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物じゃなくてお店をデリバリーする時代がやってくる? 買い物難民を救う無人モバイルスーパーマーケット「Moby Mart」

あなたは、ネットショッピングを利用していますか?
クリックひとつでほしい商品を届けてくれてとても便利ですが、服や靴などは試着せずに買うと失敗することが多いし、鮮度や質感をみて決めたい商品もありますよね。

便利さは手放しがたい。
けれど商品は実際に見てから買いたい。
いっそ、お店が家の前まで来てくれたらいいのに。

そんな夢のような話を叶えてくれそうな未来型コンビニが自律式の無人モバイルスーパーマーケット「Moby Mart」です。

自立式で無人?
モバイルスーパーマーケット?

耳慣れない言葉に戸惑う人もいるかもしれません。このガラス張りの建物は、一体どんなスーパーマーケットなのかご紹介しましょう。

24時間営業で営業している「Moby Mart」。買い物をしたいときは、予めユーザー登録した客がスマホアプリを使って呼び出すだけ。小型バス大の「Moby Mart」が自動運転で自宅の目の前までやってきます。

会員登録したユーザーがスマホアプリで呼び出すと、「Moby Mart」が自動運転で家の前に登場します。ソーラー・パネルでエネルギーも自前で調達。

店内での買い物にも、アプリを利用。入店するためには会員登録が必要で、アプリで認証することで入店できます。買い物をする際には、買いたい商品をショッピングカートに入れ、アプリでスキャン。店舗を出るときに、ユーザーのアカウントに自動で請求されるため、財布は必要ありません。

扱う商品は、食品、日用品から靴までさまざまで、客は買いたい物をスマートフォンでスキャンするだけ。店舗を出ると、店内のセンサーが感知し、代金が自動的にクレジットカードから引き落とされる仕組みなのだそう。

実店舗ですから、商品を見て手にとり、試着して買うことができます。

買いたいものをスマホでスキャン。店を出た時点で自動的に会計が済みますので、レジに並ぶ必要もありません。

それだけではありません。「Moby Mart」は在庫管理や商品の補充も自動で行います。屋根にはドローンを搭載しており半径3マイル(5キロ弱)の範囲であればドローンで商品を運ぶことも可能。さらには、ソーラーパネルを搭載した電気自動車でもあるため、エネルギーも自前で調達でき、地球や沿道の環境に負担をかけることもありません。

「Moby Mart」は現在は定置での実験を終えて、現在は遠隔操作での試験を継続中。2018年中には完全無人のモデルを作成する予定となっています。

小売店の未来をつくる

「Moby Mart」を開発しているのは、2014年創業のスウェーデンのベンチャー企業「Wheelys」、中国の「合肥工業大学」、小売り企業の「Himalafy」の3社。

「Wheelys」の共同創業者、Tomas Mazetti(以下、トーマスさん)がこのプロジェクトを始めた背景には、自身が育ったスウェーデン北部の田舎での原体験があります。

1980年代に私が住んでいた町の商店が閉店してしまい、住民は買い物をするために1時間かけて移動しなければなりませんでした。結果的に住んでいた町はなくなってしまったのです。

トーマスさんが経験したことは、まさに日本が抱える問題と重なります。高齢化や過疎化などにより、商店街の衰退、地元小売業の廃業等の課題が起きています。そのため市区町村の多くが食料品アクセス問題への対策が必要と認識しているという調査結果も出ています(出典元)。

そんな問題を解決するべく、トーマスさんが掲げたビジョンが小売の未来をつくること。そのビジョンを実現するために、「Moby Mart」がこだわっているのが出店料とランニングコスト。なんと出店料が従来型店舗の10分の1である10万ドル(約1,100万円)以内、ランニングコストにいたっては、1日たったの50ドル(約5,500円)程度ですむというのです!

出店料が安いから、多額の資産を持たない人たちにも出店のチャンスが生まれる。ランニングコストが安いから、過疎地など従来の店舗では採算がとれなかったような地域にも出店できる。移動式のコンビニだから、忙しい人や身体が弱い人など、これまで買い物に困難を抱えてきたような人たちも楽に買い物ができる。

「Moby Mart」は、便利なだけでなく、これまでの小売業界の常識をくつがえす存在になるかもしれません。

地域とテクノロジーが共存した社会が近づいていることを感じさせてくれる「Moby Mart」。発展するテクノロジーを都市部だけでなく地域にも還元することが可能性を秘めているとわかりつつも、どうしたらいいのかわからない。そんなときは、「こんなものがあればいいな」と理想像を描き、そこから必要なものを徹底的に洗い出して組み立てていくことから始めると、ダイナミックでワクワクする解決策を見つけられるかもしれません。

[via Wheelys, Mashable, Digital Spy, The Irish News, Forbes, YouTube, hellogiggles, fast company]

(Text: 西川富佐子、奥崎有汰)

この記事は「作文の学校」卒業生を対象に行なった「アイデア記事コンペ」への応募作品です。