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自然をみる眼、かたちにする手

自然をみる眼、かたちにする手

住まいは我々の生活を包み込む器です。いかに自然とともに循環する生活を営むか、が大事な時代になっています。また、住まいという建築も、いかに自然の恵みの循環のなかでつくっていくか、ということはもはやあたりまえのことではないでしょうか。自然の営みに眼差しをむけ、彼らから学び、人間のもつ五感と自然のポテンシャルをシンクロさせながら、このブログを綴っていきます。

ビオフォルム環境デザイン室の「ビオフォルム」はBIOFORMと書きます。これは生命を意味する”BIO”とかたちを意味する”FORM”を足し算した造語です。自然がけなげに、ときには大胆につむぐ豊かな生命と我々が生活を営む住まいを縦糸と横糸のように織りなしていけたなら、という思いを込めて名付けました。

今、われわれの住まいをとりまく環境は未曾有の危機に瀕しています。それは「環境問題」として対岸の火事として捉えるのでは、問題を見誤ります。まさに我々がこれからも安心で安全に心豊かに暮らしていける、その礎が崩れてきているのです。

かつて我々はその風土の中で、時には優しい、時には横暴な自然とつきあいながら暮らしてきました。そのつきあい方が知恵として集積されてきたはずなのです。ところが近代になり、そんな知恵が徐々に失われ、我々は自然をみる眼というものを忘れてしまったかのようです。

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きのこのかたち
さんまのかたち

これからも私たちが憂いなくこの地上で豊かに暮らしていくためには、これ以上地下資源に頼るスタイルは止め、太陽の恵みとそれを豊かな命に変えてくれる植物を中心とした地上資源の循環の中でやりくりしていくほかありません。しかし、よくよく自然を見れば彼らは実にうまいことをやっていて、無駄がありません。我々もそのスタイルに学ぶなら、今そこにある資源で充分やっていけるはずです。

自然に耳を傾ける、あたたかい眼差しで見る、仕組みを読み取る、そしてそれを我々の住まいのなかで、生活の中でデザインとして実現していく。そんなことを目指したいと思います。

パーマカルチャーでは自然をよく観察しなさい、といわれます。そこには人知の及ばぬ造形とシステムが隠されています。このブログでは日常、なにげなく自然をみている中で気づいたことと私たちの生活をリンクするようなことを少しずつ報告できたらと思います。

著者プロフィール
山田貴宏(やまだたかひろ) 一級建築士事務所ビオフォルム環境デザイン室代表

1966年千葉県出身。早稲田大学建築学科にて都市環境工学修了。バイオシェルターに影響を受け、自然・生態系と人間の居住環境の統合されたデザインがテーマ。ゼネコンにて都市のエネルギー供給施設や自然エネルギー活用設備等の設計・建設の業務に携わった後、長谷川敬アトリエにて主に木造住宅の設計に従事。伝統的な構法や自然素材、尚かつ、地域で資源が循環する地場材を使った地産地消型の家づくりを行う。約10年前に持続可能な生活のデザインメソッドである「パーマカルチャー」という考え方に出会い、建築を取り囲む環境まで含めたデザインを指向。今、そこにある自然の豊かさにどう気づき、それをどう住環境と調和させていくか、が今後もテーマ。夢は「耕す建築家」。NPO法人パーマカルチャーセンタージャパンのスタッフでもある。