社会起業家とアイデアの出し合いや悩み相談もできるんです。そうやってコミュニティやネットワークを活用することで、インスピレーションをつかむことができるかもしれません。

モリ MakeSenseがどれだけ貢献できるのか分からないですが、コミュニティ同士で競合することや、社会起業家同士でパイを取り合うことを避けたいなと思っています。

近い問題で取り組むときに、寄付や注目を取り合うのは違っていて、本質的に大事なのは問題解決の方です。どの人が解決したとかよりも、問題を無くすことの方が重要ですよね。

このようなマインドが浸透していくには、これまでとはちょっと違う競争原理がいるなと感じています。なので、MakeSenseの活動では、いろんなコミュニティを横串にして、コクリエーション(共創)が生まれるような活動をしていきたいですし、そういうメッセージ発信もしていけたらと思います。

タイチ 違った競争原理は必要ですよね。MakeSenseの活動はそういったところにつながる一歩なのかなと思います。アイデアの奪い合いもないですし、まず協力しよう、情報交換しようというスタンスなので、MakeSenseが世界中に広がっている背景にはこのようなマインドが大きいのかもしれません。

モリ 「単純に方法論だけをとってきても自分のやる価値には結びつかない」という考えを持っている人が多いのかもしれませんね。

アイデアをアイデアで終わらせない仕組みをつくること

タイチ このように日本における社会起業家やNPOセクターの課題をMakeSenseの活動で解消していけるようにしたいです。MakeSenseがメインに行っているのはHoldUp(ホールドアップ)という3時間のデザイン思考のワークショップです。

ホールドアップでは、アイデア出しはもちろんですが、手を動かしてプロトタイプ制作までいきます。パリではじまったシンプルな活動ですが、3年間で世界にコミュニティが広がるようになりました。日本では、たとえばホールドアップを行ってプレゼンできるレベルになったら、co-ba主宰の「THE FANCLUB」で発表していくという流れができたらいいなと思いあます。

モリ 問題解決に関するコンテンツをホールドアップやTHE FANCLUBでつくっていきながら、色んなレイヤーでコミュニティをつくっていけたらいいですよね。オフラインやオンライン、色んな場にコンテンツを用意して、継続的にコミュニティづくりやネットワーキング、そして課題や悩みの解消を行っていけたらと思います。

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タイチ また、THE FANCLUBとは継続的な関係となると思います。ぼくたちは朝会のようなSenseCoffee、そしてSenseDrinkを通じて、グラスルーツにやっていく部分も多いです。

そこでアイデア出しや情報交換をやっていき、ホールドアップで形にする。その次にある発表の場が、THE FANCLUBですよね。

山本 そうですね。THE FANCLUBはプレゼンテーションイベントで、すでに活動している方々が、ファンを増やしたり、もう少し活動をブーストしたいという思いで登壇します。

アイデアから少し形になった段階で発表の機会があると、ファンも獲得でききますし、その手応えをもとにさらに走ることができるんです。その辺にMakeSenseとのシナジーがあるのかなと思っています。

また、THE FANCLUBはどういう人が発表できるというのを明記していません。そのため、初期の段階の人もいれば、大企業まで参加することもあります。登壇者に幅があることで、登壇者同士で支援できたり、コラボできる部分が見つかることも珍しくありません。

なのでホールドアップでつくられたプロトタイプをTHE FANCLUBで発表してみることで、団体や企業の支援やコラボが生まれることも十分に考えられます。そこでシナジーが生まれていったら素敵だなと思います。

タイチ THE FANCLUBとホールドアップはサイクル的になっていきそうですね。発表してみて、もう少し詰める部分があれば、またホールドアップに戻ってアイデア出しやプロトタイピングをする。

また、THE FANCLUBの参加者同士でシナジーが生まれて、プロトタイピングしたいときはホールドアップに戻ったり。そのような感じで、「アイデアをアイデアで終わらせない」ような仕組みや流れができたらいいですね。

SenseCoffeeやSenseDrinkで横のつながりをつくり、ホールドアップでアイデア出しやプロトタイピングをする。そこで形になったら、THE FANCLUBで発表して反応を見てみる、というサイクルを循環させていきたいです。

ゆくゆくはTHE FANCLUBに出資者がきたり、クラウドファンディングともコラボできたら面白いなあ、と思います。

プレイヤーとオーディエンスの壁をなくしていく

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山本 THE FANCLUBの特徴としては1スライド20秒で発表するという形式です。そのため、内容がかたまっていないとなかなか難しい面があります。

タイチ 一方でSenseDrinkの場合は、30秒くらいのピッチをその場で話してもらうという感じですね。そこで、ホールドアップにつなげて、形にして、THE FANCLUBまで上っていきます。

山本 ホールドアップを通じて、THE FANCLUBの登壇者を出していくのは理想ですね。オーディエンスにとってもこのサイクルはいいと思います。

THE FANCLUB観客として来て、刺激を受けたり、コラボしたり、何か思いつく人もいると思うんです。そういう人たちがMakeSenseの活動に参加することで、いつの間にか、前まで観客として参加したTHE FANCLUBに登壇するなんてことも生まれていきそうですね。

タイチ THE FANCLUBとMakeSenseがコラボしていくことで、プレイヤーとオーディエンスの壁がなくなりそうですよね。2つの活動がシナジーを生んでいくことで、みんなが社会課題について考えて、具体的な形になるまでやっていくような仕組みができたらと思っています。

(インタビュー終わり)


タイチさん、モリさんのお二人が主宰される「MakeSenseTokyo」は、この冬から本格的に活動をスタートします。ホールドアップで社会課題についてのアイデア出しやプロトタイピングをしたり、SenseCoffeeやSenseDrinkに気軽に参加したり、さらには活動を伝えるライターとして関わることも可能です。

日本でも確かに盛り上がりを見せている社会企業やNPOの活動。これから「社会を変える」を考えた時に、「MakeSenseTokyo」のコミュニティやつながりが問題解決の促進に貢献すると思います。

「MakeSenseTokyo」が気になる方は、12月11日(水)に渋谷のシェアードワークプレイス「co-ba」で開催されるTHE FANCLUBに参加して、タイチさんのお話を聞いてみてはいかがでしょうか。

writer ライターリスト

佐藤慶一

佐藤慶一

1990年生まれ、佐渡出身。 NPOメディア「テントセンMagazine」や途上国メディア「トジョウエンジン」の編集など、NPOの情報発信に関して色々と取り組んでいます。

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