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もう「できない」理由は言わせない。誰もが自宅で食料自給率アップに取り組める、世界一小さな農園「The World’s Smallest Garden」

自分で野菜を育ててみたい。そんな風に思ったことはありませんか?

とはいえ、食べ物を育てるには手間や場所が必要です。水やりを毎日するのが難しい。お金がかかる。そもそも栽培する場所がない。そんな理由で諦めている方は多いかもしれません。

そんな「できない」理由がいくつもある方にこそ紹介したいキットを、アメリカで見つけました。それが「The World’s Smallest Garden」です!

「The World’s Smallest Garden」は、家の食卓で水耕栽培ができるキット。農薬を使わずに水と液体肥料で育てる水耕栽培は手間はかからないものの、プランターやポンプなどの設備投資が必要なのがネックでした。しかし、「The World’s Smallest Garden」なら15ドル(約1700円)で始められるというから驚きです。

LEDや蛍光灯の光で、机の上でかんたんに野菜が育てられる

「The World’s Smallest Garden」に収められているのは、筒3本とステッカー。自分で用意すべきものは、使用済みの空ビンのみなので、すぐに始められます。

キットの中身。3Dプリンターでつくった器具のプラスチック部分は、コーンスターチで土の中で分解される

仕込み方は、とってもシンプル。まず、キットが届いたら、ビンいっぱいに水を入れます。

溢れるくらい、たっぷり水を注ぎます。これが約1ヶ月分の水分に

次に、筒状の器具を空きビンに差し込みます。

これで準備は完了。驚くほど簡単!

筒には、栄養たっぷりの土。そして、パセリやミントなどのハーブ、チンゲン菜やトマトなどの種が入っています。

窓際に置いて太陽の光や、LEDや蛍光灯の光をあてておけば、それだけでOK! 早ければ3日で芽が出て、4週間後には収穫できます。不器用さんでも、これなら失敗しないはずです。収穫した野菜は新鮮なまま、その日の食卓へ。子どもたちにとってもいい学びの機会になりそうです。

収穫したての野菜で、新鮮なサラダが楽しめます!

「The World’s Smallest Garden」を開発したのは、研究者のRobert ElliottさんとNathan Littlewoodさん。

2016年に出会ったふたりは「身体にも地球にも優しいフードシステムをつくろう」と、すぐに「Urban Leaf」社を設立。新鮮で身体にいい野菜づくりをお手伝いできれば、人生の質を高め、寿命も長くできる。そんな想いから、「Urban Leaf」は、自宅での野菜づくりを、楽しく簡単にしかも安価で提供する方法を模索していたといいます。

私たちは都会で食べ物を育てることで、食品業界の問題を解決できると信じています。なぜなら、供給ルートを短くし、フードマイレージや食料廃棄物を減らし、包装も少なくできますからね。

しかし、都会での野菜づくりは、簡単ではないでしょう。ほとんどの場合、みなさんには時間も場所もノウハウもありませんから。私たちも17畳しかないアパートに住んでいるニューヨーカーなので、その点はよく理解できます。私たちは、これらの障害をみなさんが乗り越えられるよう、改良を重ねているところです。

ふたりは、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」で「The World’s Smallest Garden」を発表。瞬く間に、アメリカ国内外の約1000人から約525万円の資金が集まり、話題沸騰になっているのだとか! 手軽に野菜が育てられることはもちろん、デザイン性の高さも、ヒットした要因かもしれません。

「Urban Leaf」共同CEOのRobさん(左)とNateさん(右)

食料自給率が低い日本には、世界中から毎日いろんな食材が届きます。フードマイレージ(食べ物の移動距離)は、なんと日本が世界一食料の輸送で排出するCO2の量が、日本が世界で一番多いわけです。

「The World’s Smallest Garden」で野菜づくりを始めるだけでは、食料自給率の向上に大きくつながらないかもしれません。しかし、自ら野菜づくりを実践したり、地産地消の食材を買う心がけをするだけでも、変化の第一歩になるはず。この機会に、日本の食料自給率をアップする暮らしの工夫を始めてみませんか?

[via Urban Leaf, Treehugger, inhabitat]
(Text: ひだみき)