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キラキラに憧れて東京へ。でもいまは、地方の魅力を一層感じる。「U25なグリーンズ女子」3人のユルくて自由な鼎談、第3回

グリーンズが掲げるビジョン「いかしあうつながり」。この考え方をベースにした社会づくりには、多世代の価値観・思想・行動力を学び合うことが大事だと思います。

とはいえ、時に大人は、若い世代の流行や文化についていきづらくなり、つい皮肉や批判を言ってしまいがち。でも、多感な20代を過ごす彼・彼女たちだからこそ見える景色があるはず。

そこでgreenz.jpでは、第2編集部「greenz challengers community」のメンバーを中心に、U25(Under 25)チームを結成。25歳以下の「グリーンズ女子」たちによる自由なトークを連載でお届けしています。今回のテーマは、東京と地方。大きな心、ゆる〜い気分でお楽しみください。

かめちゃん

かめちゃん

学生時代に田舎好きが開花したものの、地元・新潟を離れ東京に住んでいる。10歳離れた姉に甘えてばかりの社会人3年目。


ざーさん

ざーさん

観光まちづくりを学ぶ大学3年生。高校生の頃の朝練・朝勉の名残りなのか、今でもどんな時間に寝ても朝4時ごろには起きてしまう、おばあちゃん体質の持ち主。パンを「見る」のが大好きで、最近、「いかにも買う雰囲気を出しながらも、ただパンを眺めて店を出ていく」というスキルを身につけた。


しおちゃん

しおちゃん

1998年、長野県生まれの大学4年生。大学進学を機に神奈川県茅ヶ崎市に住み、海が大好きに。(実は潮の香りが苦手だった。)友人からは行動力があると言われますが、よく言われるからか行動力のある人になろうと意識していることに最近気づきました。

下宿先で出会った「リアル人生フルーツ」

しおちゃん ざーさんはずっと東京?

ざーさん うん、ずっとほぼ東京。生まれはフランスなんだけど(笑)

かめちゃん えっ???

ざーさん そう。

しおちゃん 全然知らなかった(笑)

ざーさん 言ってなかったっけ(笑) でも2歳までしかいなくて全然記憶はないんだけど。そこから横浜でずっと育ってるね。かめちゃんは出身どこだっけ?

かめちゃん 出身は新潟県。もともと都会に憧れていて、田舎なんか嫌だって思った。でも、田舎に対する私の価値観が変わった出来事があって。

しおちゃん そうなんだ!

かめちゃん 大学のときに、田舎体験インターンという、ただ1ヶ月間その地域に行って、与えられたミッションに対して、自分たちのやりたい方法で取り組むことをしてて。

ざーさん へ〜

かめちゃん さらに大学4年生のときには、「大学の近くで知り合いの老夫婦がいて、そのお家の部屋が余っているんだけど住まない?」と言われて、その家に下宿をしてた。当時、地域の人と会うことが授業などで多かったから、「めっちゃ住みたい!」と思って。その老夫婦は『人生フルーツ』っぽい暮らしをしていて。

ざーさん まじで! めっちゃいい(笑) しおちゃん、『人生フルーツ』見たことある?

しおちゃん いや、見たことはないけど、予告の映像とかなら。ほぼ自給自足の暮らしっていうやつだよね。

ざーさん そうそう。いいよねぇ。

かめちゃん 下宿先の老夫婦ふたりに影響されて、「暮らしを大事にするってほんとに幸せだなあ」と思った。

ざーさん 例えば?

かめちゃん 例えば、老夫婦のおじいちゃんがバラを育てるのが好きで、庭に何種類もバラが育てられているの。それで毎朝、そのバラを切って奥さんに渡すのね。

ざーさん うわ、いいねぇ(笑)

かめちゃん 奥さんは「お父さん、ありがと」と言って、その花を朝ごはんが並ぶ食卓の花瓶に差すんだよ。ほっこりする。手づくりするのが当たり前。私の具合が悪くなったときに手づくりの梅エキスや、アトピーの私のためにヨモギオイルをつくってくれたり。

しおちゃん へ〜!

しおちゃん でも、今、練馬区に住んでいる理由は?

かめちゃん 地域疲れしちゃったんだよね。その頃に、お年寄りと学生のマッチングを広めたいと思って、「多世代ホームシェアプロジェクト」を企画したら、意外とポンポン進んで、地域の主要な人や大学や市役所の協力まで得られちゃったのね。ちゃんとした事業としてやっていけそうかも、と思うくらい手ごたえがあった。でも「なんか違う」、と思うようになったんだよね。というのも、地域の人に言われた一言がきっかけ。

「若くて、ここに住んでいるということ。それがあなたの最大の価値。」

かめちゃん ってね。これを言われてしおちゃんならどう思う?

しおちゃん それって「若ければ自分じゃなくても誰でもいいの?」って感じちゃうけど、反対に田舎出身の身からすると、若者がいてほしいっていう気持ちも分かるな・・・。

かめちゃん なるほどね。わたしは、「若者」「地域市民」という枠組みに当てはめれば誰でもよかったのかもしれない、と思ったんだよね。だから、自分に自信がなくなってしまって、何のためにここにいるのかわからなくなってしまったんだ。だから、全てをリセットするためにいったんその地域を離れることにした!

ざーさん なんかこの話、めっちゃ聞けてよかった。

都会のキラキラに憧れたけど、やっぱり自然もほしい。

しおちゃん 新潟から東京に出てきて、かめちゃんは今後どっちに身を置きたい?

かめちゃん 理想は自然のあるところに行きたいけど、働くことを考えるとやっぱ都会の方が仕事があるし。そして出会う人とか、いろんな面で充実してることもあるからどっちともいえないな。いまは決められない。

しおちゃん 私も田舎から上京してきたから、そういうところにすごい迷ってる。

かめちゃん やっぱり、そうなんだ!

しおちゃん 私の故郷はど田舎だったから、東京のキラキラに憧れていたときもあったよ。地元で散歩していると、見渡す限り山だったの。それが高校生のときに「ここに閉じ込められてる」っていう思いが強くて。

かめちゃん 特有の閉塞感(笑)

しおちゃん そうそう。「あ、ここから抜け出せないんだ」って思ったときもあったんだけど、でも逆に都会にいると自然にふれあいたいとも思う。

かめちゃん そうそう、都会に来たら自然がほしくなる(笑)

しおちゃん だからこの1年は地元に帰りたいという思いが強くなったかも。

ざーさん へ〜。いずれ?

しおちゃん いずれは帰りたいなって。それでかめちゃんと住んでいたおばあちゃんたちみたいな生活がしたいなって。

かめちゃん いいね。わたしもいずれ、自分で食べるものを自分でつくりたい。

ざーさん これからの人生設計は、わたしたち共通してるところがあるかも。

かめちゃん プロジェクトをやりたいとかは、いまは思ってない。自給自足まではいかなくても、野菜だけは家庭菜園で食べるとか、一緒にいる人を大事にする生活をしたいよね。

さて、誰に出会いに行こうか。

ざーさん いろいろな人と出会いたいという気持ちがあるよね。

かめちゃん ほんとそうだよね!

ざーさん 座学とは違って、いろいろなところに行きながらフィールドワークで学べるって聞いて、いまの大学を選んだし。そしてかめちゃんと同じように、まちづくりに興味がある。

しおちゃん うんうん。

ざーさん まちづくりって、それを仕事としてマネージメントする側と、市民として実際に動く側があるじゃん? 前はマネージメントする側に興味があったんだけど、インターンとか通して考え直したら、「周りでわらわらしてる人」が性に合ってるかなと思ってきた。まちづくりの関わり方って色々あるんだよね。

かめちゃん ちなみに、今後会いたい人、行きたい場所、これから何したいとかみんなある?

ざーさん 今わたしは就活中で、自然とこれからの生き方を考えるようになって、おもしろそうだな〜と思ったところに全部行きたくなった。行って、体験して、学んでからその中で「ここっ!」ってところに就職したいんだ。この考え、甘いのかな〜?(笑)

だから気になる人のところに住み込みで働いて、数ヶ月か数年で転々としていきたいっていうのが本心。周囲への説得が大変そうだけど、、、(笑)

かめちゃん いいね。その考え賛成! わたしは、社会活動家の湯浅誠さんに会いにいきたい。大学の先生の紹介でまちづくりのフォーラムで会ったんだ。そのときの印象が、「とことん人の悩みに寄り添う人なんだな〜。」って思ったんだよね。学生のわたしの悩みはもちろん、市役所の方とか、立場とか年齢関係なくどの人にも一歩踏み込んで寄り添う姿がとてもかっこよかったんだ。なんでそんな風な大人になれたんだろう?って思うから、湯浅さんに色々質問してみたいんだよね。しおちゃんはどう?

しおちゃん ぱっと思いつかないんだよね。

かめちゃん どうして? しおちゃんは、サステナブルファッションについて興味があると言ってなかったっけ?

しおちゃん そうそう。卒論でサステナブルファッションについて書いたんだけど、結局はサステナブルなものを大量生産・大量消費しているだけなのかもしれない、ものを売るために「サステナブル」が使われている面もあることに気づいたんだよね。それからは、どんなものであっても自分の選んだものを長く大切に扱うことが一番なんだって思っていて・・・。

だからなんとなく、何かを変えたい、何かを成し遂げたいって思うよりも自分の手の届く範囲でできることをやろうっていうように考えているのかもしれない。

かめちゃん なるほどね。しおちゃんみたいに誰かから教えてもらいたいというより、ファッションにしろ、生活にしろ、自分のペースでやっていきたい、つくっていきたい、と思っている人は他にもいるかもね?

ざーさん うんうん。今3人ともそれぞれの方向を向いてるけど、どれもきっと大切な考えだよね。この記事が同世代だけじゃなくて、これからの生き方を考え直している人たちに届くといいな〜。

(取材: あいだきみこ)
(構成: スズキコウタ)
(編集企画: greenz challengers community)