ソーシャルな会社はローカルに向かえ! カヤックの“その他”佐藤純一さんが、地域とつながり、ともに会社を育てる理由

ソーシャルな会社の経営者たちとグリーンズのビジネスアドバイザー・小野裕之が対談をして「ソーシャルな会社のつくりかた」について考えるこの連載、今回の対談相手は面白法人カヤックのグループ戦略担当執行役員・佐藤純一さんです。

カヤックのことは多くの人が知っていると思いますが、ゲームをつくっていたり、うその履歴書で採用活動を行う「エイプリル採用」などふざけたことをやっている印象もあって、「カヤックってソーシャルな会社なの?」と疑問に思う方もいるかも知れません。でも、そもそも「ソーシャルな会社」ってなんなのでしょう?

今回は、佐藤さんとカヤックとの関わりから、ソーシャルな会社とは何なのか、そもそも会社をつくるとはどういうことなのか、さらには鎌倉に地域経済をつくろうとしているカヤックと佐藤さんが考えるローカルとは、というところまで、いろいろ話を聞きました。

佐藤純一(さとう・じゅんいち)
大手電機メーカー、技術系ベンチャーを経て2004年株式会社トラストコンベクションを創業。チームワーキングの楽しさや良さを伝える事業を展開。2011年、面白法人カヤックに統合し、同社執行役員に就任。2013年、同社とタマホームのアライアンスで設立したSuMiKaに移籍し、2016年同社取締役に就任。2017年にカヤックグループへの事業譲渡に伴い、同社グループ戦略室室長に就任。また、これに並行し2014年に株式会社そろそろを共同創業、取締役を務める。

カヤックはソーシャルな会社か?

2011年から面白法人カヤックに入り、今はグループ戦略室で地域戦略を進めているという佐藤さんですが、そのカヤックとは一体どんな会社なのでしょうか。

小野 カヤックはIT企業にしては成長がゆっくりだと思うんですが、それは意図的なんですか?

佐藤さん 後づけになりますが、ある意味意図的とも言えますね。儲けるだけが目的ではないという判断基準は常にあって、経済的成長という観点で言えば合理的ではない選択をしてきていることは確かです。

2018年6月にスタートした移住スカウトサービス「SMOUT」。地域に移住したい人が、自分の興味のあることや得意分野といったプロフィールを登録しておくことで、地域からスカウトが届くサービス。

小野 儲からないことをやると、地味に稼がねばならない業務と、派手で稼がなくていい業務で、組織的に乖離が生まれてきませんか?

佐藤さん 誤解を恐れずに言えば、ひとつひとつの事業に、それほど執着がないので、こいつらは稼いでてこいつらは稼いでないみたいな認識が会社の中に生まれにくいんですよね。当たってもあまり褒められないし、当たらなくてもあまり言われない。ただ、全ての結果や出来事を成長につなげようという意識が強いので、当たった当たってないよりも、学びにつなげて、それが次に大きな価値になるようなストーリーをすごく重視しています。

小野 僕は事業に対する愛情みたいなのって持ち過ぎたらつらいと思うんです。事業が成功するかどうかは、マーケットに愛してもらえるかどうかで、自分がどれだけ好きでもマーケットから好きだと言ってもらえるとは限らない。必ずしも努力が成果に結びつくわけではないし、ゲームみたいな不確実性もあるし、相互作用みたいなのもあるし。だから、愛情だけでは継続していけないという認識は大事な気がするんですよ。

佐藤さん そうですね。社会的大義を掲げて創業するいわゆるソーシャルな会社の人たちは、「社会ではこんなにひどいことが起こっているということを知ってもらいたい!」という、暗い側面や危機感を共有したいことが多いですよね。

でも、そのアプローチでは、多くの人たちには伝播しにくくて、ある意味、起きていることの明るい側面や面白い切り口にフォーカスを当ててコミュニケーションしないとうまく届かないと思うんです。ものごとには、明るい側面と暗い側面がありますから。

例えばカヤックで中小機構のお手伝いをさせていただいて「社畜ミュージアム」という動画をつくりました。

社畜といわれる人たちを博物館形式でシニカルな笑いとともに紹介してるんですけど、そうやって「そういう人いるよねー」って気づいてもらうことのほうが、「ブラック企業では本当にひどいことが起きています…」と深刻に問題提起するよりも、伝播性は高いのです。そういう逆手にとるアプローチをカヤックは考えることを得意分野にしています。

大きな課題に向き合っている当事者は、全身全霊をかけて課題と向き合ってるから、どうしても視界が狭くなりがちです。知らず知らずのうちに自分のやり方に執着しすぎてしまったり、行き詰まってしまったりするものです。思考停止ですよね。そこで第三者的に関わる人たちが、その固定概念を外してあげる「そんなものですよ。他のやり方もあるんじゃないですかね」という少し気が抜けた意見を言って伝えてあげるのは大事だと思うんです。

「気の抜けた」感じが真面目にソーシャルに取り組む会社にも必要だというのは非常に示唆的ですが、そうなるとカヤックはソーシャルな会社だと言えるのか、そうだとしたらどんな社会課題を解決しようとしているのか、そんな疑問も生まれてきます。

佐藤さん 僕自身は、カヤックはある意味ソーシャルな会社だと思うんですよ。社会的な提案があるという意味で。

カヤックは「面白法人」と自ら名付けました。法人格をキャラクタライズしたのですが、とくに当時(合資会社としての創業は1998年)はまだまだ会社と言えば、スーツとネクタイ、企業戦士というイメージが固定的だったと思うのです。そんな中、企業だっていろんなスタイルがある。世の中にはいろいろな人がいるように、会社だっていろいろな会社があっていいんだと明確に提案したわけです。

そこにいる人たちがすべてのことを面白がって仕事する。社会からそれ面白いねって言ってもらえるような仕事をして、きちんと持続的に経営していく。いろいろな会社があっていいんだ。そのことを実証すること自体が社会善じゃないかとも思ったんです。

「つくってみたラボ」は社員が仕事個人を問わず実験的につくってみたものを発表するサイト。毎月、社員がつくったものを発表する「つくっていいとも」という社内イベントも行っています。

佐藤さん みんなが仕事を嫌っていたり、仕事とプライベート分けたがったりして、仕事との付き合い方が難しくなっている時代ですが、働くことがギフトだと思える世の中のほうがいいじゃないですか。だから、カヤックが仕事を面白がりながら、きちんと成功していくことには社会的大義があると思うんです。

カヤックは上場企業なわけですが、上場にはパブリックな会社になるという側面があります。多くの人にオーナーシップを持ってもらうのです。僕自身は、常々公益性がある企業ほど上場したほうが良いと思っているのですが、そういう意味でカヤックも上場してたくさんの人に関わってもらう方が良いと思いました。

上場と社会性が結びつきにくく感じる方もいるかもしれませんが、カヤックは、サービスの利用者や鎌倉の市民の皆さんに長く株式をもってもらえるような、ソーシャルでパブリックな会社になれればいいなと思っているんです。

カヤックがやっているのはパブリックな価値(公益)を生み出すことで社会課題を解決するということで、それはある意味でパブリックとソーシャルの橋渡しをすることだと感じました。カヤックがソーシャルな会社と言えるのかどうかはわかりませんが、社会的な価値を生む会社であろうとしていることは間違いないようです。

法人は別人格で子どもみたいなもの(会社のつくりかた)

さて、ソーシャルな会社が社会的価値を生むものだという時、そのような会社はどうやってつくられるのでしょうか。これはまさにソーシャルな会社のつくりかたそのものですが、その秘訣には実はソーシャルは無関係でした。

小野 法人って、個人とは別の人格を持った生き物のようなものを、自分だけではコントロールできない状態に置くことで課題解決を促進するという装置じゃないですか。僕はそれを、自分ではこのスピードでは走れないけど法人だから走らせてもOKとか、個人では想像が及ばないところにチャレンジする発明品だと思っているんです。

でも、ソーシャルな会社やNPO法人の人の多くはそういうことをステップ・バイ・ステップで学んでおらず、法人とは何かの解像度が低い気がするんです。対して、稼げる業界の人たちはそれを意識せざるを得ない状況に置かれますよね。上場しないまでも出資を受けるかどうかとか、誰がリスクを負ってるのかとか、会社の経営と現場の運営は違うんだよってガバナンス的な議論を日常的にするので。

だから、ソーシャルな会社やNPO法人も今後知識として身につけたり体験を通じて、個人と法人が別物だから良さがあるってことを体感していくことが今すごい必要だと感じてます。

佐藤さん 法人格にした瞬間に別人格をひとつ持てるというのは、法人格にする意味としてすごく大きいですよね。社員みんなでつくってるわけだし、みんなそこに時間を投資してるわけだから。ばらばらの個人がみんなで育てられるキャラクターがひとりいて、そいつが何かを成していくというのはいい話だと思いますね。

カヤックのVisionより

小野 会社のつくりかたから言うと、法人が子どもで、経営者とスタッフがお父さんとお母さんなんですよね。

ソーシャルな人たちは愛情深くて現場主義のお母さんキャラが多くて、法人という子どもをお母さんたちだけで育てようとするから無理が生じてきてしまう。経営者たるお父さんを内部からでもいいので生み出していかないと、大きな夢を語ってる割には短期的な指向性しかなくてうまくいなかくなったりしてしまう。

そこには、もっと稼いできなさいよっていうお母さんと、今ある中でどうにかやってくれっていうお父さんの間で必ず軋轢が生まれるんですけど、それがスタッフと経営者というものだと思うんですよ。

その三角の関係のロジックってどんな会社でも基本的には変わらないんですよ。大企業の経営論もソーシャルベンチャーにも転用可能なひとつのノウハウなんです。どの経営者に聞いても、ある瞬間からものすごく加速するだけでそこは地続きだって言いますし。

ただ、この業界は違うと思いこんで別のやり方を探してしまったり、僕も含めてそういう傾向がすごくある気がして、それはなんでだろうって思うんです。

佐藤さん そうですよね。経営者と社員の関係性は本当に大事ですよね。組織は一朝一夕にはできないですし、企業の大きさや事業の内容問わず、組織論や経営論は転用可能だと思います。

ソーシャルビジネスがステージアップしないわけ

ソーシャルであろうとなかろうとステージアップの道が地続きならば、小野も言うように、なぜソーシャルベンチャーの人たちは他のベンチャーのようにそのステップを超えていくことができないのでしょうか。

佐藤さん ソーシャルビジネスをしている人たちは小さい企業の人たちが多いじゃないですか。ソーシャルベンチャーから始めて大きくなっていく難しさって何なんですかね。

小野 ひとつは、儲かりづらいことの裏返しでソーシャルと呼んでる部分はある思うんですよね。採算性と対照的なところでビジネスとしてサービスがローンチできない領域がソーシャルとして残ってると。だから現時点で採算性が低いのは仕方ないと思うんですが、反面、NPO法人という法人格ができて20年も経ってるのに、ずっと小さい規模で次のキャリアを描けてないのもどうなんだろうなと思ったりもします。

佐藤さん でも、ソーシャルって社会的課題なわけじゃないですか。ビジネスっていうのは本来、課題解決そのものなわけですから、大きい課題を解決しようとしている人ほど収益性は高くて良いはずです。社会的課題を解決することが一番儲かるっていう世の中になっていいんですよね。

そうなっていないのは、多くの稼いでる企業は、誰かに「つけ」を払わせてるという構図があるからだと思うのです。例えば、じゃんじゃん炭素排出したり、発展途上国で労働搾取して稼いでる企業もあるわけで、そのつけを解決しようとしている人たちにはお金が回ってこない。本当は、課題解決のインパクトによってリターンが決まる世の中になったらいいですよね。

陽の当たるところの課題を解決するとお金が回ってきて、陽の当たらないところの本当に重要な課題を解決してもお金は回ってこない。これは社会の構造の問題で、どうしようもできない気もします。これを受益者負担という観点(例えば、本当に困っている人が受益者となる場合、負担ができない)から見ていくと、ソーシャルな会社がそれを変えるためのヒントが少し見えてきます。

小野 受益者負担できない領域もあったりするので、国の場合は税金、NPOの場合は寄付によって課題を解決しているところに個人からお金がいくというのはあり得ると思います。

佐藤さん 確かに明確な受益者がいないという問題はありますね。社会的課題の多くは受益者を特定できないこともあって、そういうものについては国が負担すべきですよね。

小野 ソーシャルベンチャーでスケールしている株式会社LITALICOは、受益者負担が可能な領域から補助事業として行政と一緒になってやっていく領域まで、うまく組み合わせながら経営されていると思います。

LITALICOは、もともと大人向けの就労支援をしていたのですが、子ども向けの発達支援、「発達ナビ」などのインターネットプラットフォームと次々に事業領域を広げ、すごくスケールしています。

大きなビジョンは変わらないですが、新たな社会課題の解決を常に模索していて、その中で持続発展可能な規模がある課題を見極めて優先順位を決めたり、新たな市場を自らつくりにいったりしている。

自分たちのやりたいことと市場性をきちんと客観的にジャッジしているってことですよね。

といっても、僕は全てのNPOがLITALICOのようになるのがいいとは思っていなくて、むしろ社会性と経済性を軸にマトリックスを描いた時に散らばっているのが大事だと思っています。それが可視化されることで各プレイヤーが次に自分が目指すものがわかるようになって、業界として次のフェーズに行けるんじゃないかって思うんです。そういう状態をどうにかあと5年くらいでつくれたらなと思って。

つまり、業界ごとに誰が受益者でそれを誰が負担するのかが異なる中で、今のソーシャルビジネス界隈では社会性と経済性のバランスを上手く取れている先例がまだまだ多くないのではないかということですが、それならば、そのような先例になる事業を生み出すにはどうすればいいのか、言い換えるとソーシャルな会社がステージアップする道はどうすればできるのでしょうか。

ソーシャルな会社はステージアップしたいならローカルに向かえ!

小野 グリーンズの分社化(2018年4月より、新規事業など一部機能を分社化)も、色々な理由があったんですが、ひとつはそのようにステージアップが難しく取材先の成長が止まってしまうという時に、今までのやり方だけだとその谷間を越えられないんですよ。

もちろん個人の自由ではありますが、せっかくいい事業だったのにやめて普通に就職してしまうという事例もあったりして、そこを乗り越えていくサポートができたらなと。

佐藤さんも言っていたように、自社の利益だけで投資していくのには限界が来るんですよね。その時に、特にNPOの場合は株式で調達することはできないので、銀行やクラウドファンディングなんかで調達することになる。そういう時に分かりやすいのは、課題が散らばっているものをいきなり解いたり事業化したりしようとするのではなく、ひとつ、ビジョンを象徴、集約した「地域」の事業としてやっていくってことだと思うんです。

佐藤さんもカヤックで地域戦略に携わっているわけですが、そこはどうですか?

カヤックが提唱する「地域資本主義」を実践する「鎌倉資本主義」のサイト

佐藤さん 地域に目を向けると、まず、グラスルーツ的活動で自分の身の回りのことから解決していこうとしている尊敬できる人たち(プレイヤー)が少なからずいて、それとは別のレイヤーで、プラットフォーマー的にメディアなどの媒介となるような人たちがいるわけです。

僕がまずやりたいのは、その地域活動のプレイヤーたちが小さくても事業を継続していけるようにすることです。そこに必要なのは地域規模の貢献と還元のサイクルをつくることだと思っています。地域にはいろいろな課題がありますが、それを解決することに参加したら何らかの形で還元されるというシンプルなサイクルをうまく整えれば、地域活動に参加したり利用しようという人も増えると思います。

地域ごとの顔が見えるスケールで、そのシステムができて、さらに社会構造の発展と噛み合えば、ソーシャルビジネスこそ一番大きい課題を解決し、一番大きなリターンを得るように逆転することも起こるのだと思います。社会を変えるような大きな課題ほどリターンが大きい、だから大きい課題にこそ投資したいと思うようになるんじゃないかと。

だから、カヤックで地域活動のシステムづくりを支援していくことで、少し大きめの社会システムを変えていければいいなと思ってるんです。法律とか国とか政治は変わらないからって諦めちゃう人が多いけど、民間がなにか成功事例をつくって社会システムにしていけばいいし、そういう意味でカヤックは活動しやすいかなと。

小野 「まちづくり」と言うと、自動的に長期目線になる人が多いので、長期的にしか価値が出せないソーシャルビジネスをやってる人たちがまちに向かえば、長期投資可能な金融とかまちづくりやってる人たちと出逢うんじゃないかとは思ってるんですよね。この世の中で長期目線に誰が立てるのか、みたいな中で、まちづくりっていいキーワードだなと。

佐藤さん 自分の身の回りのほうが自分ごとにしやすいし、見える範囲に絞るだけで熱量が上がるし、仲間もお金も集めやすいしっていうのはありますよね。“おらがまち”っていうスケールをきちんと設定できれば力は集めやすい。熱意がある基礎自治体ときちんと組んで、地域のための活動は報われるんだよっていうことをまず実証していきたいですね。

小野 ソーシャル界隈よりローカル界隈の人たちの方が多様性がある気もしますし、地域とかまちづくりという言葉のほうが社会的課題とかソーシャルっていうエリート志向やある種の高尚さのある言葉よりも受け入れられやすいということも体感しているので、ローカルって言葉を使いながらソーシャルなこともやるっていうのが必要なんだろうなと思います。

佐藤さん そうそう。たとえ地域で区切ってまちづくりをしますって言ったとしても、中には社会の課題が小分けされて入ってますからね。

小野 そう、高齢者とか、教育とか、外国人が多ければ多様性の問題とか、LGBTの問題とか必ずあるわけだし。

佐藤さん ローカルという、比較的お金のつきやすい旗を掲げて、地域性のある社会的課題を解決することを進めながら、後でスケールを考えるってアプローチもあるかもね。

小野 日本人がもともと持ってる思考のフレームに近いのはソーシャルよりローカルかなっていうのは感じますね。

佐藤さん そうかもね、そう考えたことはなかったな。

小野 カヤックが良い事例ですけど社会的課題のためにITの力をって言うと何すればいいかわからないけど、鎌倉のまちのためにITの力をとかエンターテインメントの力をって言うとかなりやることが明確になる。でも、必ず広がりを持っていくと思うので最終的にはやってることは同じになりますよね。だから、ローカルって言ったほうがソーシャルに近い感覚かもって最近はすごく思います。

佐藤さん そうだよね。そういう感じの人たちが活躍できるようになればいいな。

「ソーシャルな会社」とは、つきつめると個人の身近な課題を解決することを助ける存在ということなのかも知れません。それが積み重なって大きな社会課題の解決へとつながっていく、その道をつくるのがソーシャルな会社なのです。

佐藤さんがカヤックでやろうとしていることもそうで、会社の中の人でも外の人でも、それぞれの人が課題を解決しやすい環境をつくること、それが佐藤さんの仕事だということなのではないでしょうか。

小野 で結局、佐藤さんってカヤックの何なんですか?

佐藤さん 俺、何やってるんだろうね(笑) カヤックでも、事業ではなく組織よりの視点で全体を観る人が多いわけではないから、組織よりの視点から資本提携やグループ組成を進めたり、地域や自治体(鎌倉市)との関わりをつくったり、いろいろなんですよね。

まあ、言ってみれば「その他」かな、カヤックの「その他」。みんなが興味ない領域は、自分の興味ある領域だったりするから。幸いにして。

あとは、ストーリーテラー的な役割もあると思います。カヤックがやってること、やろうとしてることを一番理解している立場でもあるし、そのストーリーを多くの人に語りやすいんですよね。もちろん、その中で自分のやりたいこととかやってることも、きちんと反映できるという役得もあります(笑)

(対談ここまで)

この「その他」というのはある意味では、隙間を埋める存在。それは、組織をまとめる経営者でも、組織を動かすスタッフでもなく、まとめずにつなげていく立場ということなのではないでしょうか。そして同時に会社とその外の地域とをつなげる存在でもあるのです。

「ソーシャルな会社のつくりかた」というと、どうやって会社を運営するのか、資金は?組織は?という話になってしまいがちですが、一歩下がって会社という別人格が社会の中でどのような関係性を結んでいくのかを面白がるくらいのスタンスのほうがうまくいくこともあるのかも知れません。

そして、そういう第三者的な目を持った人が組織にいることでソーシャルな会社という法人はのびのびと育っていくのではないでしょうか。それが佐藤さんの言う「その他」という存在なのだと思いました。

【ソーシャルな会社DATA】
社名:株式会社カヤック
設立:1998年8月
代表者:貝畑政徳/柳澤大輔/久場智喜
社員数:281名(2017年12月末現在)
事業内容:日本的面白コンテンツ事業