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何かを消費するより、自分で楽しさを創造してみない? 遊び方をアップデートして手に入れる「共創感覚」とは。#学習するコミュニティに夢を見て

こんにちは、信岡良亮です。

以前イベントで対談した際に「仕事をするうえで“プロとしてのスキルを磨く”以外に磨けるスキルがありますよね」という話をしたのですが、みなさんはどう思いますか?

プロとしてやるべきことはやっても、人間関係が深まらなかったり、思うように仕事を楽しめなかったりする方もいると思います。

じゃあ一体何が必要なのか?
深めていくと結構興味深いテーマなので、今回はその話をしたいと思います。

今までは僕が自分のテーマを探究してコラムを書いてきましたが、今回は少し視点を変えて、弊社のスタッフにインタビューをしてもらいました。というわけで、ここからスタッフにバトンを渡したいと思います。

―みなさん、こんにちは。バトンをいただきました、アスノオトの山崎と申します。信岡のことは普段通り、のぶさんと呼ばせてください。

今回のテーマは「プロとしてのスキルのほかに、関係性を紡ぐスキルがある」ことについて。普段私たちは仕事に必要なスキルを日々磨いていますが、それとは別に関係性を紡ぐスキルがあるんじゃないか? ということを探っていきたいと思います。

例えばまだどれくらい価値がでるかわからないプロジェクトは、プロとしてよりも「誰に相談したら進みそうか」「誰とやったら楽しそうか」といった個人への信頼から始まっていくように感じます。

のぶさん:副業やパラレルワークが一般的になってきた今、プロとしてのスキルをただ磨くだけでは、仕事を面白くしていくことは難しいのかもしれません。その時間を個人への信頼を形成する「関係性を紡ぐスキル」を鍛えるために使ってみるのはどう? という話ができたらと思います。

―とはいえ関係性を紡ぐスキルってどんなもの? それを身につけた先に、どんな景色が見えるのだろう? 読者の方はそう思うかもしれません。このインタビューを通して、ぜひ一緒に探究していきましょう!

関係性を紡ぐ一歩目は、探求テーマを持つこと

―プロとしてのスキルはなんとなくイメージできますが、関係性を紡ぐスキルと言われると、イメージが湧かずまだぼんやりとしています。

のぶさん お金にならないけどなんか面白いことしてる人っていますよね。そういう人っていろんな場所に顔を出していても、ちゃんと信頼も一緒に築いています。声かけひとつとっても、SNSのコメントひとつとっても「ここから関係性が紡がれていく」と思ってコミュニケーションをしているんですよ。

―のぶさんはどんなコミュニケーションに心をつかまれるのでしょうか?

のぶさん 自分を生かした遊び方には目がいっちゃいます。言い換えると、自分の探求テーマを持っているかどうか。

例えばデザインに凝り始めると、身の回りの商品デザインが気になり始めたり、「このフォントが一番だよね!」と語り始めちゃったりします。それって仕事としてというよりも、気になるから探求しちゃうんですよね。

―誰に言われたわけでもなく、ついやっちゃうこと。

のぶさん そうです。子どもがいるひとは、SNSで子ども関係の投稿につい目がいっちゃうから「今年まわりで子ども産んだ人多い気がする!」って思っちゃう、みたいな感じでしょうか(笑)

探求テーマをたくさん持っていると、その分いろんな人といろいろなコミュニケーションでつながりやすいんです。

役立つかどうかではなく、長期的に関係性を見よう

―関係性を紡げる人のイメージが少しずつ膨らんできました。一方で関係性よりも先に、品質や実績をもとに仕事を依頼すると思うのですが、のぶさんはどうして関係性を紡げるかどうかに目が向くようになったんですか?

のぶさん それは海士町での経験が大きいです。

最初の仕事は営業職だったので「この人は今の目的にすぐ答えをくれる人かどうか」で人を判断していました。

例えば水の営業をしていたとして、「お金持っていますか?」「喉乾いていませんか?」「こんな水あるけど買いませんか?」というコミュニケーションの仕方しか知らなかったんです(笑)“役立つかどうか”がお互いをつなぐ接点で、短期的にしか物事を捉えていませんでした。

でも海士町に行ってから初めて、「信岡」という存在を大切にされました。事務所が役場から近かったんですけど、「最近どうしてる? 元気にしてるか?」っていつも気にかけてくれる人がいて。それがすごく嬉しいんです。

僕が海士町で出会った人たちの多くはワークとライフがミックスしていたから、仕事のときでもプライベートのときでも、その人のあり方が変わらないことも驚きでした。だから、相手に利用されている感覚が段々となくなっていきましたね。

―そこから仕事もプライベートも、長期間で付き合っていくあり方へシフトしていったんですね。

「この人と苦労を分かち合うのが楽しい」と思えるかを考える

―最初に関係性を紡ぐ意識の話をしてもらいましたが、いろいろな場所に顔を出していても関係性が深まらないというか、顔は広いけど上辺だけ人とつながっている人も中にはいると思います。その違いって、なんだと思いますか?

のぶさん おいしいところやメリットがあるときだけつながろうとする人はいますね。肩書きだけ利用される感じ。それを「つまみ食い」って呼んでいるんですが、関係性だけじゃなく仕事もつまみ食いってあると思います。どちらも共通して、責任を承れるかどうかの違いじゃないでしょうか。

―責任を承れるかどうか。

のぶさん 「一緒に生きていく」というところにお互い責任を持ち寄れるというか…。さっきの短期間で利用しあえる関係性じゃなく、長期間で関係性を考えられるかだと思います。僕の場合は「この人と苦労を分かち合うのが楽しそう」と思えるかどうかになってきますかね。

―それでいうと「さとのば大学」は、一緒に生きていく感じがありますね。

のぶさん 「さとのば大学」の関係者はまさに自分の探求テーマを持っている人ばかりです。それこそ「さとのば大学」というプロジェクトを、一緒に大事にできている感覚があります。

―仕事もつまみ食いがあると仰っていましたが、単発のアルバイトのイメージが近いのでしょうか?

のぶさん そうですね、アルバイト発注に近い感覚かもしれません。さっと簡単に手離れするから、最後までやり切る力が身につきにくいんですよね。自分で自分のアウトプット品質を探究する力を、それこそ8割で良しとするんじゃなく、10割まで自分でやりきることが大事だと思います。その意思を持てないと、いつまでもつまみ食いから抜け出せなくなります。

―仕事も単発で考えるのではなく、長期間で捉えるのが大切なんですね。

のぶさん 僕はそれが共有できると、関係性として好きです。そういう、責任を承れる人に仕事も信頼も集まってくるんだと思います。

横軸を追求することで共創が楽しくなる

―これまでの話を聞いて、「プロとしてのスキル」が前提にあるうえで、「関係性を紡ぐスキル」を身につけていくのが大切、という風に感じました。

のぶさん うーん、マトリクスだと思っていて…ちょっと用意しますね。

のぶさん 営業職で働いていたときは、左上のプロフェッショナルしか磨いてなくて、友だちとは疎遠になっていく感じでした。意識ばかり高くて人を見下していた大学時代の僕も、ここに近いと思います。

それが海士町に行ってから少しずつ人との付き合い方というか、向き合い方が変わっていって…マトリクスの左と右、両方を鍛えた結果、未来を楽しむことができているんだと思います。話してくれたように、プロとしてのスキルがあったうえで関係性を紡ぐスキルを身につけたのが、僕のパターンですね。

―ほかにもパターンがあるということですか?

のぶさん 横軸を探究するほか、縦軸を探究すれば未来を楽しむこともできるようになると思います。ふつうの友人関係を築いていく中で仕事のスキルも磨き、友人と一緒におもしろい仕事の企画をしていく…といったような感じですかね。仕事と関係性の両方で人とつながることができるようになると、友だちから企み仲間になるんだと思います。

「一緒に武道館に立とうぜ!」

―左上のプロフェッショナルにいた営業職時代には見えなかった右側の世界って、どういう世界なんでしょうか?

のぶさん 仲間と一緒に未来を描けるようになりましたね。以前は“今”成果を出せるのかという問いに向き合っていました。

―フォーカスが今から未来にシフトしていったのですね。とはいえ、ほとんどの人はプロフェッショナル(図の左上)かふつうの友だち(右下)である中で、「一緒に未来を描ける」といわれてもあまりイメージがわきにくいと思います。

のぶさん ああ、それでいくとユーダイモニアとへドニアの話かもしれません。

―ユーダイモニアとへドニア? どういうことでしょうか?

のぶさん ふつうの友だちって「昨日のテレビ面白かったよね」「最近話題のあのお店に行ってみようよ」といったように、一緒に楽しめる話題で盛り上がると思います。でもこうした消費的な楽しさって、一時的で長続きしませんよね。これを僕は”へドニア”と呼んでいます。

それに対して一緒に未来を描くというのは、自ら楽しさを創造する行為だと思います。消費者ではなく生産者にまわるんです。例えて言うならば、好きなアーティストのライブを観に武道館へ誘うのが今までの消費的な遊びで、演者として「一緒に武道館に立とうぜ!」と誘うのが創造的な遊びという感じです。これをユーダイモニアといいます。

―一緒に未来を描けるようになるというのは、遊び方がアップデートされるということなんですね。

のぶさん そうそう。小さなライブハウスを自分たちのお客さんで埋めるところから始まって、学園祭やイベントでのヒーローまで発展して、日本中を歌で感動させるところまで広がっていく…。成長するのがえらいわけじゃないけど、ユーダイモニアを楽しめるようになると、へドニアだけだと物足りなくなるんですよ。

―確かに「一緒に武道館に立とうぜ!」と誘うのはワクワクするし、特別感がありますね。のぶさんにとってのそれは、さとのば大学なんですね。

のぶさん そうですね。さとのば大学は「日本の教育をバージョンアップしようぜ!」って一緒に描いている感じです。未来を楽しめる人が増えることで社会はよりよくなっていくと思うし、そのための時間をさとのば大学では用意しています。

―さとのば大学での時間を過ごした卒業生は、生き生きと楽しそうですもんね。話を聞いていく中で、どうしてアスノオトがパラレルキャリアを推奨しているのか、なんとなくわかった気がします。

(インタビューここまで)

ニューノーマルという言葉が出てきた通り、この2年ほどで私たちの生活はあっという間に変化しました。働き方も生き方も多様化する今、何を指針に生きればいいのだろう。そんな風に悩みを抱える人もいると思います。

やりがいや好きなことを見つけるのもいいですが、自ら楽しさを想像する力も同じくらい大切です。特にビジネスパーソンの方は、環境に左右されずに置かれた状況下で仕事を楽しむことや自ら仕事をつくり出していくことも必要です。

へドニアからユーダイモニアを楽しめるようになる過程に「探究する力」と「関係性を紡ぐ力」があると、今回のコラムで話しました。副業が当たり前になりつつある今、パラレルキャリアやプロボノといった仕事以外での時間の使い方は、この力を鍛えるために使ってみてはいかがでしょうか。

人をくじけさせるのも人だけど、人を勇気付けるのも人なのだと、つくづく。