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銃の規制に取り組む団体が、銃を販売する店をオープンした理由って? 客の8割が買う気をなくす「THE GUN SHOP」

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世界最大の広告・コミュニケーションの祭典、「カンヌ・クリエイティビティ・フェスティバル」。「Cannes Lions 2015」では2015年の受賞作の中から、新たなアクションを考える刺激になるような、ソーシャルグッドな広告を連載で紹介していきます。今回ご紹介するのは、ニューヨークでの事例です。

一瞬のうちに人の命を奪う銃。銃の所持が認められているアメリカでは、銃の使用で起きる不幸な事件が後を絶ちません。

もう銃のある社会はいらない。そう考える人が多いかというと、実はそうではありませんでした。

昨年の世論調査では、約60%のアメリカ人が「銃を持つことで犯罪の被害を防止できる」と回答しているのです。しかし、銃を持つ人が増えることで自殺や事故も増えており、不安がさらに危険につながるという悪循環が問題になっています。( Bloombergの集計データより

銃による悲劇を防ぐためには、銃を持つ人を減らす必要があります。そこで、銃規制に取り組む団体は、ニューヨークにあるお店を開きました。それはなんと、ガンショップ。つまり、銃を売るお店です。
 
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銃規制に取り組む団体が、なぜ銃を売る店をつくったのでしょうか。そのわけは、ユニークな銃の売り方にあります。在庫で置かれているすべての銃には、同じモデルの銃が自殺や殺人事件で使われたときのエピソードが克明に書かれたタグがつけられているのです。

たとえば、22口径リボルバーにはこんな解説が。

もし簡単に使える銃の購入をお考えなら、こちらがオススメ。なんと、5歳の男の子が使ったというケースもあります。

2015年、親の部屋でこのモデルの拳銃を見つけた5歳の男の子は、ベッドルームで9カ月の弟を射殺したのです。

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22口径リボルバー

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この9mmサブマシンガンは、9歳の女の子が誤射して、インストラクターを射殺してしまったモデル。「どの銃にも物語がある。その物語を繰り返さないようにしよう」というコピーも。

このようなラベルを見て、さらに店員から話を聞いてショックを受ける人たち。店員の話や、ラベルの解説を読んで、実に80%以上の人々が「やはり買わないでおこう」と心変わりしたそう。

そして、彼らの様子を隠し撮りした映像はYouTubeで公開され、たった1週間で1200万再生を記録、90以上のニュース番組で取り上げられました。さらに、拳銃許可の是非を問う署名の数は1250%も増加。団体への寄付も3000%増加する結果を生み出したのです。
 

自分の身を守るためにと持つものが、人の命を奪ったり、むしろ自分や家族を傷つけることになるかもしれない。まさか銃を売る店で知らされるとは思っていなかった事実。

意外なタイミングでの衝撃的な情報が、人の心を揺さぶりました。心のすき間に一枚一枚の小さなタグが語りかけが、多くの人の態度を変えることにつながったのです。

(翻訳アシスタント:スズキコウタ/「greenz global」編集部)