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人口440人、可能性は無限大。福島県葛尾村の「地域プロジェクトマネージャー」だからできる“復興の先にあるむらづくり”とは #仲間募集

この求人の募集期間は2021年8月1日から2021月9月20日です。募集要項はこちらをご覧ください。

福島県が今、移住・定住促進に力を入れていることをご存じでしょうか。

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、原発事故)から2021年で丸10年がたち、福島県に暮らす人たちの多くは、震災前と同じとは言えないものの、震災前と同じような日常を取り戻しつつあります。

ですが、原発事故の影響を大きく受け、暮らしていた町・村から避難を余儀なくされた地域は、また様子が違います。

一旦町や村に暮らす人全員が町村外に避難し、数年に渡り故郷に戻れない日々が続きました。数年ぶりに戻ることが許された時には、人が住まなくなった町は、すっかり姿を変えてしまっていました。また、避難先で仕事や学校などの生活基盤ができ、故郷に戻らないという選択をする人も多くいます。

そんな中、生まれ育った地域への愛着、土地や家の継承などで、故郷に戻る人も少なからずいます。そしてその土地に可能性を感じ、新しく暮らし始める人も。今回「地域プロジェクトマネージャー」を求人する葛尾村(かつらおむら)は、そんな人が増えている地域の一つです。

葛尾村は、2021年度から5年をかけてさらに移住者を増やし、新しいむらづくりの取り組みを加速させていく事業をスタートさせており、その事業の担い手となる「葛尾村地域プロジェクトマネージャー」を募集中です。そして葛尾村では、未経験から地域でのプロジェクトマネジメントに携わるようになった方が、大きなプロジェクトを成功させるなど、活躍してきたのだとか。

「葛尾村地域プロジェクトマネージャー」とはどんな仕事なのか、そしてなぜ地域プロジェクトマネージャーが活躍できる環境なのか。そんな問いを持って葛尾村を訪ねると、「あたらしい村の姿を思い描き、仲間と共に実現する」というやりがいのある仕事と、それを支える環境が見えてきました。

人口は大きく減ったけれどプレイヤーは若返った村で、新しいむらづくりを

葛尾村は、福島第一原発のある沿岸地域から、車で約1時間ほど内陸に入った、緑深い山を背負う山村です。今回「葛尾村地域プロジェクトマネージャー」を募集する「葛尾むらづくり公社」の拠点施設である「葛尾村復興交流館あぜりあ」も、素晴らしい景観の山々に囲まれています。

震災前は約1500人が村で暮らしていましたが、2021年8月時点で村に帰還した村民は約330人。震災後に村に移住した約110人と合わせて、現在は約440人ほどが村で暮らしています。

右手の建物が、勤務場所の一つとなる「葛尾村復興交流館あぜりあ」

活動拠点「葛尾村復興交流館あぜりあ」は、2020年度のグッドデザイン賞を受賞した建物でもあります

葛尾村の主幹産業は、農林業や畜産業といった第一次産業です。稲作や野菜の生産はもちろんのこと、畜産業では、震災前からの肉牛のほかに羊の飼育を始めた会社や、観光と乳製品生産を目指し、ヤギ牧場を始めた事業者など、新たな産業も育ちつつあります。

そして今の葛尾村の大きな魅力の一つは、地方都市には珍しく、村で働くプレイヤーに比較的若い世代が多いことです。これは震災と原発事故で全村民が避難した結果、震災前の事業者や商工会が機能しなくなってしまったという要因もあるようです。だからこそ今の葛尾村では、田舎ならではのしがらみにとらわれることなく、新しい事業を始めやすい状況になっているともいえます。

取材では、生後20日の双子の牛に会うことができました。ほんのりミルクのにおいがしました

肉牛と羊の飼育を行っている、株式会社「牛屋」の吉田夫妻。葛尾村には、吉田さんのような若い事業者も多いようです

葛尾むらづくり公社は、そのような事業者たちと連携したり、震災前に葛尾村にあった文化や産業をいかしたりしながら、新たなむらづくりを進めている、民間のまちづくり会社です。

10人いる職員の年齢層は、20代~60代までまんべんなく揃っており、男女比も半々。葛尾村生まれ・育ちの生粋の葛尾村出身の人もいれば、福島県内や東北・関東から移住してきた人まで、多様なメンバーで構成されています。

同公社の事務局長代理で、採用担当も務める、米谷量平(まいや・りょうへい)さんは、「家族のような職場なので、単身で来てもファミリーで来ても、すぐなじめると思いますよ」と笑顔を見せます。

職員全員が揃った写真は撮影できなかったのですが、多彩な顔触れであることがわかる写真です

記者から葛尾むらづくり公社職員へ 「どうしてもプレイヤーになりたかった」

今回の求人についてお話を伺った米谷さんの前職は、なんと新聞記者。福島県の地方紙「福島民報」で記者・支局長として10年勤めあげ、平成から令和に代わるタイミングの2019年5月1日に、葛尾むらづくり公社の職員となりました。

米谷さん 記者2年目の年に、東日本大震災が発生しました。

震災翌年に本社(福島市)の社会部に配属され、震災による津波で家族を亡くされた遺族の方を、50人ほど取材しました。2014年に新聞協会賞を受賞した「東日本大震災 東京電力福島第一原発事故『原発事故関連死』不条理の連鎖」というプロジェクトにも参加し、原発事故関連死の遺族の方の取材も行いました。

米谷さんはその後、福島市の本社から須賀川支社(須賀川市)を経て、2015年4月から田村支局(三春町)の支局長となりました。三春町は葛尾村から車で45分ほどの場所にあります。震災直後から現在でも、多くの葛尾村民が避難しており、当時は葛尾村役場も仮設の村立小中学校も三春町に置かれていました。

米谷さん 記者として、避難中の葛尾村役場や小中学校の行事に取材のためにほぼ毎日通い、村長から村民一人ひとりまで、ざっくばらんに話せる関係を築いていきました。

そして、避難指示準備から2016年6月の避難指示解除(一部帰還困難区域を除く)の一部始終を取材し、まだほとんどの村民が戻らない解除後の村にも通いました。村民の帰還の過程もすぐそばで見て来たので、切実に人が、特に事業や活動に取り組むプレイヤーが足りない村の状況が手に取るようにわかっていたんです。

でも記者として、メディアとしてできることは、その状況を広く伝えることだけで、村の人々と共に動くことはできない。村に求められている「プレイヤー」側になりたいと強く思うようになり、記者を辞め、葛尾むらづくり公社の職員になりました。

田舎ならではの「濃い関係」を楽しんでほしい

米谷さんには、大きな人生の軸があると言います。それは「人と人をつなぎ、人と必要なもの・ことをつないでいくこと」。新聞記者もむらづくり公社職員も、その軸に沿って選んだ職業で、葛尾村では、最前線の現場で働く人たちが報われるための仕組みをつくりたいと考えています。

とはいうものの、米谷さんには奥さんと小さなお子さんがいます。スーパーもコンビニもない小さな村に暮らすことや、新聞社という大きな会社から小さな村の公社職員へ転職することを、家族はすぐに賛成してくれたのでしょうか。

米谷さん 自分としては、大きな組織から出て挑戦したい気持ちがあったし、葛尾むらづくり公社だったら、新聞社時代に培ったスキルや人脈をフルにいかしながら、公社の運営を通して自分自身を磨くことができると確信していました。

葛尾村は、子育て支援も充実(※)しているし、妻が働ける環境も整っている。「買い物環境には多少の不自由があり、一旦収入も下がるかもしれないけど、子どもが育つ環境としても、自分たちの労働環境としても、長い目で見たら今よりも必ず良くなる」と、半年くらい毎日プレゼンし続けました(笑)

※葛尾村では「葛尾村みらい子ども助成金」として、村内に居住している児童・生徒(15歳以下)を養育している保護者に、子ども一人につき毎月2万円の助成金が交付されます

葛尾村に暮らして2年たった今では、奥さんも地域の人々と関係ができ、「葛尾村でよかった」と言ってくれているそう。

米谷さんは、自身の経験から、「家族と一緒に移住してきたほうが、より村に馴染みやすいかも知れない」と言いつつも、「村の人たちとも葛尾むらづくり公社のメンバーとも、自然と関係が濃くなるので、単身で来ても寂しくなることはないのでは」と笑います。

米谷さん とにかくどこに行っても必ず知り合いに会います。会わないほうが難しい。
今はコロナ禍でなかなかできないけれど、何かにつけて飲み会も多いし、むらづくり公社のメンバーで旅行に行ったりもしていました。

人口が少ない村では、お互い関わりを深めて助け合っていかないと生きていけないんです。なので自然と、関係は濃くなります。
そういう、田舎ならではの「濃い関係」を理解し、楽しめる人であれば、ここでの暮らしや仕事に可能性を感じてもらえると思います。

葛尾村の「次の10年」をつくる「葛尾村地域プロジェクトマネージャー」

葛尾むらづくり公社は2018年3月の設立以来、村役場と連携し、村の魅力や資源、文化をいかした活動に力を入れてきました。2019年には、葛尾村で江戸時代から明治時代にかけて、村内の大名屋敷で鑑賞されていたという「薪能(たきぎのう)」を約160年ぶりに復活させるイベントを開催。また、村内での自転車レース「ツール・ド・かつらお」は2021年4月の開催で7回目を迎える人気のイベントとなっています。

このようにユニークな取り組みは生まれているものの、「葛尾村の可能性は、まだまだこんなものじゃない」と米谷さんたちは考えています。文化や伝統、生業、自然資源、全国からの協力…そうしたリソースが集まる葛尾村だからこそ、移住者が増えれば、地域はもっともっと魅力的になるというのです。

そこで葛尾村は、2021年度から5年をかけてさらに移住者を増やし、新しいむらづくりの取り組みを加速させていく事業をスタートさせています。今回募集しているのは、その事業の担い手となる「葛尾村地域プロジェクトマネージャー」です。

2019年に村内の屋敷跡で行われた「薪能」 (写真: 葛尾むらづくり公社提供)

2021年4月に開催された「ツール・ド・かつらお」の様子(写真: 葛尾むらづくり公社提供)

「葛尾村地域プロジェクトマネージャー」が取り組む業務は、多岐にわたります。移住定住促進のためのプロジェクトのマネジメント、イベントの企画・運営、地域内外への情報発信、協力する関係省庁・企業とのコミュニケーション、などなど。業務が明確に決まっているというよりも、自ら課題を見つけ、解決策を考え、協力者と一緒に取り組みを進めていくという、「課題解決型」の仕事です。

特に「葛尾村地域プロジェクトマネージャー」に求められるのは「企画力」だと、米谷さんは語ります。

米谷さん 葛尾村は本当に資源がたくさん集まっている地域です。自然資源はもちろん、文化や伝統、村をよくしていこうとする村民の熱意、中央官庁や企業の協力など、他の地域では考えられないほどたくさんの資源があります。

でも、今はそれをいかした企画を考え、実行していける人が足りていなんです。逆に、そんな企画を自分で考えられる人だったら、こんなに可能性を秘めている地域は他にないんじゃないかな。

僕自身、プロジェクトマネージャーの経験がないなかで、村の設計にがっつり関わらせてもらったり、中央官庁や大企業の方と一緒に億単位の取り組みをやったりすることができたのは、葛尾村だったからこそ。おおげさかもしれませんが、地域プロジェクトマネージャーにとって葛尾村は「なんでもできる場所」だなと、個人的には思っています。

もしかしたら、「葛尾村地域プロジェクトマネージャー」の仕事は、与えられた仕事をこなすことが得意な人にとってはむずかしい仕事かもしれません。でも、「課題に対して、自分で考え、たくさんの資源をいかして解決していく」ことが得意で、「地域でのプロジェクトマネージャー」として活動していきたいと考えている方にとっては、大きな活躍の可能性がある場になるはずです。

また、「震災復興のために」という気持ちで応募するのも、少し村の期待と齟齬があるかもしれません。東日本大震災と福島第一原発事故から10年が経過した葛尾村は、当然のことながら震災前とは大きく状況が異なります。震災前の生活をそのままもとに戻すのではなく、村に息づく文化や伝統、生業をいかしながらも、新しいアプローチが必要です。いわば、マイナスをゼロに戻す復興ではなく、「他に類をみない、あたらしいむらづくり」への挑戦。次の10年に向けて、今まさにその動きが始まろうとしているのです。

今回採用になる「葛尾村地域プロジェクトマネージャー」は、葛尾村の次の10年のキーパーソン。5年後、10年後には、「あの葛尾村の取り組みの中心には、『葛尾村地域プロジェクトマネージャー』がいたんだ」と言われるような存在になっているはずです。

ただ、「企画力」があったとしても、移住者という立場では、今の葛尾村に合った形ですぐにその力をいかすのは難しいようにも感じますが、その点は米谷さんやむらづくり公社職員が全面的にバックアップするそう。

米谷さん 最初の2~3カ月は、まず村・地域・人を知る期間に充ててもらいたいと考えています。半年後くらいから企画を立て始め、1年後には独り立ちしてもらうようなイメージです。

村内外の人脈はもちろんつなぎますし、新聞社時代も含めた私のスキルもすべておわたしするつもりです。職員同士のコミュニケーションが密なので、何かと相談しやすい環境だと思いますし、2~3カ月に1度は、一人ひとり仕事内容のヒアリングを行っているので、メンタル面もサポートできると思います。

あたらしい村の姿を思い描き、仲間と共に実現する

東日本大震災発生から5年ほどは、地震や津波の甚大な被害、未来が見えない福島の原発被災地の状況などに突き動かされ、「復興のために」移住してくる人が多かったように思います。

もちろん葛尾村で働く以上、震災で何があったのか、村が震災前どんな暮らしをしていたのかを知ることは必ず必要です。それは、米谷さんをはじめとする葛尾むらづくり公社のメンバーが、どこよりも詳しく伝えてくれるはずです。

しかし、震災から10年が経過した今、葛尾村に求められているのは、「元に戻す力」ではなく、「あたらしい村の姿を思い描き、仲間と共に実現する人」です。そしてそれこそ、「葛尾村地域プロジェクトマネージャー」という存在に他なりません。
「復興」という言葉にとらわれず、次の10年をつくっていく。
「葛尾村地域プロジェクトマネージャー」はとてもやりがいと可能性のある仕事だと感じました。

(写真:中村 幸稚
※「薪能」、「ツール・ド・かつらお」の写真は、葛尾むらづくり公社提供

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– INFORMATION –

9/16(木)オンライン説明会開催!

 9/16(木)に、グリーンズジョブと葛尾村は今回の求人についてのオンライン説明会を開催します!すこしでも興味を持った方は、ぜひご参加ください。

イベントの詳細・申し込み

また、動画としてアーカイブすることで、「興味があるけど当日参加できない!」という方にも後日共有していく予定です。アーカイブ視聴は「グリーンズジョブオンラインコミュニティ」にて公開いたします。ご希望の方はこちらのページをご確認のうえ、ご参加ください。