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本を売るだけでなく、まちの居場所をつくる本屋。函館蔦屋書店が実践するコミュニティデザインを伺った「green drinks Sapporo vol.2」をレポート!

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この記事はgreen drinks Japan オーガナイザーの方よりいただいた原稿を、そのままの内容で掲載しています。green drinks オーガナイザーについての詳細は、こちらをご覧ください。

例年の北風を忘れてしまうほど暖かい日が続いた5月初旬、「green drinks Sapporo vol.2」が開催されました。

会場は、「札幌こころの診療所」に勤める中野透さん協力のもと、クリニックのホールや、食堂をお借りしました。(札幌こころの診療所は精神科・児童精神科の診療所です。同じフロアには就労移行施設と発達障害をもつ子どものための児童デイサービスが併設してあります。)

第2回目のテーマは、「コミュニティデザイン」についてです。最近よく聞く「コミュニティデザイン」という言葉、コミュニティを「デザインする」というのは、どういうことなのでしょうか?

今回は、「まちの居場所をつくる」書店として、本屋の垣根を越え、人々が集う居心地のいい場づくりを提案している函館蔦屋書店が一企業として、どのような「コミュニティデザイン」を実践しているのか、自分のライフスタイルを見つめ直すワークショップを交えて、お話していただきました。
 
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代官山蔦屋書店に次ぐ2店舗目として、その立ち上げから関わり、現在は月100本ものイベントをオーガナイズしている、函館蔦屋書店・コミュニティ事業部リーダーの塚本さんをゲストにお迎えしました。(2015年2月に次の目標のため同社を退職、現在はアメリカ在住)

緊張していた塚本さんですが、参加者のみなさんに問いかけながらの自己紹介から始まり、場がすっかり笑いで和んだところで、ゆっくりと蔦屋書店のことを教えてくれました。
 
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「蔦屋書店」ってなんだろう?

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地方で暮らすわたしたちにとって「TSUTAYA」といえば、レンタルショップであり本屋である以外に他ならないものです。複合施設として函館に「蔦屋書店」なるものがオープンしたことは、なんとなく知っていたけれど、他の商業施設とは、一体何が違うのでしょうか?

塚本さん 蔦屋書店とは、生活提案の場です。レンタルショップを通して、エンターテイメントに気軽に触れ、自分の好きな物を見つけてほしいという思いが、「TSUTAYA」の始まりです。

しかし、時代の移り変わりの中で、さらに豊かな生活提案の場を目指してできたのが「代官山蔦屋書店」です。モノではなくコトを、“買い物に行く場”ではなく“過ごしにいく場”へと、時代に合わせて進化させてきました。人と人、人と文化をつなぐ場所として、函館蔦屋書店ができました。

その特徴は、レンタルショップや本屋以外に、レストラン、お花屋さんや、文房具屋さん、キッズパークやラウンジといった、世代問わず一日中過ごせる場所であることです。

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なぜ、函館なんだろう?

北海道で人が集まる街と言えば、まず浮かぶのが札幌のはず。なぜ、ローカルサイドの函館を選んだのでしょうか?

塚本さん 私たちは、生活の提案を日本中に届けたいと思っていました。

東京の次は、梅田とか、博多とか、それこそ、札幌でもよかったけど、都市型のお店になってしまいます。

函館を選んだのは、マーケティング上の理由もあるけど、沢山の人が利用できるような地方都市を選び、地域に根付くお店になりたい、街の魅力がとけ込んだお店になりたい、という思いがあったからです。

他の商業施設との違い

塚本さん 地方のアイデンティティを活かして、人の魅力が根付くお店であることです。カフェや公園など、その場所ができただけでは完成しないパッケージ、すなわち町の人が集まって初めて完成するパッケージこそ、地域に根付き、人と人、人と文化をつなぐコミュニティができるお店を目指しています。

本屋がパン屋に!?コミュニティデザインってなんだろう?

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カフェや公園など、町の人が集まって初めて完成するパッケージ。それは、単に経済的な消費活動ではなく、好きなことで時間消費を楽しむこと。その上で、地域の人が集まるコミュニティの場として、どのような取り組みをしているのでしょう?

塚本さん コミュニティデザインが何か、言える人いますか?僕も分かんないんです。

コミュニティデザイナーの山崎亮さんは、「人が繋がる仕組みをデザインすること」だと言っています。その言葉を借りると、人の輪が広がるお店になれば、それはコミュニティデザインなのでは?と考えました。

コミュニティが生まれれば、ここが自分の居場所になれる。函館蔦屋書店に関わる人にとって“あのお店”から、“みんなの店”、そこから“私のお店”と発展していけば、その店にいるお客さんや、そこで働いている人たちの関係が変わっていくと考えています。

というのも、コミュニティ発展のためには、自己実現の場として、自分ごとにする、自分の場所だと思うことが重要です。そのために、コミュニティ活動の場となるイベントを月に100回は行っています。

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塚本さん 本屋なんだから出版トークイベントを開催したり、プロのアーティストを呼ぶというのが一般的です。

代官山蔦屋書店ならそう言ったことも考えられますが、地方都市では、大都会と同じ頻度や規模で開催するにはどうしても困難な部分もあります。だからこそ、函館だからできることをすることにしました。

書店と名乗っていながら、料理教室やビブリオバトル、羊毛フェルト教室や地域で活動しているバンドのライブ、読み聞かせやヨガなども行っています。

他にも本屋なのにパン祭りを開催してパン屋になったりと、できないことはない。地域の人たちと力を合わせれば、なんでもできるのです。

毎日イベントをしよう!

塚本さん “あそこでは毎日何かやっている”と思ってもらうことが重要です。「B&B」の内沼晋太郎さんの言葉を借りると、何ごとも枠組みさえあればコンテンツになります。

しかし、コンテンツメーカーである面白いことをやっている人がいても、特に地域では、それを披露したり実践する場があまりありません。

だから函館蔦屋書店は、コンテンツメーカー・メーカとして市民が活躍できる場所でありたいと思っています。これが僕にとってコミュニティをデザインすることです。

最後に、参加者のみなさんで塚本さんが用意した、コミュニティデザインを考える上で自分のライフスタイルを見つめ直してみるワークシートに挑戦!

みなさんのなかにどんな“自分”や“ライフスタイル”があったのでしょうか。

さて、函館蔦屋書店の目指す地域にコミットした取り組みは、まだまだ始まったばかりです。

ひとりひとりの“得意”や“好き”を持ち寄ればできないことはないと、まるで好きな人を紹介するように、時おり、照れ笑いを浮かべる塚本さん。“好き”や“心地よさ”を集めるには、まずは自分の“好き”を表現することが大事なことのようですね。コミュニティデザインって、なんだかとってもいいですね。
 
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たくさん考えたら、お腹が空く!懇親会は、スタッフが朝から愛情込めて準備した手作りカレーとポテトサラダでした。さすが、大学生のみなさん!「おかわり下さ〜い」と大人気でした!
 
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自己紹介や、イベントの感想も済んだころ、普段は耳にすることのない地元の学生のみなさんの会話が聞こえてきました。関わっているサークルやプロジェクトの話をする人もいれば、それはもう、これからのことを考え始めるお年頃。同世代で分かち合うお悩み相談の様子もありました。キラキラした目も、浮かばない顔も、将来を歩む一歩なのかと、懐かしくてうらやましい限りです!
 
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50名を超える参加者のみなさん。ほとんどが学生の方でしたが、何かいいことを思いついたでしょうか?これにて、Vol.2も、無事終了致しました。

それでは、次回のgreen drinks Sapporoでお会いしましょう!
 
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green drinks Sapporo vol.2は、このメンバーでお送りしました!

(text:オオカワユカ)