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20年分の「いい組織にしたい」の想いを集めたWebアプリ。日本の組織変革をリードするヒューマンバリューが「Ocapi」をつくった理由とは #仲間募集

グリーンズ求人での募集期間は終了しました。募集状況は株式会社ヒューマンバリューにお問い合わせください。

この人たちほど、人や組織の可能性を信じているチームは他にないかもしれません。

今回グリーンズ求人でご紹介するのは、「株式会社ヒューマンバリュー」。1985年に設立して以来、30年以上にわたって日本の組織開発の領域をリードしてきた、人材開発・組織変革に関する実践と研究開発を行う会社です。(ヒューマンバリューの哲学や働き方については、以前のグリーンズ求人の記事をご覧ください。)

そんなヒューマンバリューが今募集しているのが、組織変革プロセス指標「Ocapi(オカピ)」の運用・機能改善を進める担当者。「Ocapi」は2019年にグッドデザイン賞を受賞するなど注目を集めている、組織の変革をサポートするWebアプリです。

しかし、以前ヒューマンバリューを取材し、その「人と人のコミュニケーションを大切にし、徹底してクライアントに寄り添う」スタンスに触れていた私にとって、ヒューマンバリューがWebアプリをつくっているということが少し意外でした。

なぜヒューマンバリューは、Webアプリをつくったのか……。取材してみると、「Ocapi」というアプリに込められた、ヒューマンバリューらしい想いが見えてきました。

組織の状態を可視化するWebアプリ「Ocapi」

東京・半蔵門にあるヒューマンバリューのオフィスを訪れると、キリンのようでシマウマのような、オカピの可愛らしい人形が出迎えてくれます。

このオカピをイメージキャラクターにしたのが、組織変革プロセス指標「Ocapi(Organizational Change Process Indicator)」。2013年の11月にサービスが始まって以来、これまでに企業や自治体、病院など、約300社、9万人ほどが実施してきました。

しかし、「組織変革プロセス指標」と聞いてもなかなかピンときません。「Ocapi」とは、一体どんなサービスなのでしょう? 

霜山さん 「Ocapi」は、組織を「関係・思考・行動・結果の質」の循環で捉え、それぞれの状態を可視化し、話し合いを通して、組織が望ましい状態に向かうためのアクションを生み出すWebアプリです。

そう教えてくれたのは、「Ocapi」の開発に関わる霜山元さんです。

霜山さん 「Ocapi」の背景理論として、マサチューセッツ工科大学元教授であるダニエル・H・キム教授が2002年に提唱した「成功の循環モデル」があります。成功する組織は、「関係の質→思考の質→ 行動の質→結果の質→関係の質……」という循環が回っている、という考え方です。

霜山さん ヒューマンバリューでの20年間にわたる組織変革のプロジェクトを通して蓄積した数万件のデータを分析し、チームが進化していくモデルを検証していったところ、この「成功の循環モデル」と符合しました。そこから、この理論をベースにして、チームの進化を可視化するための鍵となる41の指標を明らかにしたんです。​

「Ocapi」では、組織のメンバーにWebでのアンケートに答えてもらうことで、各指標の数値を明らかにすることができます。また、その結果をもとに話し合いを行うことによって、チームの中で現状に対する認識を合わせることができるとともに、具体的にチームの何を変えていけば自分たちの実現したい状態に近づけるのかを検討し、変化を生み出すことが可能になるんです。

チームが進化するプロセスを示す41の指標。「Ocapi」ではこれらそれぞれの数値を明らかにすることができる。

実は私たちグリーンズも、昨年から「成功の循環モデル」をもとに組織変革に取り組んでいます。しかし、なんとなく「いい関係になってきているかもしれないな」という感覚はあるものの、取り組みが本当に成果を上げているのかはわからない……というジレンマがありました。

そこで今回、「Ocapi」をグリーンズで使ってみることに。方法はとても簡単です。「Ocapi」のページからアカウントをつくり、アンケートを作成。実施したいメンバーにアンケートを送り、回答を集めたあと、その結果をもとに自分たちで話し合いを実施します。ちなみに基本の料金は、アンケートの「回答者人数×500円」です。

アンケート結果のサンプル(グリーンズのものではありません)。「関係の質」「思考の質」「 行動の質」「結果の質」がそれぞれ数値化され、なにがいい状態で、なにに課題があるかが一目でわかります。

グリーンズでは、アンケートに回答した5名のメンバーで、結果をもとに話し合いを実施。活発に意見が飛び交いました。(グリーンズ撮影)

その結果、グリーンズでは「関係の質」「思考の質」「 行動の質」ともに比較的高い数値であるものの、「結果の質」でまだ伸び代があることが明らかに。「結果の質を上げるために、各メンバーが取り組んでいる活動の棚卸しをしてみるとよさそうだね」というアクションが見えてきました。

グリーンズ代表の鈴木菜央も、手応えを感じた様子です。

鈴木菜央 これはいいね。今回初めてやったけど、定期的に実施してみると組織の変化が定点観測できる。会社だけじゃなくて、変革しようとしている自治体やコミュニティにも役立つWebアプリだね。

「Ocapi」はグリーンズのような少人数のチームから、何万人単位の大きな組織まで、幅広く活用されているそう。霜山さんとともに「Ocapi」の開発に取り組む市村絵里さんは、「『Ocapi』の特徴は、組織をよくしたいと思っている方が、自分たちで一歩踏み出すためのきっかけになるところなんです」と語ります。

市村さん たとえば、それまでのトップダウンの体質があった1万人を超える規模の会社が、社員一人ひとりの自発的なアクションがより起こるような体質に変えていきたいという転換期に、「Ocapi」を全社で活用した事例もあります。

組織変革って、HRの担当者だけで取り組みを進めることには限界があるんです。そんな時に「Ocapi」を活用して自組織の状態を可視化し、さらにその結果をもとに話し合いを行うことで、「この状態を、こういうふうに変えていこう」「そのためにはこんなことができるかもしれない」と、メンバー一人ひとりのアクションを生み出すことができるんです。

変わりたいチームを、変わり続けるチームへ

さて、冒頭でもお伝えした私が感じた疑問。「なぜヒューマンバリューが、Webアプリをつくったの?」ということを聞いてみました。

霜山さん 根本にある想いは、ヒューマンバリューの他の事業と同じなんです。私たちは、「ヒューマンバリュー(人としての価値)」という社名にあるように、人の主体性や創造性を信じ、一人ひとりが組織をより良くしようとする小さなアクションを積み重ねていけるよう、クライアントをサポートしていて。言い換えると、「変わりたいチームを、変わり続けるチームにする」ことに取り組んでいるんです。

そのために、おっしゃるようにクライアントと密にコミュニケーションをとりながら、組織変革のプロジェクトに伴走することが多いのですが、それだけだと、社員約20名のヒューマンバリューでは関わることができる企業も限られてしまいます。貢献範囲が狭くなってしまうことに問題意識を感じている中で、Webで誰でも使えるサービスをつくることができれば、よりたくさんの「変わりたいチーム・組織」に貢献することができるんじゃないか、と考えました。​

UX・UIデザインや、話し合いのガイドとなる資料、アンケートの設問、1回答者につき500円という価格設定など、より多くの人々や組織に届けるための工夫は「Ocapi」の随所に見ることができます。そうした工夫もあって、多くの組織に広がりをみせているそう。

「Ocapi」のページには、「Ocapi」を活用した話し合いを進めるための資料が揃えられています。

また、Webアプリだからこそできることは他にもあると、市村さんは付け加えます。

市村さん 組織の方自身が組織を変えていこうとする時に、変化がわかりづらいと「取り組んだけど、なにも変わってないじゃないか」と思い、取り組みが失敗だったと諦めてしまい、自律的な変革の取り組みを続けることが難しくなってしまうことがあるんです。

ヒューマンバリューが理想とするのは、私たちの伴走なしに、組織の方自身がアクションを継続的に起こしていくこと。その点「Ocapi」は組織の状態を可視化できるので、「ここは取り組みの成果が出てきた」「次はこれが課題だ」ということがわかり、自発的な組織変革を促すことができるんです。

「良い組織にしたい」という想いの結晶が「Ocapi」

近年では、「学習する組織」や「ティール組織」など、メンバーの自発性を活かしながら組織変革に取り組むという考え方が広まっていったこともあり、「Ocapi」へのニーズも高まってきているそう。

そうした中で、今ヒューマンバリューでは新しい仲間を探しています。

霜山さん 実は今、「Ocapi」専属のメンバーはいないんですよ。私も市村も、他の仕事を持ちながら「Ocapi」の業務もしている状況なんです。

市村さん そうなんです。そのため、せっかく「Ocapi」は今問い合わせが増え、大きな可能性を秘めているサービスなのに、私たちがボトルネックとなってしまって、価値を提供できる範囲が限られてしまう懸念があって。そこで、「Ocapi」のサービスを育てることに注力していただける方に仲間になってほしいと思い、今回募集することにしました。

具体的な業務は、自身の適正や希望、社内の状況と合わせて相談しながら決めていくそうですが、たとえば「Ocapi」に関する問い合わせ対応、UX向上のための追加機能・仕様の検討や、「Ocapi」を多くの方に広めるためのプロモーション業務、さらにユーザーのなかで希望する方に「Ocapi」の活用方法を身に付けてもらう「Ocapiプラクティショナー養成コース」の運営などがあります。

また、業務の進め方には「ヒューマンバリューらしさ」があるそう。

霜山さん 「Ocapi」は、20年間ヒューマンバリューに蓄積されてきた3万件の声をもとに開発されました。それら一つひとつの声は、本気で組織の変革に取り組んできた人たちの”想いの結晶”なんですよね。つまり「Ocapi」は、僕らがゼロからつくったものというより、よりよい組織をつくりたいという想いを持ったみなさんと一緒につくってきたサービスなんです。

市村さん 以前も、新しい機能についてユーザーさんに「それはちょっと、ヒューマンバリューさんっぽくないですね」と言われて、修正したことがあります。私たち以上に、ユーザーの方がヒューマンバリューのことを理解してくださっていることもあるんですよね(笑)

だから「Ocapi」の担当になる方のお仕事は、独創的な発想でサービスをつくるというよりも、ユーザーのみなさんの声に耳を傾けながら、ヒューマンバリューの他のメンバーやデザイナーさん、プログラマーさんなど、みんなで一緒につくるというイメージが近いと思います。

このエピソードからもわかるとおり、ヒューマンバリューには同僚やユーザー、クライアントやパートナーとの「協働」を大切にする文化があります。こうした文化や、以前の記事でもご紹介したようなミッションや哲学に共感しているということは、ヒューマンバリューが仲間を探す際に大切にしていること。さらに今回の募集では、WEBアプリ運用経験がある方であれば、自らの経験を活かすことができそうです。

その人や組織に本当に貢献できている手応えがある

こうした「Ocapi」の開発に関わる仕事のやりがいは、どんなところにあるのでしょう。

霜山さん 人や組織に役立っている実感を持てるところですね。ユーザーインタビューをして、「予想もしなかったような変化が起きました」といったようなエピソードを聞くことができると、自分たちがつくったサービスがその人や組織に本当に貢献できているんだな、という実感が湧いてくるんです。​

人材開発や組織変革の仕事って、デザインや建築と違って形には残らなかったり、見えにくことが多いんです。でも、「Ocapi」の仕事をしていると、どれくらいの人や組織が使ってくださったのか、自分が関わったことがどのくらいの変化に貢献したのかが見えやすいので、やりがいを感じやすいなと思ってます。実は僕、日々「今日は何人がOcapiを使ってくれたんだろう」とチェックして、ニヤニヤしてます(笑)​

市村さん あとは、前回の記事でもお話があったと思いますが、ヒューマンバリューの社風として、新しいメンバーでも意見を言いやすい。ちゃんと一人のメンバーとして尊重するんですよ。だから、自分で工夫しながらサービスを育てていく手応えは感じることができると思います。

そうしたやりがいの一方で、正直なところ大変なこともあるそう。

霜山さん これは「Ocapi」の業務だからというより、ヒューマンバリューっていう会社としてですが、「これをやってください」みたいな指示があるわけじゃないんです。仕事を振られるのを待ってるスタンスだと、なにもやることがなくて辛くなるかもしれません。自分で仕事を見出さないといけないんですよね。

市村さん あとは、先ほども言ったように、ヒューマンバリューではみんなの意見を集約しながら、ものごとを進めていくという文化があります。「Ocapi」についても、さまざまな方の意見を聞く中で、ときには正反対の意見を言われることもあると思うんです。なので、たくさんの意見があるで自分で軸を持って決める、ということの大変さはありますね。

今回霜山さんや市村さんが教えてくれたことのほかにも、ヒューマンバリューの文化や働き方についてはかなり正直に、メンバーのみなさんが語ってくれています。詳しくは前回の記事をご覧いただければ、よりヒューマンバリューで働くことのイメージがつかめるはずです。

Webアプリを育て、人や組織の価値に寄り添う

「人や組織の可能性を信じる」。ヒューマンバリューで大切にしているこの哲学は、「Ocapi」にもしっかりと息づいています。別の言い方をすれば、人の価値により添い、組織にいい変革を生むためにヒューマンバリューが生み出し、育てているツールが「Ocapi」なのではないでしょうか。​

とはいえ、「Ocapi」の物語はまだ始まったばかり。なにしろ日本の企業数は、直近の調査では385万社(「平成28年経済センサス」)を数えます。そう考えると、これから「Ocapi」を通じて、1000社、2000社、1万社以上が「よりよい組織へと変わり続けるチーム」になるということは、不可能な挑戦ではないはずです。

「Ocapi」に込められた想いに共感した方は、ぜひ今回の求人に応募してみてください。しかし応募はしなくとも、なにか自分がいる組織について「こうなったらいいのに」という想いを持っていたとしたら、たとえどんなに小さなアクションでも、一歩を踏み出してみてはいかがでしょう。あなたのその小さな一歩に、「Ocapi」は寄り添ってくれるはずです。

(写真: 寺島由里佳)

[sponsored by 株式会社ヒューマンバリュー]