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”わたしの”から”みんなの”へ。 オーストラリアで立ち上がった「洋服の図書館」プロジェクトが目指す持続可能な社会とは?

みなさんは最近いつ服を買いましたか?

季節の変わり目の今、既に新しい夏服を買いに出かけた人もいれば、どんな服を買おうかInstagramや雑誌でチェックしている人もいるのではないでしょうか?

今日紹介するのは、西オーストラリアで立ち上がった、ファッション業界に疑問を投げかけるプロジェクト「Lost Property Library」。名前から何をしているのかちょっと想像しにくいですが、「着なくなった服を集め、それらを会員に貸し出す」というのが活動内容です。

服は寄付により集められます。会員は1か月39オーストラリアドル(約3,000円)を支払い、利用する月が延びると会費が少しずつ割り引かれる仕組みです。

この「洋服の図書館」は、1人ひとりが自分のためだけの服を持っているという現状を見直し、クローゼット内と小売業界の無駄をなくすことを目的に立ち上げられたもの。このプロジェクトが配信したプレスリリースにはこんな一言が。

ずっと前からあなたが飽きちゃった、着ていない、気にしてない、ほこりをかぶっている服の量を考えてみて。そんなみんながクローゼットの中に持っている余分な服は一見無駄って思えるかもしれないけど、他の人からしてみれば新鮮なアイテムに見えるかも。

DON’T BUY FASHION, BORROW IT! “服は買わずに借りよう!”

確かに私も子どもの頃、家族や親せきからもらったおさがりの服がとても新鮮に見えて、もらっては気に入って着続けていたような。本人からしてみればもう何年も着てサイズも合わなくなってしまった服でも、私にとっては初めてのデザインや着心地で、新しく買う服よりも頻繁に着ていたおさがりの服は1着や2着ではなかったと思います。

とはいえこのプロジェクトにおいて、服はあげるものではなく貸すもの。何度も何人もの人の手に渡る前には、お手入れが必要な服もありますし、寄付された時点では貸し出すための基準に満たない洋服もあるようです。

そこで「Lost Property Library」は、服を修理するためのボランティアのミートアップ「Sew No Evil」を定期的に開催し、ほつれた服を縫ったり編んだりして元通り以上の出来に仕上げてから貸し出しているのです。

「Sew No Evil」では裁縫の仕方だけでなく、創造的なプロジェクトを実行する方法を学ぶことができるんですよ。私たちはファッションを持続可能でエシカルなものにできると信じているの、だからみんなをこのミートアップにお誘いしているのです。

服によっては、地域のコミュニティセンターに寄付されることもあるそう。

ファッション業界の現状と、私たちにできること

最近私がイギリスに旅行した際、日本でも購入できるファストファッションのお店に入ったのですが、日本と同じように同じデザインの服が大量に並べられている様子を見て何とも言えない圧倒された感覚になりました。

日本とイギリスだけではなく、この光景が後数十か国のお店に存在するのだなと思うと、服がどこでつくられ売られ残った服はどこに行くのか、考えたくない現実を見た気がしたからです。

Via Unsplash

調べてみると、2017年度日本で消費された衣類は13億点。そしてなんと余剰在庫になったのは14億点と、需要と同じ分余分な服がつくられ売れ残っているのだとか…。それらは安値で売られタグを切られて再販されるか、焼却されているのだそうです。なんともったいない…。

服は人の第一印象を決めたり、自分を表現したりするツールのひとつでもある大切なもの。そのため、自分のためだけの服がほしい! という方もたくさんいるでしょう。

一方で大切なのは、服に限らず何かを購入する前にそれを長く大切に使えるかを判断する眼かもしれません。昨年アメリカで片付けブームを起こした、こんまりこと近藤麻理恵さんが伝える「ときめき=Spark Joy」があるものだけを自分の周りに置くことが、まず余分な服(もの)を増やさないために大切なことだといえるだと私は思います。まずはそんなときめきの有無を判断することから、始めてみませんか。

[Via TreeHugger, Lost Property Library Facebook Page, NHKクローズアップ現代]

(Text: 桝井菜々子)