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食べたきゃ必死に漕ぎまくれ! ニューハンプシャーの森の中で見つけた、パンが焼ける自転車「Brawn & Bread structure」

あなたは、毎日食べる食べ物が、どこから来ているか、どうやってできているか、考えたことはありますか?

スーパーやコンビニなどで24時間食べ物を買うことができる今、そんな便利な暮らしの影で、「食べ物がどうやってできているか」と考えてみる機会は減っているかもしれません。

今回は、そんな私たちの暮らしと食べものを楽しくつなげるプロジェクトを、ニューハンプシャーの森の中で見つけました。

さあ、一緒にニューハンプシャーの森の中へ行ってみましょう!

今回ご紹介する「Brawn & Bread structure」は、ロンドンにある建築デザインスタジオSTUDIO MICATのデザイナー、Michael GarnettさんとCathrin Walczykさんが、ニューハンプシャー州で行われる子どもたちのキャンプのためにデザインしたアイデアです。

キャンプに参加した子どもたちによって建てられた「Brawn & Bread structure」が画期的なのは、なんと自転車を漕ぐことでパンが焼けてしまうということ! 人力で穀物を加工し、生地を練り、そして薪オーブンに燃料を供給することで、パンをつくることができる屋外ジムをつくってしまったというのです。

でも、自転車を漕ぐことでどうやってパンができるの?

最初に、大型のケーブルウインチに穀物の入った袋を取り付けて、自転車の上まで運びます。穀物を上にセットしたら、さあ、粉を挽く作業のはじまりです。自転車のペダルをこぐと、穀物は粉砕されて、小麦粉がガラス瓶に集められます。小麦粉をこねて、発酵させたら、反対側にある薪オーブンに入れてパンを焼きましょう。「Brawn & Bread structure」では、キャンプに参加する人数150人分のパンを焼くことができます。

「Brawn & Bread structure」は、機能だけでなく、デザインも優れています。全体は、シンプルで落ち着いたトーンでまとめられていて、オレンジ色の輪がアクセントになっています。ちなみに、オーブン周りの木の板は、日本の「焼き杉」という、杉板の表面を焦がすことによって、害虫を防いだり、耐久性を高める技法を使った板が使われています。

小麦粉、水、塩など、パンに使われている原材料のシンプルさが反映された素材を使っています。

「STUDIO MICAT」がこのアイデアを思いついたのは、便利な暮らしの中で食べ物がどうやってできているか考える機会がなかなかないこどもたちに、教訓を与えたいと思ったことがきっかけでした。

「Brawn & Bread structure」は、私たちが生きていくうえで、必要なものを生み出すために必要な努力を思い出させてくれるんです。普段食べているパンに対して尊敬する態度を思い起こさせてくれるはず。それは私たちの努力とそれによって得られる報酬をもう一度つなげます。私たちに全身トレーニングを求めますが、そうすることで栄養を提供してくれます。

「Brawn & Bread structure」プロジェクトの一環として、「STUDIO MICAT」は、子どもたちにコンクリートの鋳造、金属の溶接、電動工具の使用などの建築技術を伝授。教わった技術をもとに、子どもたちはジムの中央の島のレンガの敷設も行い、つくったカウンターの端には、「製粉し、こね、それを焼く」、そして、「受け取る」と刻みました。

いかがでしたか? この機会にまずは、あなたが今日食べる食べ物が、どんな場所からやってきたのか。そしてどんな風にできているのか、思いを馳せてみるといいかもしれません。

[Via STUDIO MICAT, inhabitat, treehugger]

(Text: 荒田詩乃)