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大事なのは、決めすぎないこと。駐車場を市民が輝く場に変身させる「Park(ing) Day」は、どのように国際的なイベントに成長したのか?

道路のはずなのに、なぜか芝生の上でゆったりとくつろぐ人たち。

奇妙な違和感を感じさせるこの写真、もしかしたら見覚えのある方もいるのでは?

実はこれ、かつてgreenz.jpで紹介した、”Parking(駐車場)”を年に1度占拠して”Park(公園)”にするアメリカ発のイベント「Park(ing) Day」の風景なんです。

2005年にサンフランシスコで始まったこのイベントは世界中に広がり、2011年には35カ国で975の公園がつくられ、今年も数え切れないほどの参加があったそう。

そんな国際的イベントへと成長した「Park(ing) Day」。今回は、なぜこんなにも世界中から支持されるようになったのか、どのように広めたのか、ご紹介したいと思います!

車がすぐそばで走る本屋さんのセレクト本が気になって、ついつい立ち寄ってしまう人も。

毎年9月の第3金曜に世界各地で行われる「Park(ing) Day」は、アーティストや市民が中心となり、無機質なコンクリートの駐車場をコミュニケーションの場へと大変身させます。公園といっても駐車場1台分、もしくは数台分の小さなスペース。パーキングメーターにコインを入れ、カフェ・ヨガ教室・本屋・健康診療所・政治セミナー・結婚式などを行っているんです。

中には「Park(ing) Day」がまちづくりに役立つとして、その駐車場を常設の公園にしてしまった場所も! 日本でも少しずつですが、Park(ing)が行われているんだとか。

複数の駐車場を借りることでスポーツ会場にもなります!

芝や樹木を載せた”Park Cycle”といった公園型自転車まで現れました!

「Park(ing) Day」が始まったきっかけは、2005年にアート&デザインスタジオの「Rebar」が「サンフランシスコの荒れ果てた通りには緑が少ないから」というシンプルな理由で、駐車場を公園に変えたこと。

最初に行われたPark(ing)の様子。ベンチと芝と木があるだけで十分な憩いの場に。

この様子を伝えたブログが思わぬ反響となり、「Rebar」には「Park(ing)」の依頼が殺到! 「すべての依頼には答えられない」とした彼らは、誰でも「Park(ing)」の主催者になれるように、無料でダウンロードできるマニュアルをつくりました。

マニュアルには、「Park(ing)」にうってつけの駐車場の選び方、ベンチや木があると人が集まりやすいというヒントや、トラブルが起きても揉めずに次の会場(駐車場)を探そう、など親切なアドバイスまで丁寧に書かれています。

このマニュアルの大きな特徴は、「Park(ing)」の活動に”決めごと”を設けていないところ。つまり、何をするかは主催者自身にゆだねているんです。例を挙げたように、思いのままにやりたいことを叶えられる場であることが、多くの人を惹きつける魅力なのかもしれません。

全18ページにわたるマニュアル

「Park(ing) Day」を始めた「Rebar」の3人は、この活動の未来について、こう語っています。

「Park(ing) Day」の成功は、誰もがコミュニティを豊かにできるということを教えてくれました。年に1回の金曜日だけでなく、日頃から地元の公園のボランティアをしたり、自宅の前で公開ピクニックを企画したらどうでしょう? 僕たちは、まちの公共空間こそ市民が輝ける場になってほしいと思うんです!

3人のRebar共同設立者。左からPassmoreさん、Belaさん、Blaine Merkerさん

本来は、車が多く緑の少ない都市を少しでも豊かにしたいと始まった「Park(ing) Day」。それに対し、「限られたスペースで自分なら何をするだろう?」と好奇心をくすぐられ、創造力を発揮した人びと。「Park(ing) Day」が教えてくれるのは、自ら進んでまちを遊び楽しむことは、環境にもコミュニティにもプラスになるということでした。

”やるべき”だという声で始まる、どこか義務感を感じさせる活動に退屈さを感じることはありませんか? 一方「面白そうだから」と始まった活動はアイデアが膨らみやすく、続けるのも苦痛じゃないはず。肩の力を抜いて、自分のやりたいことを続けていたら、なんだか社会の役に立っていた。そんなバランスが大切なのかもしれません。

[via CITYLAB, cnet

(Text: 大林碧)

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