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小さな“ご褒美”が社会を巻き込む! お金じゃなくて、ゴミで買う南イタリアの本屋さん「Plastic & Metal For Books」って?

宿題をやったら、アイスを食べよう。
この仕事を終えたら、おいしい珈琲を一杯飲もう。

何かを頑張るために、自分にとってうれしいご褒美を用意する。そうして楽しく続けることができた経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。ちょっとした工夫で楽しくアクションを起こせるご褒美アイデアは、日々を楽しくしてくれます。

そんな“ご褒美アイデア”をうまく使って、近ごろ問題視されている「海洋プラスチック問題」などの環境問題に取り組んでいる例があります。

その名も「Plastic & Metal For Books」。南イタリア南部の街、ポーラの小さな書店のオーナーMichele Gentile(以下、ミケーレさん)が始めた、ペットボトル・缶を書店に持っていくと、代わりに本と交換できるというリサイクルプロジェクトです。

「Plastic & Metal For Books」の仕組みは実に簡単。14歳以下の子どもが、ペットボトル1本とアルミ缶のセットを持ってくれば、本1冊と交換してくれます。

プロジェクトを始めた理由について、ミケーレさんはこう話します。

普段あまり読書をしていないような人に、本への愛と情熱を持ってほしい。同時に、人々が環境への配慮をするようになること。それが私の目指すゴールです。

この取り組みを始めたきっかけは、ミケーレさんが地域の学校と始めたプロジェクトでした。2日間で集めたアルミ缶は、およそ500ユーロ(およそ6.2万円)もの価値となり、そのお金で一クラスぶんの本を購入したのです。

それで、私は思ったんです。ペットボトルやアルミ缶を持ってきた子どもに、本を与えてはどうだろう、とね。

ところで交換される本は、どうやって仕入れているの?
ミケーレさんの手弁当では持続しないんじゃないの?
そう気になる方も多いでしょう。

実は子どもたちに渡される本は、もともと書店に寄付されたもの。ここで本を購入するお客さんは、本を1冊多く買い、2冊目をその場で寄付することができるのです。

これは「suspended(=保留の) books」というアイデア。第二次世界大戦中に広まった「suspended coffee」というアイデアにヒントをもらったもので、コーヒーを買うときに2杯分のお金を払い、次の人にコーヒーをギフトすることができるというもの。ミケーレさんは、このアイデアをもとに、前の人が支払ったお金で、子どもたちの持ってきたゴミと本を交換しているのです。

ミケーレさんのプロジェクトは、子どもたちに本を読む喜びを伝えると同時に、環境への関心を子どもたちにとって身近な方法で高めるものでもあります。ミケーレさんの取り組みは早くもイタリア中に広まっていて、書店から遠く離れた北イタリアの子どもから、23本ものペットボトルと缶が送られてきたこともあるのだとか。

想像してみてください。世界中のすべての子どもたちが、ペットボトルや空き缶を本と交換するとしたら。もちろん夢のような話かもしれません。でも、やってみない理由はないでしょう?

ミケーレさんの活動が広がった理由。私が考えたのは、人々が環境問題にもっと意識を持つには、ご褒美アイデアがポイントだと思いました。例えば、マイボトルやマイカップ。マイボトルを持って行くと割引がもらえるカフェが増えてきました。ちょっとしたご褒美が得られる環境への配慮をしたアクションを考え、始めてみる。うれしいご褒美があるからこそ、家族や友だちを巻き込みやすく、会社、町、社会全体へとその動きは広まっていくのではないでしょうか。

その一方で、なかなか人々が自分ごと化しにくい、環境問題やリサイクル活動。日本とイタリアは、都市ゴミの排出量自体は同じくらい。また、ペットボトルの回収率では、日本は92.9%と欧州よりも高い数値を出しています。(2017・PETボトルリサイクル推進協議会調べ

しかし、回収されたその先はどうでしょうか。イタリアでは都市ごみの79%がリサイクルされているのに対して日本ではわずか18%(リサイクルデータブック2018・産業環境管理組合より)。また、日本ではプラスチックのリサイクル率は84%がリサイクルされている、と発表されていますが、プラスチックが他のものに生まれ変わっているリサイクルは実は27%にすぎません(プラスチックリサイクルの基礎知識2018より)。

プラスチックごみを減らすといった地道なことはもちろん、生物分解されるプラスチックを積極的に使う、再生可能なプラスチックを開発する技術を持つ会社の株を購入する、選挙でリサイクルの技術開発に力を入れる候補者に票を入れる、などなど、自分にできることを見つけて、少しずつでも行動に移していけたらいいですね。

[via inhabitat, CNN]

(Text: 會田貴美子、荒田詩乃、橋口創吾、桝井菜々子、森野日菜子)