電気もない。
水も通ってない。
「そんな場所で過ごしてみない?」と誘われたら、あなたはどう思いますか。
私たちの暮らしには、電気も水も必需品ですよね。だから「そんな不便な場所…!」と思ってしまう方がきっと多いでしょう。しかし、そんな当たり前のようにあるものが「ない」ことで、見えてくるものがあるかもしれない。そう期待する方もいらっしゃるかもしれません。
そんな期待を抱いたあなたにこそオススメしたいのが、今日紹介するオフグリッドのテントキャビン「The Watchers」。
まるでフクロウのような外観。ベニア板などの木材をふんだんに使ってつくられた、この建物。ここで一体、どんな時間を過ごせるのでしょう?
フランスのボルドー地方にある「The Watchers」は、現代芸術アーティストZebra3/Buy-Selfが設計したもの。電気はありませんが、ガラス張りのドアと木の壁の明るさが、やさしい調和を生み出しています。
モデルになったのは、ここボルドー地方に住むフクロウたち。屋根は羽に、大きな2つの丸い窓は目に見立ててあり、ストライプ模様の木材を丸く曲げて骨組みにして、身体は丸いベニア板でつくられています。
水も電気も通っておらず、キャビンには必要最低限のものしかありませんが、中に入ってみると、木がつくりだす温かい空間が広がります。巣をモチーフにした白くて丸いベッドが各キャビンにあり、ゆっくりとくつろげるそう。キャンプがちょっと苦手な人でも、ここなら快適に過ごせていいですね。
3階建てで最大9人まで泊まることができ、各階へはハシゴで行き来ができます。
「地元の人や観光客を自然とつなぎなおしたい」という思いからつくられた「The Watchers」。デザイナーのCandice Petrillo(以下、キャンディスさん)は、地面に穴を掘る小さなフクロウと、ここの環境の静けさにインスピレーションを得たそうです。
オフィス街を拡げる工事がおわった後に、以前はあった湿地を探して、鳥たちが空を飛び回っているのが見えました。そこで急にアイデアが浮かんだんです。
キャンディスさんがつくった、かわいくて温かみがあり、自然と調和したオフグリッドキャビン。あえて必要最低限のものしか置かないことで、自然が与えてくれる豊かさが見えてくる気もします。
いつもと違う環境に身をおいて、自分や自然、地球にちょっとだけ思いを馳せてみる。なにかと忙しい私たち現代人ですが、少しだけ立ち止まって、丁寧に考える時間を持ってみるのって、きっとすごく大切なことなのではないでしょうか。
私たちが自分自身の時間を大切にすることが、自然や地球に優しくあることにつながっていくのかもしれません。
– INFORMATION –
キノマチ大会議 2022 ~まちと森がいかしあう社会を考えるオンラインカンファレンス
「キノマチ大会議」は、「キノマチプロジェクト」が主催するオンラインカンファレンスです。「木のまち」をつくる全国の仲間をオンラインに集め、知恵を共有し合い、未来のためのアイデアを生み出すイベントです。
3年目となる今年は2022年10月26日(水)に1DAY開催。基調講演、3つのトークセッション、2つのピッチタイムなど盛りだくさんでお届けします。リアルタイム参加は先着300名に限り無料です。メインテーマは「まちと森がいかしあう社会をつくる」。建築、まちづくり、林業、デザイン、メディアなど様々な分野の人が、領域を超えてこのテーマについて考える場になります。
全国から仲間が集う「キノマチ大会議」で、お会いできることを楽しみにしています!
[via Culture Trip, inhabitat, Mashable asia, My Modern Met retrieved January 2018]
(Text: ひだみき)
(編集: 福井尚子、スズキコウタ)