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お金からつながりへ、暮らしのきほんをシフトする「ローカリゼーション」。辻信一さん・鈴木菜央に詳しく教えてもらってきました!

突然ですが、みなさんは「ローカリゼーション」という世界的なムーブメントをご存知ですか?

人々のつながりと多様性という土台の上で繁栄する、わたしたちの「新しい物語」。

人も自然も再生していく(再生的 / Regenerative)暮らしと社会のあり方を模索する世界的なムーブメント。

地域内で資源とつながりの循環をどう起こしていくか。その解を見つけて、住民の幸せをKPIにした経済につくりかえること。

グリーンズメンバーや関係者に「ローカリゼーションって何?」と尋ねたら、それぞれの解釈が返ってきました。とはいえ、上記を読んだだけでは、まだイメージができない人も多いのではないでしょうか。

しかし、新型コロナウイルスによる人びとの暮らしの変化も起爆剤となり、ローカリゼーションは確実にわたしたちの暮らしにインパクトを与えていくことになりそうです。

世界のローカリゼーション運動をネットワークする国際組織ローカル・フューチャーズは「World Localization Day 2021」と題し、6/15〜6/20の5日間、さまざまなオンラインプログラムを展開します。日本では、2021年6月12日には、辻信一さん(ナマケモノ倶楽部)、片山弘子さん(NPO法人GEN-Japan)、鈴木菜央(NPO法人グリーンズ)の3人が呼びかけ人となり「ローカリゼーションデイ日本」の開催が決まりました!

今回は、まだローカリゼーションの解像度が高まっていない、グリーンズ第2編集部=greenz challengers community(以下、GCC)のメンバーが、辻信一さんと鈴木菜央をキャッチ。ふたりの言葉でローカリゼーションを説明してもらったり、開催迫るオンラインイベントの内容を教えてもらってきました。

新しいことじゃない、みんなが親しんできたことですよ

GCC 「ローカリゼーション」という言葉を聞いて、「グローバリゼーション」と似ているなと思いました。でも方向性としては真逆に近くて、「地域」「自然」「つながり」というイメージを持ったのですが、「ローカリゼーション」について、辻さんの言葉で教えてください!

辻さん 私たちの毎日のくらしに必要なものやサービスのやりとりを、なるべく近い地域でできるようにしよう、というのがローカリゼーションです。そうすれば、どこか遠くの誰かがつくったものに頼らず、あまりエネルギーを使わずに、より安全で健康にいいものが手に入りやすくなる。近くに仕事もたくさんできて、地域の町や村がにぎわい、楽しくなる。そして、若者も子どもも増えます。

反対にグローバリゼーションでは、わざわざ地球の裏側から、冷凍・冷蔵し、包装した食べものを、大量のエネルギーを使って運んでくる。それも、森林を切り開いて農場をつくったり、危険な農薬や化学肥料を使ったりして。それでお金もうけをする大企業に私たちの生活を任せないで、経済を身近なところに取り戻そう。それがローカリゼーションです。

辻信一(つじ・しんいち)。環境=文化アクティビスト。文化人類学者。「ナマケモノ倶楽部」代表。

GCC なるほど、ありがとうございます。

地球の裏側からエネルギーを使わなくても、地域内で安全で豊かな食べものやサービスが手に入る。自分の住むまちで、そんなことができたら素敵だろうなと感じました。菜央さんは、いかがですか?

菜央 近くに住む仲間たちと、自分の畑や近所で採れた恵みを食べる。
子どもたちを、みんなで育てる。
仲間から買うことで、仲間の暮らしの一部になれる。

そういう、自然とつながり、仲間とつながった中で生きる幸せが、ローカリゼーションです。

鈴木菜央(すずき・なお)NPO法人グリーンズ共同代表。

GCC 仲間から買うことで、仲間の暮らしの一部になれる生活。それは気持ちがいいし、おもしろそう!

GCC 菜央さんは「ローカリゼーションデイ日本」のディレクションを、特に中心になって担当していると聞きました。どんなイベントにしたいと考えていますか?

菜央 「ローカリゼーション」ってカタカナがいっぱいの言葉だけど、実はみんなが親しんでいる「地域でやろう」とか「地元」「地産地消」「コミュニティづくり」だと思うんです。

GCC なるほど、言葉は新しく感じるけれど、前から日本でも続いてきたことなんですね!

菜央 そもそもローカリゼーションという概念以前に、日本で「地域」とか「ローカル」を求める動きはずっと昔からあるし、特にここ数年大きなうねりになっていると思うんだけど、ローカリゼーションに関わる多様な人たちを集めることで、多様性を楽しむ「おまつり」にしたいな、というのが今回の狙いですね!

GCC おまつりと聞くと気軽に参加できそうです!

気になるオンラインイベントの内容は?

6月12日(土)オンラインで開催される「ローカリゼーションデイ日本」は、ナマケモノ倶楽部、NPO法人グリーンズ、NPO法人GEN-Japan、NPO法人トランジション・ジャパン、日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会により実行委員会によりオーガナイズされる、10時間に及ぶオンラインイベント。しかも参加無料です!

プログラムは、日本各地でローカリゼーション運動を実践していたり、日本の風土に根付いた思想を伝承し続けている人びとのインスピレーショントーク(基調講演)。さまざまなテーマを掲げて開催される分科会、さらに参加者同士が「このムーブメントをどう広げていこうか?」「自分は何から始められるだろう?」と対話ができる場や、フリーアジェンダの時間も予定されているのだとか!

気になるインスピレーショントークのゲストは、平野馨生里さん(石徹白洋品店)、小野寺愛さん(そっか)、高野翔さん(福井県立大学地域経済研究所)など、greenz.jpでもおなじみの豪華メンバーが揃います。

分科会は非常にたくさんの小部屋ができるそうですが、鈴木菜央とソーヤー海さんによる「命を大切にするまちをつくるには? いすみオーガニックタウンの挑戦から見えてきたこと」、NPO法人トランジション・ジャパンによる「コミュニティがある暮らしってどんな感じ?豊かなつながりをどうやってつくってきたのか話してみませんか?」など、グリーンズがかかげる「いかしあうつながり」と結びつくようなテーマばかり!

最新の情報と申し込みは、オフィシャルサイトへ。


「ローカリゼーションの土台は地元の食べ物をみんなでともに楽しむこと」として、ローカルな食を楽しむまつりの自主開催を呼びかけています


「ローカルフードまつり」、どうやって開催すればいいの? というあなたには、この動画がおすすめ!

GCC ちなみに、辻さんがイベントのディレクションを菜央さんに依頼した理由は?

辻さん 菜央さんほど、ローカルと、良い意味での「グローバル」を体現している人はなかなかいないと思うんです。

ぼくが知り合った20年近く前からずっと、”Think globally, act locally(世界的な視野を持ってローカルに行動しよう)“を当たり前のように考え、実行してきた人。気候変動などの深刻な問題をつくったのは、ぼくたち上の世代で、その被害の大部分を被る当事者は若い世代や未来の世代。だから上の世代は、今こそリーダーシップを全面的に若い世代にあけ渡すべきだと思う。

菜央さんとgreenz.jpは、このバトンタッチのつなぎ役をしてくれると期待しています。

2019年開催「しあわせの経済国際フォーラム」にて。中央にいるのは、「World Localization Day」の発起人で、映画『幸せの経済学』で知られるヘレナ・ノーバーグ=ホッジさん

自然や人間は、もともとワンダフルでビューティフルなんだ

GCC 以前から、つながりやローカルは辻さんの活動で大きなテーマだと思いますが、この「ローカリゼーションを広めよう」という原動力は何ですか?

辻さん ぼくの原動力は、自然や人間って、もともと奇跡のようにワンダフルでビューティフルなものなんだ、という性善説と、ぼくなりの楽観主義ですね。

もちろん人間には長所も短所もある。地球の裏側の人に思いやりをもつのは難しくても、近くの人が困っていたら、助けたくなる。でも、ぼくたちは基本的にいい人たちなのだ。そしてそのいい面が一番よく発揮されるのが、ローカルです。

GCC なるほど。

辻さん 家族や友だちへの愛情、コミュニティでの親切という土台の上に、世界の平和を、未来の世代や他の生きものたちの幸せを祈ることのできる自分をつくっていけます。ぼくの活動は、環境=文化ムーブメント。なぜなら、気候変動などの環境問題は、孤独や孤立、精神的な病、いじめ、民主主義の衰弱、さらに新型コロナウイルスのような感染症は、同じ根っこから生まれたものだから。

GCC 世界の平和や他者への幸せを祈るためには、まずは身近な人たちへの愛情が大切ですね。一方で、ローカリゼーションを都市部に住んでいるわたしたちがどのように実践し、推し進めていけるのだろうと悩んでもいます。

辻さん 都会には仕事、お金、モノやサービス、ビジネスが集中し、それらに人が群がる。でもその一方で、持続可能性が一番低いのも大都会です。競争、格差、忙しさ、孤立、汚染、混雑、自然の欠如などが、毎日、真綿のように都会人の首を絞めているからです。

辻さん 都会に住む人々のローカリゼーションとは、お金以外の大切なつながりを自分の暮らしの中に少しずつ取り戻していくこと。ローカル、エコ、コミュニティ、エシカル、オーガニックなど、自分の中に基準をたてよう。グローバルからローカルへの転換を政治の世界に反映させるため、投票や投稿、署名や寄付など、できることをしよう。

GCC 暮らしの中に、お金以外の大切なつながりを取り戻す。これなら都会に住んでいても、行動できそうな気がします! そんなローカリゼーションが浸透した先には、どんな未来が待っていると思いますか?

辻さん 幸せな未来を開くのは、AIでもバイオテクノロジーでも宇宙開発でもなく、賢さでも無限の欲望でも闘争心でもなく、人間のグッドネス(よさ)、ケア(思いやり、親切、支え合い、助け合い)、そしてフェアとエシカルの感覚。これこそが、狩猟採集民から、現代の私たちにまで、脈々と受け継がれてきた人間の本性です。

今では隅に追いやられている、人間のこの最良・最大のポテンシャルを、再び開花させる。それが人類存続への唯一の道だと思います。

辻さん これまでは「セパレーション(分離)」、でもこれからは「リレーション(つながり)」の時代。人間は、他の人たちとのコミューナル(※1)なつながり、自然界とのエコロジカル(※2)なつながりにしっかり支えられなければ、生きていけない。そして実は、これらのつながりの中にこそ、あらゆる幸せと豊かさの可能性が潜んでいるんです。

(※1)コミューナル communal:共有の、共用の地域社会の、地方自治体
(※2)エコロジカル ecological:生態学の、生態学的な、環境保護の
(出典元: 英辞郎 on the WEB)

GCC 人類が昔から大切にしてきた、人や自然界とのつながりこそが、これからの時代のキーワードなんですね。菜央さんはどうですか?

菜央 各地で、奇跡みたいな、素敵なことが起きると思います。

困ったことがあっても助け合う仲間が増える。食べものをみんなで自給したり、保存したり、食べたりできる。太陽や雨を暮らしに活かせるようになる。災害や経済危機が襲ってきても、食べものはある。水はある。仲間がいる。そういう生き方が世界に広がっていくと思います。

GCC おふたり、ありがとうございました!

(インタビューここまで)

(取材: greenz challengers community)
(写真提供: 廣川慶明、梶間陽一、ナマケモノ倶楽部、スズキコウタ、Unsplash)
(Text: 中鶴果林、塩澤僚子)

– INFORMATION –

ローカリゼーションデイ日本(World Localization Day)

日時:2021年6月12日(土) 10:00〜20:00
会場:オンライン(Zoom)
参加費:無料
ホスト:辻信一(ナマケモノ倶楽部)、鈴木菜央(NPO法人グリーンズ)、片山弘子(NPO法人GEN-Japan)
ゲスト:たいら由以子(ローカルフードサイクリング)、古村伸宏(ワーカーズコープ連合会)、平野馨生里(石徹白洋品店)、小野寺愛(そっか)、山口愛(イマジン盆踊り部)、その他多数!
申し込み:https://peraichi.com/landing_pages/view/localizationdayjapan