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中身は開封してからのお楽しみ。未知の本に出会いたい読書家必見! 包装紙でラッピングされた本を販売する「blind dates with books」

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タイトルも著者も、表紙さえもわからない「blind dates with books」。一体どんな本と出会えるのでしょう?

みなさんは特に読みたい本を決めずに、ふらっと書店に立ち寄ることってありませんか?

なんとなく興味のあるコーナーで平積みにされている本をめくってみたり、雑誌や漫画のコーナーをフラッと覗いてみたり。しかし、そんなときに「ほしい!」と思う本に出会えず、何も買わずに店を出てしまったこともあるかもしれません。

最近では、自分のほしい本を検索して購入する電子書籍やオンライン書店が普及してきたため、「もっと自分の知らない本と出会いたい」と思っても、なかなかいい機会がなくて・・・という人も多いのではないでしょうか?

そんななか、オーストラリアの古本屋「Elizabeth’s Bookshop」が始めた、あるサービスが話題になっています。
 
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街の本屋さんとして親しまれる、Elizabeth’s Bookshop。

オーストラリア国内に6カ所のお店を持つ人気の古本屋「Elizabeth’s Bookshop」が始めたのは、「blind dates with books」という販売方法です。

”blind date”とは、英語で友人の紹介などで知らない相手とデートをするという意味。読者が新しい本とワクワクするような出会いができるように、と願ってつけられた名前です。

本は茶色の包装紙で、タイトルや著者、表紙の絵さえも見えないようにラッピングされています。そしてその包装紙には、その本の中身を表すキーワードがいくつか書いてあり、それをヒントに自分の惹かれる本を探しだすことができるのです。
 
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さまざまなキーワードが書かれて、ラッピングされる本たち。どれにしようか悩むこと自体が楽しそう!

ラッピングに書かれるキーワードは本当にさまざま。ストーリーそのものを予測できるような「Love」、「Mystery」、「Fantasy」といったキーワードもあれば、場所や時代背景を表すキーワードや、「Heart-Warming」のようにどんな気持ちにしてくれる本なのかを表すキーワードまで。

キーワードから、どんな本が入っているか想像しながら選ぶワクワク感を楽しみつつ、普段本を買うときとはひと味違う、選ぶ過程そのものを楽しめそうですね。
 
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お客さんも、とても嬉しそうに選んでいます!

実はこの「blind dates with books」は、「Elizabeth’s Bookshop」で働く1人のスタッフのアイデアによってはじまったもの。

オーストラリアで書店を訪れる多くの人は、日本に住む私たちと同じように、どんな本がほしいか決められないまま、なんとなく見て帰ってしまうことがあるのだそう。

そんな姿から、「もっと色んな本を手にとってもらいたい!」と考えた末に思いついたのが、”福袋のように”ランダムに本が選べる「blind dates with books」でした。

最初は、このアイデアが上手くいくのか不安を抱いたスタッフもいたものの、結果は大成功! ストアマネージャーであるMelanie Prosser(以下、メラニーさん)は自信を持って、こう話します。

私たちはどんな本を読もうか考えるとき、表紙を見ただけでその本がどんな本か、決めつけてしまいがちです。しかし、あなたが判断基準にできるようないくつかのキーワードがあれば、「新しい何かを知りたい。読んでみたい」と関心を持つチャンスに巡り会うことができるはず。

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新しい本に出会いたいときには、この本棚に行けばOK。こんな本棚、日本にもほしいですね!

最近ではプレゼント用としても注目され、ギフトシーズンになると「blind dates with books」の並ぶ書棚の前は、いつも以上に賑わうそうです。実際にプレゼントとして購入するために来店していた、あるお客さんの反応は上々です。

もしもプレゼントする相手が読書好きだったら、これは最高のプレゼントになると思います。特にどんな本を選んでいいかわからない人にとっては、本当に助かりますし。私だったら、1年中どんなときでもこれをプレゼントに貰いたいくらい!

そしてメラニーさんもこうした顧客の声を踏まえ、こう付け加えています。

この本たちはギフトにも最高だと、私たちも、もちろん思っています! なぜなら「なんでこの本を選んだの?」と非難されることがありません。もしも相手が気にいらなかったら「私のせいじゃないよ!」って言っちゃって大丈夫ですからね。

とはいえ、「blind dates with books」で販売されているのは店員のおすすめばかり。きっとドキドキしながら、開封する瞬間の楽しみを贈った相手と共有できるのではないでしょうか。

ECサイトのレコメンド機能や、知人や友人からのおすすめ、ブックコンシェルジュのいる書店に行ってみるなど、新しい本を手にするためのヒントは、既に日本にもあります。

しかし「blind dates with books」のように、全く新しいジャンルや著者の本に偶然出会えるような仕組みは、まだまだ多くありません。こんな楽しい本の選び方ができる仕組みが増えたら、もっと書店に足を運ぶことが楽しくなりそうですね。

[via HELLO GIGGLES,THINGS YOU DIDN’T KNOW,NEWS LOCAL,WOW AMAZING,Facebook]

(Text: 村上萌)

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