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気候変動を学ぶのは、難しくない。塗り絵を楽しみながら、気軽に自然エネルギーを学べる本を見つけました!

気候変動に対して、何らかのアクションをとらなければいけない。そのように頭では理解していても、具体的にどんな行動ができるのか分からないということはありませんか。

省エネや節電を意識したり、自宅にソーラーパネルをつけたり、電気自動車に乗ったり。私はそんなことを思いつきますが、そもそも気候変動はなぜ起きていて、どのように状況を好転できるのかと考えると、難しさを感じてしまい、なかなか答えが浮かばないかもしれません。

気候変動をもっと気軽に考え、ゼロから楽しく学んで、アクションにつなげられないか。そんな思いでつくられた本を見つけました。それが今回ご紹介する「THE INFOGRAPHIC ENERGY TRANSITION COLORING BOOK(以下、IETCB)」。

ドイツのベルリンにある、「The Institute for Climate Protection, Energy and Mobility(IKEM)」と「Ellery Studio」がコラボしてつくった、この塗り絵の本は、33の図解から構成されていて、エネルギー転換について楽しく学ぶための工夫が散りばめられています。中には情報やデータなどを視覚的に表現したインフォグラフィックも含まれていて、この本を塗り進めると、エネルギー転換についての理解が深まる内容になっているのです。

バイオマス(森林の間伐材や家畜の排泄物、食品廃棄物など生物から生まれた資源)から、どれくらいのエネルギーがつくり出せるのか

どの大きさの風車でどれくらいの電力を起こせるか

第1章では、世界のエネルギーの現状について。世界の国々のエネルギー施策や、太陽光のはたらき、二酸化炭素の排出のストーリーを学ぶことができます。

第2章では、ドイツ国内の取り組みについて、1970年から2016年までのエネルギーの歴史、再生可能エネルギーに関する法律やメガソーラーについて学びます。

第3章で取り上げられているのは、これからの私たちの生き方について。電気自動車を選択することや、そもそも個人所有として持っていた車をシェアするという提案や、もしも今世界中で対策をとらなければどんな未来が待ち受けるかということにも触れているのです。

家庭で使う各電化製品が電力を占める割合。スマートフォン、PC、ゲーム機などが全体の54%を占める。

IETCBはこれをきっかけにあらゆる年齢の人々が気候変動についての意見交換を交わせるように設計されていて、コミュニケーションツールとしての側面と啓蒙や教科書としての役割も担っています。そのような内容にすることで、新たなアイデアやサービスが生まれたり、世界中でソーシャルインパクトを与えられる可能性を秘めているんです。

1970年代に起こったオイルショックを経て、1990年代ごろに気候変動や地球温暖化といった環境問題が語られるようになってから、多くの国々では化石燃料や原子力エネルギーから再生可能エネルギーへの転換を図ってきました。

すでにノルウェー、オーストリア、ニュージーランド、アイスランド、コスタリカなどはほぼ100%が自然エネルギーで賄われおり、他にも、デンマークでは現在の52%から100%を、ドイツでも42%から65%を目指して努力しています。一方で日本はというと、現在の再生可能エネルギーの割合は全体の18%で、2030年までの目標も22〜24%と、その目標は消極的と言われてしまいそうです。(出典元: 自然エネルギー財団の大林ミカさんの取材記事

この目標設定の背景には政策の遅れ、市場の仕組みの遅れなどもありますが、私たちがエネルギー問題に対してあまり関心を寄せていないから、議論やムーブメントになりづらいということもあるのではないでしょうか。

気候変動のみならず、社会課題はたくさんあります。「自分たちに関係のあることだからアクションしていかないと」と一人ひとりが思えるようにするには、ただ情報を提供するだけでは難しい。クリエイティビティを発揮して、ユニークさやコミュニケーションで人の心を動かしていくことで、少しずつムーブメントになっていくのかもしれません。

[via miraimedia, ellerystudio, myenergytransition]

(Text: 山崎久美子)