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できっこないを実現する。500人の近隣住民が高速道路を占拠して行ったランチ会「500 Plates」

みなさんは隣のマンションや2軒先に住んでいる方とお話したことはありますか?
「あいさつなら」という方はいても、ほとんどの方が言葉を交わしたことさえないのではないでしょうか。

そんな、地域住民との交流が薄くなっているかもしれない、と感じているみなさんに、とっておきのプロジェクトをご紹介します。

その名も「500 Plates」! アメリカのオハイオ州にあるアクロンを舞台に開催された、近隣住民500人が集まって一緒にランチをするイベントなのです。

「500plates」の名のとおり、500人分のテーブルが用意されています。

この「500 Plates」というイベント、ただ単に近所の人たちを集めて食事をするだけではなく、その開催場所に特徴があります。なんと会場は「高速道路の上」です!

高速道路の上に、ぐんと一直線に続くテーブル。

広々とした高速道路の上で、年齢や人種に関わらず、アクロンに住むさまざまな人々がテーブルを囲みました。

地元住民にとってどこかなつかしく、なじみのあるメニューがお皿に書かれています。アクロンにある22の地区からそれぞれ、人気のある家庭料理が取り入れられたのだとか。読むだけでわくわくしてきます!

おいしい食事を前に、初めて話す近所の方々との会話に花を咲かせている模様。とても楽しそうですね!

そもそもどうして、高速道路の上でランチ会が開かれたのでしょう? 普段なら走っているはずの車がどこにも見当たりません。

実はこの高速道路、廃止が決定されているもので、現在は通行禁止となっているからなのです。

ランチ会場となった高速道路「State Route 59」は、1970年代にアクロンの人口減少を食い止めようと、移住者を呼び込むために建設されたもの。しかし、道路はほとんど使用されることはありませんでした。さらに残念なことに、人口減少の解決策となるどころか、道路の建設によって従来のコミュニティが、高所得者層と低所得者層にきっぱりと分断されてしまったのです。

現在では、一部はよりコンパクトで安全な道に置きかえられ、残りは解決策がみつからないまま使われない状態となっています。

廃止が決定となった、State Route 59

この問題に対し立ち上がったのが、アーティストのHunter Franksさん(以下、ハンターさん)。以前greenz.jpでご紹介した、「The Neighborhood Postcard Project」や「Swing Transit」の仕掛人です。

「アクロンの地域に、住民が再びコミュニケーションがとれる場を、住民たち自らが高速道路の再利用について考えられる機会を」との思いで「500 Plates」を企画した、ハンターさん。こう語ります。

このプロジェクトは、「高速道路で食事なんてできっこない!」と一見ばかげていて実現が不可能に思えます。けれども、「500 Plates」を実現させることで、最終的に「私たちにも何かを実現させることができるんだ!」という希望をもってほしいのです。

アーティスト、Hunter Franksさん。

ハンターさんの願いどおり、「500 Plates」を繰り返し開催するなかで、次第に明るい変化が訪れました。

それまで話したこともなかった地域住民が、食事をしながらお互いに仲を深め、地域の将来について語りあい、意見を出しあったのです。なかでも、高速道路の使い道について多くの住民が望んでいたのは、「より豊かな関係を育むことができる、森のようなコミュニティスペースになること」だったそう。

この声はもちろんしっかりと、次のステップにつながりました。来夏、ランチ会場となった高速道路は、「Innerbelt National Forest」というプロジェクトの名のもと、地域の人々がまさに「500plates」で望んでいたコミュニティスペースに生まれかわる予定です!

「Innerbelt National Forest」プロジェクトの構想図。アクロンの高速道路同様、使用が中止となり負の遺産となってしまっているものがアメリカには複数あります。「Freeways Without Futures 2017」というプロジェクトでは、そのような将来がなくなってしまった高速道路を、周辺地域や住民にとってメリットのあるものに再利用するためのアイディアを集めています。

このプロジェクトでは、住民の力によって、地域を分断していた高速道路を、コミュニティをつなぐ場所へと再生させることができました。

まちの施設の取り壊しや再建築は、市や一部の団体主導によって行われることが、まだ一般的かもしれません。けれども、今回の事例のように、住民たちが中心となってまちの資産について考えていく機会があれば、「もっと住みやすくするにはどうすればいいのだろう」と住む人がまちのことを自分ごととして意識するきっかけになるのではないでしょうか。

日本にも、廃校や空き家、旧役所など、今は使われていないけれど、地域の人々をあたたかくつなげる可能性のある場所がたくさんあります。こうした場所に集まって、住む地域について語り合えば、住民の愛着があふれる、そんなまちに生まれ変わっていく気がしませんか。

[via PSFK,FASTCOMPANY,Hunter Francks
,CITYLAB,CONGRESS FOR THE NEW URBANISM,vimeo]

(Text: 川又彩華)

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