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旅を入り口に、里山の知恵を世界へつなげていく。京都・京北の「ROOTS」が“リジェネラティブツーリズム”を通じてデザインする多様な関係性

これまでの思考が覆るような体験は、時に人生を新しいステージに誘います。

「茅葺屋根の家に住んだら、自分自身が自然循環の一部になっていると、すごく感じるようになりました」

自身の変化をそう語るのは、京都・京北に15年前に移住した曽緋蘭(ツェン・フェイラン)さん。2018年、同じく移住者である中山慶(なかやま・けい)さんとともに「ROOTS」を創業し、京北で“里山の知恵”を肌で感じられるツーリズムを展開しながら、世界中の人たちにその知恵を継承することを探究しています。

フェイランさんはデザイン(可視化)、中山さんは異文化コミュニケーション(言語化)を専門に、お二人はそれぞれ世界を舞台にキャリアを積んできました。その立場から、京北に根付いてきた里山の文化をどのような視点で捉え、世界中の人たちが旅を通して里山の知恵を体得していくことにどのような可能性を見出しているのでしょうか。

京都駅からバスで約1時間半、京北にあるROOTSの拠点の一つ「tehen」を訪れ、お話をうかがいました。

曽 緋蘭(ツェン・フェイラン)さん<写真左>
ROOTS 共同創業者。サンフランシスコで社会課題解決型のデザインプロジェクトに携わり、帰国後、オムロン ヘルスケアにて企画・戦略デザインを10年以上に渡って担当。2010年から京北の茅葺きの古民家に移り住み、里山のコミュニティづくりや地域デザインを手がける。
中山 慶(なかやま・けい)さん<写真右>
ROOTS 共同創業者。英語・中国語のガイド・通訳・講師。世界80か国以上を主に仕事で旅しながら、独学で学んだ多言語を操る、旅の編集者であり、異文化コミュニケーションのコーディネーター。2013年、学生時代に住んでいた東京から京北に移住。

里山の知恵は、自然循環をサポートするためのデザイン

険しい山道をバスに揺られたどり着いた京北には、山に囲まれたのどかな風景が広がる

京北は文字通り、京都の北部に位置するエリアです。地区の90%以上を森林が占め、平安時代から林業が栄えてきました。京都市の中心部とは川でつながっており、かつては山で切った杉の大木を川へ引き摺り下ろし、5日間かけて平安京へ運んだそう。京都市内に今も残る「丸太町通り」は、その木を荷揚げし、製材した場所の名残り。京北の木材は、京都御所をはじめ京都の歴史的な建造物に使われてきました。そのため京北の人びとには、「都とともに生きてきた」というプライドや、どこか洗練された雰囲気があるといいます。

現在、この地区の人口は約4,300人。年々過疎化が進む一方で、自然と調和をしながら暮らす、「里山」の文化が残っています。

京北へ向かうバスからは川が見えた。京都市街地とは水でつながってきた京北。この辺りの山が荒れることは、市街地の災害にもつながる。ツーリズムでは「流域で暮らしを捉える、ということも強調して伝えています」と中山さん

茅葺き屋根の古民家を見つけ、15年前にこの地に移住したフェイランさんにとって、ここでの暮らしはデザイナーとして新たな視点を得るきっかけとなりました。

フェイランさん 茅葺き屋根を維持するためには、20年〜25年に1回、茅の葺き替えをしなくてはいけません。一度の葺き替えで茅の束が1万束ほど必要になるため、地域のみんなで協力し合って、毎年地域の「茅場」でススキを刈り、将来のために少しずつ各家にためていくんです。希少なカヤネズミの巣をたくさん見つけると、その茅場は良い屋根材に育った証拠。束ねられ屋根裏に保管された茅は囲炉裏の煙で燻されて、どんどん頑丈になっていきます。

3年、5年…と実践していくうちに、茅葺自体が自然循環をサポートするためのデザインなのだなと理解しました。「コモンズ」のようなシステムになっているから、これをやめた途端に茅場は誰かの土地になり、誰かの家が建ち、カヤネズミが生きる生態系も壊れてしまう。自分の家がこのサイクルの一部になっていることを痛感したんです。

茅葺のサイクル。葺き替えた後の茅は、優れた肥やしになり、また新しい茅を育てていく(画像提供:ROOTS)

茅葺き屋根の家が多く残っていた時代は、みんなが無償で労働力を提供し、お互い助け合っていた。こういった助け合いの仕組みのことを「結(ゆい)」と呼ぶほか、京北には「てんごり(手間返しの意味)」という方言も残っているそう(画像提供:ROOTS)

それまで工業デザイナーとして、人の課題から導かれるデザイン、いわば“Human-Centered”の思考でデザインをしてきたフェイランさん。「これまでの思考とは根本的に違う」と、茅葺のシステムに見出した自然循環から導かれるデザイン思考を“Nature-Centered Design”と名づけ、紐解いていくことにしました。

フェイランさん 「何がつくられていく」というところをはっきりさせず、ぬか床みたいに「何が入ってもおいしい漬物にするためにはどんな樽にしたらいいんだろう」というようなデザイン思考。古民家も、あえて機能を分けた部屋の構造になっていない。Whatを決めすぎないことで、長続きするんです。

「自然循環の中で生きていくと、今やっている行動が20年先にどうなるのか、というところまで見えてくる。その感覚を現代のデザイナーさんたちにも感じてもらいたい」とフェイランさん(画像提供:ROOTS)

一方、これまで多言語を操って世界中をわたり歩いてきた中山さんは、京北に残る里山の知恵の非言語性に惹かれたといいます。

中山さん 里山の暮らしの中には、さまざまな知恵が宿っています。エネルギーをどう調達するのか、どう環境を守っていくのか、茅葺という建物をどうつくりあげ、どう土に還していくのか。こういった知恵は、人びとの暮らしの中で当たり前に共有してきた身体知・感覚知みたいなもの。近代化の中でどんどん失われつつあっても、京北の人びとの“振る舞い”の中にあるんですよね。おじいちゃんおばあちゃんだけでなく、若い職人さんもそういう感覚を持っていて、言葉でうまく説明できなくても、身体に馴染んでいるからできてしまう。そうやって明文化されずに残っていることが、すごく大事だと思ったんです。

京北に暮らし里山の魅力を噛み締めるほど、職人の高齢化や地域の過疎化とともにこの文化が失われていくことへの焦りが芽生えていったそうです。

古民家をリノベーションしたROOTSの拠点の一つ、「tehen(てへん)」

旅を入り口に、次につながる関係性をつくる

ROOTSが目指すのは、そんな里山の知恵を「旅」を通じて世界の人たちにつなげていくこと。このままだと潰(つい)えてしまいそうな知恵を多様な人たちに継承することで、文化がつくられていくことを期待しています。

そのつなぎ役として、お二人の持つ言語化や可視化の力をいかし、さまざまな「リジェネラティブ・ツーリズム」のプログラムを展開。国内外から訪れる人たちが、里山の知恵の担い手である職人と交流し、その技術を目の前で見たり、一緒に茅葺の作業をしたり、京北の木材を使ったものづくりをしたり。人と自然が共生する里山の文化を肌で感じられる機会を提供します。

自分たち自身が京北で暮らすROOTSならではの視点で、「地域をどうしたいか」を意識してデザインするプログラムは、売り上げという経済資本にこだわらず、「森が守られる」「地域に関わってくれる人が増える」というような、自然資本や人間関係資本を増大させることにも重きを置いています。

ガイドは、多言語を操る中山さんの仕事。「京北の豊かさは、人を介することで出会えるものばかり」と中山さん。旅の中でゲスト一人ひとりと対話をしながら、豊かさを見つけていく「Community Based Tourism」の実践を心掛けている(画像提供:ROOTS)

例えば、滝へ向かうトレッキングの途中。杉の木にのぼり枝打ちをする職人が、木から木へと飛び移るように移動し作業を続ける様子を見ながら、「こうやって木に手を入れることで節のない美しい木材ができ、それで家を建てるのだ」という話をすることで、ただ単に自然の中を歩くのではなく、「森は生きていて、人が手をいれることによって循環が生まれる」ということを体感してもらうことができます。あわせて、日本中で林業がうまく機能していないという背景を伝え、課題に気づいてもらうことも忘れません。

茅葺職人指導のもと、みんなで使う茅葺ステージをつくるワークショップを開催。民家の茅葺をつくるのは法律の制限もあり難しいが、現代に合った新しい形で里山の知恵を継承していくことができる(画像提供:ROOTS)

大事にしているのは、地域との交流や体験を通じて“次につながる関係性”をつくること。ROOTSのプログラムに参加した人が京北の豊かさに気づき、「京北に住みたい」「京北で起業したい」と、人生の次のステージとして京北を選ぶことは少なくないそうです。

中山さん 僕らはツーリズムを一つの「入り口」と捉えています。いきなり「里山に貢献する人を求めています」と言っても、来る人は限られるけれど、幅広く「京北の豊かさを見にきてくださいね」と言うことで、気軽に訪れてくれます。

さらに、参加者一人ひとりとは“観光客”ではなく”旅人”として向き合うので、各々にどういうバックグラウンドがあって、京北に何を求めて来たのかということまで、交流しながら知っていく。そうすると、旅中のいろんな気づきを経て、旅後には「京北にもっと関わっていきたい」と思えるような関係性につながっていくんです。

中山さんは、職人のための英語教室も開催している

都会のオフィスでCSRや環境施策を担当していても、コンセプチュアルな仕事ばかりで手触りを感じられなかった人が「もっと自然の中に入って関わりたい」と京北で副業を始めたり、外国人夫妻が茅葺の家を購入して移住したり。プログラムを通じて「京北に関わりたい」と思った時には、ROOTSが地域とのつなぎ役にもなってくれます。

中山さん 僕らは京北に拠点を持っているし、リアルな森や素材、コミュニティに触れられる場を用意しているから、スモールビジネスや副業などの形でプロジェクトを始めてもらうことができます。ROOTSと一緒に教育プログラムやリトリートをしてもいい。そうやって通ってくれる人が増えると、使われていない田畑や空き家の活用につながるし、今度は彼らがつくったツアーやプログラムの参加者が京北で何かをしたくなる。そうやって人の流れができていきます。

ROOTSのワークショップに参加したことで京北を気に入り、古民家を購入したフランス人の建築家夫妻(2M26)は、茅葺きを「民衆の建築だ」と評価し、たくさんの人の手を借りて家の屋根を茅葺につくり直したそう。現在は、伝統技術を活用して馬小屋や未小屋などを建築し、「人と動物と建築の相互的な関係性のデザイン」をプロトタイピングしている(写真提供:ROOTS)

世界の視点に合わせることで、さまざまな継承の形が生まれる

中山さん 京北に宿る里山の知恵を世界の視点に合わせることで、どういう継承が可能なのだろうと、いつも考えています。

里山文化の継承を掲げる取り組みが全国にたくさんある中で、ROOTSの面白さはやはり、「世界中の人びと」を相手にその可能性を追究しているところにあると感じます。そもそも、海外の人たちの目に、日本の里山はどのように映るのでしょう。

フェイランさん 最初に来た時は、景色を見つめながら「トトロだ!」って。彼らにとっては、失われてしまった何かが真空パックに入ってここに残っているような、すごく不思議な感覚になるみたいです。私がいたアメリカもそうでしたが、大都市の周りがスラムになっていることも多く、気を張らないといけない郊外も沢山あります。自然豊かな場所は多くの場合は自然保護区になっているので、人と自然がつながる里山的なグラデーションはとても珍しいんです。

「tehen」の裏には水路が流れ、この水を利用して野菜を冷やしたり、洗濯をしたりすることもできる昔ながらの「川端(かばた)」が残る

中山さん だから「里山の知恵」といっても、田舎には貧困があるんじゃないのって最初は思われちゃう。治安が良く、茅葺の家があって、フェイランみたいな若い世代が楽しそうに住んでいるなんて、彼らにとっては想像しにくい感覚なんです。もちろん大都市に比べたら経済資本の収入は少ないかもしれないけれど、違うものの資本がすごく強いし、自然と共生しながら自分たちの手でつくる暮らし方に学ぶべきものがあると知った時に、彼らの発想が変わっていくんですよね。

諸外国において古い文化が残る場所といえば、原住民が生活するエリアであることが多く、そこでは彼らの文化を商品化し、“見物”するようなツーリズムもあります。それに対しROOTSが目指すのは、職人と交わり体験することで里山の文化がどういうものなのかを見つめ、現代においてどのように継いでいけるのかと“問いを深める”ようなツーリズムです。

そこで積極的に取り組んでいるのが、海外の学生を招く国際教育プログラムです。中国、台湾、香港、タイ、イタリア、デンマーク、アメリカと、世界各地の高校生や大学生が京北を訪れ、職人と交流しながら、技術を体験します。

北京大学の附属高校から約20名が京北を訪れ、地元の林業科の高校生たちと過ごした4泊5日のプログラムでは、アメリカの名門大学を目指すようなグローバルエリートの高校生が、地元高校生のノコギリ捌きを目の当たりにし、圧倒されていたという(画像提供:ROOTS)

デンマークの高校生のLocal wisdomツアーでは、京組子の木工体験を開催。筋のいい子を職人さんがスカウトする場面もあったとか(画像提供:ROOTS)

香港理工大学の学生たちは毎年40名ほどで訪れ、1週間かけて職人とともに作業を行う。この時は台風で被害を受けた木を切って製材し、ツリーハウスをつくった。香港にも台風被害が多く「お互いの共通課題だね」という気づきから、何か価値のあるものを地域に残そう、という発想で生まれた(写真提供:ROOTS)

プログラムに参加した学生の中には、翌年にコーディネーターとして京北に戻ってきて後輩たちにアドバイスをしたり、「もっとコミットしたい!」と家具職人に弟子入りをしたりと、国境を越えても次につながる関係性を築いています。

それだけにとどまらず、さらに面白い展開も。学生として訪れた後、コーディネーターとして再び京北に関わってきた香港の女性が今、ROOTSで培ったノウハウをいかし、香港で消滅しかけている少数民族の漁村の再生に取り組んでいるそう。自分たちの足元にある里山里海をフィールドに学生たちが調査をして冊子をつくったり、泊まれる場所や教育の拠点をつくったりしているといいます。

中山さん 僕らも今度現場を見に行ってアドバイスをしたり、逆に僕らが学ばせてもらいたいと思っています。こういう、お互いが参照し合いながら進めるプロジェクトがタイやフィンランドのローカルでも起きていて、すごく面白いですね。

また最近では、海外の産業の担い手が京北を訪れ、京北の職人の技術を体験するプログラムにも注力しています。職人同士で交流し、情報交換をすることは、お互いの産業の活性化にもつながるようです。

北イタリアの建築職人の方々が京北を訪れ、茅葺の葺き替え作業を京北の職人と一緒に行った。「実は北ヨーロッパにも茅葺があるんだよ」「イタリアでは今こういう形で木材が活用されているよ」と、情報交換の場になった(画像提供:ROOTS)

フェイランさん 交流を通じて文化の違いを見た時に、隣の芝生が青いという話ではなく、初めて自分たちの芝生を見直せるんです。お互いにシビックプライドを高め合えるんですよね。

中山さん 相手の技術や制度をそのまま移植するのではなく、大事にしているコアな部分に気づくことで、例えば京北の茅葺職人が、茅葺の本質をどう現代に適応させていけるかを問うきっかけになると思うんです。今後は逆に、京北の木こりの親方がフィンランドに行って現地の林業を学ぶような交流もしていきたいですね。

京北の職人が自身の技術の継承のあり方を探る機会になったり、日本の里山の知恵が形を変えて、海外の産業で継承されていったり。世界の視点で里山の知恵を捉えると、こんなにも継承のあり方が広がることに気付かされます。

京都府・丹後半島の漁師や京都府立海洋高等学校の先生とともにフランスのブルターニュを訪問し、漁師の知恵を交換するツアーを企画。フランスでは漁師の教育制度が整備されしっかり稼げる体制が整っており、後継者に困らない仕組みがあることに京都の漁師が感心する一方で、フランスの漁師は、活け締めや神経締めのような、鮮度良く魚を食べる日本の技術に興味を持っていたそう(画像提供:ROOTS)

受粉させる蜂のように、ローカルとローカルをつなげていきたい

最近では、兵庫の丹波篠山、岐阜の郡上八幡、鳥取の大山、長野の大町など、国内の他の里山で同じ思いを持つ人たちとのネットワークが生まれ、京北で培ってきたROOTSのモデルを参考に、お二人の強みである可視化と言語化の観点から、各地で起業やツーリズム、地域デザイン、ガイド育成などのサポートもしているといいます。

フェイランさん 地域でやっていくためには移住者、地元民、役場の関係性がすごく大事になってきますが、私たちは京北に住んでやってきたから、他の地域に行ってもそのあたりがだいたい見えてくるんですよ。逆に、他の地域を見ることで私たちの足りないところに気づくことも多いです。

中山さん 得意分野も風土も全然違うけれど、参照できるものはめちゃくちゃあって。お互いにお客さんを紹介し合ったりノウハウを共有したり、若手人材の往来が生まれたりもしています。

そんな中、次に見据えているのは「ローカルとローカルをつなぐ」というビジョン。国内だけでなく、世界規模で人が交わりあい、それぞれの知恵をつなげていくことを考えています。前章で紹介した職人同士の交流も、そんな挑戦の一つ。

中山さん 里山があるのは実は日本だけではない、と気づいたんです。例えばタイのバンコク郊外にあるバンカチャオという地域には、目の前でココナッツの木に登り、ものの2時間でココナッツシュガーを精製できる職人がいて、でもやはり後継者不足の課題がある。そこで見た景色には、日本の里山と親和性、共通性があると感じました。

人が手を入れることによってその環境や生物多様性が保たれる里山のように、自然環境が良くなっていくところには、必ず人間が介在しています。だから、受粉させる蜂みたいに、日本の知恵を向こうに持っていくと、それが向こうの知恵と出合って受粉するかもしれない。京北の人が行くだけじゃなくて、長野の人がネパールの山を訪れてもいいし、ローカルとローカルのつながりを世界規模で新しくつくっていきたいですね。

世界中で途絶えそうになっている数々の知恵は、やはりどれも自然循環の一部を担うものばかりだそうです。国境を越えて知恵と知恵が出合い、アップデートされていくことが、世界各地の環境の再生にもつながると思うと、ROOTSが繰り広げるこれからのツーリズムに期待が高まります。

インタビュー後、のどかな景色を見渡せるカフェのウッドデッキでランチを食べながら、フェイランさんがふと私たちに問いかけました。

「こうやって一緒に風を浴びながらお話しするのと、“里山のエコシステム”と一言で切り取って紹介するのでは、全然違うでしょ?」

まさに、今回の取材を経て、自分の中で明らかに「里山」の捉え方が変わっていることに気がつきました。漠然と抱いていた「残していくべき古き良き文化」から、「世界に新しい風を吹かせる洗練された文化」のようにイメージが変わったのです。

それは紛れもなく、京北を訪れ、ROOTSのお二人と向き合って、たっぷりとお話をして、たくさんの気づきを得たから。たった数時間の滞在でも、「京北にまた行きたい」と思わせる時間を過ごすことができたところに、ROOTSのツーリズムの醍醐味を垣間見た気がします。

「自分は環境のために何ができるだろう?」と答えを探している人は、一度ROOTSのプログラムに参加してみてはどうでしょう。京北の人たちと交流し、里山の知恵を肌で感じる体験から得た気づきは、人生の新しい一歩につながるかもしれません。

(撮影&取材協力:小黒恵太朗)
(編集:増村江利子)