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わたしができることを見つけ出そう!ソーシャルデザインに触れて、自分ごとを見つける「green drinks 調布vol.7 」[イベントレポート]

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うだる様な暑さにも負けず、毎月第3日曜日に開催中のgreen drinks chofu「自分の暮らしをつくる場。」


調布の小さな発信拠点「co-ba chofu」で開かれているこのイベントは”自分ごとを見つける”をひとつのテーマとし、毎回自分ごとを見つける為に必要な様々なグッドアイディアを飛び交わしています!



第7回となる今回は、調布飛行場を活かしたコミュニティビジネスを手掛ける「調布アイランド」代表理事の丸田孝明さん、仙台を拠点に音楽・アートのチャリティイベントを開催等を行う「HaTiDORi」代表の工藤瑞穂さん、そして「greenz.jp」フクヘンの小野裕之さんの3名をゲストにお迎えしました。

調布×島のコミュニティビジネス

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最初のゲストは丸田孝明さん。

一人目のゲストは現在調布アイランド代表の丸田さん。


みなさんは東京・調布に飛行場があることをご存知でしたか?東京都営空港のひとつである調布飛行場は、伊豆七島の各島と調布を結ぶ便が発着し、一般にも利用されています。


調布アイランドは、そんな飛行場という調布の地域資源を活かした新しい流通の仕組み。伊豆諸島で獲れたばかりの新鮮な魚を飛行機で輸送し、調布の飲食店に届けているのです。

通常の船を利用した輸送では調布に魚が届くのに2日かかってしまうところが、飛行機を使えば約6時間。その鮮度は都内でもトップクラスです。

調布アイランドのはじまりは、丸田さんの定年退職に遡ります。調布に越してきて数年、地域に知り合いもなく、仕事も辞め、あるのは時間だけ…。

企業にどっぷり浸かった「組織人間」から充足を得る為に、地域コミュニティの中で生きる「地域人間」に変わるべきなのでは。そんな丸田さんが行動を決意し出会ったのは、「調布アットホーム」というコミュニティビジネスの支援組織でした。

コミュニティビジネスとは地域の課題を解決していくビジネスのかたちです。この「ビジネス」という言葉にはお金儲けの意味ではなくどちらかというと持続可能にする為にという考え方から定義されているとのこと。


 
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実は酒飲み話から始まった「調布アイランド構想」。しかし調布コミュニティビジネスコンテストで優勝し、一気に気運が高まります。




丸田さん 自分で行動し、まちに飛び込んでみて色々な人と出会う中で、地域の歴史、地域の文化等が自分の中でつながって来た。

その出会いの中で仲間に応援してもらって、調布アイランドという妄想がやるべき課題に変わりました。

意気込んで、島の方に相談してみると厳しい声もありました。


伊豆諸島で獲れた魚を空輸で運ぶのでは、コストに見合わないし、発着のタイミングも合わないということでした。だけど空輸でなら傷みが早い等の理由で、島の中だけでしか食べられなかった魚も取り扱うことができます。そんな一心で色々な課題を解決しながら流通経路を確保しました。


島の魅力を発信しながら、調布に新しい価値をつくる。今まで島は島、調布は調布で地域活性ということに取り組んできましたが、島と地域をつなぐ事で起こる新しいかたちの地域活性プロジェクトになりました。

活動を続けて3年。多くの苦労を乗り越えてようやく周囲からも認められ始め、各メディアにも取り上げられるように。今後は旅行など人との交流事業にも乗り出すそうです。調布発のコミュニティビジネス・調布アイランドに、今後も要注目ですね!

たとえ小さくても、私には私にできることを

二人目のゲストは、HaTiDORi代表の工藤瑞穂さんです。



 
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熱く思いを語ってくださった瑞穂さん
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HaTiDORiは「小さくても私は私にできることを」をコンセプトに音楽、ダンス、アートと社会的課題についての対話や交流の場をつくる団体。活動の原点は2011年3月11日。発起人である瑞穂さんは仙台で働きながら、ダンスを踊り、ダンスのイベントを主催したりしていました。

震災時に強く感じたのは自分が直接復興に貢献できない無力感だったそうです。自分らしさを活かして被災した方の力になれないだろうか。そう考えた瑞穂さんは、チャリティイベントを敢行。石巻の避難所で、ダンスを披露するチャリティライブ等を行います。



瑞穂さん ダンスをやらせていただいていた避難所が解散するときに、避難所を仕切っていたおばさんから「ありがとう」って電話をいただいたんです。それで、自分たちのやっていることに意味を感じられました。

復興支援への関わりから、社会課題についてもっと知りたいと考えたときに、瑞穂さんは若い人が気軽に参加できる場がないことに気づきます。

その問題意識から、これまで開催してきた音楽・ダンス・アートイベントと社会の課題についての学びと対話のワークショップを融合したイベントを開催します。自分の中で思い描いていた若い人から年配の方までが集い、多世代の交流の場になったそうです。

ワークショップは参加者が限られてしまうことから、「さらにもっと多くの人向けのイベントを」と考え、”地域の老若男女が集まる開かれた場所”である「お寺」でのフェスを企画。
仙台市の浄土真宗徳泉寺を会場に、2013年9月“音楽とアートに囲まれて、東北の未来を語り合う”「寺フェス!!!」を開催しました。

誰でも気軽に参加できるようにと入場は無料。復興支援関連の手づくりの雑貨や野菜のマルシェやカフェ、DJブースなどが並び、ライブペイントあり、自然エネルギー体験ブースあり、トークイベントありとバラエティー豊かなイベントになりました。


瑞穂さん 私がフェスの中ですごく好きな光景があります。それは、知らない子供と大人が一緒に楽しんでいたりして、そこに犬の散歩にきた近所のおじいちゃんがギターを弾き始めて、それに合わせて子供が思い思いに遊び始めるみたいな、なんとなく、いろんな人が同じ
空間にいて、なんとなくつながっていく・・・その光景がすごくいいなと思って。

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今後の活動について語る瑞穂さん


フェスでの場づくりから、見知らぬ人であっても存在を無視しない、存在を排除しないことの大切さを痛感。そして活動は次のステージに進んでいます。


瑞穂さん 居場所を感じられてない人に、居場所をつくりたい。

自分たちは人の居場所をつくるっていうことには長けてるんじゃないかと思い、仙台に一軒家を借りました。HaTiDORiの活動拠点としてイベント開催などをしていく過程で、周辺のに住んでいる人たちとも交流していきたいと思い、コミュニティスペースにしました。

仙台市河原町にオープンしたコミュニティスペース・HaTiDORiハウス。
プレオープンから2日でのお話でしたが、HaTiDORiハウスにはすでに親子連れが来たり、学校帰りの小学生の男の子たちが訪れたり、終始にぎやかだったそうです。

縁側もある一軒家は、これから地域になくてはならない居場所として発展していくのでしょう。その場で繰り広げられる様々な物語が楽しみです。
 
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HaTiDORiハウスでの様子

誰もがソーシャルデザイナー。グリーンズが目指すもの

三人目のゲストはgreenz.jpフクヘンの小野裕之さんです。

 
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greenz.jpの副編集長である小野裕之さん

改めて…そもそもgreenz.jpって?

情報の発信と対話の場づくりを通して、社会課題をクリエイティブな手法で、また自分ごととして楽しみながら解決していく。グリーンズではそういうアイディアをソーシャルデザインと呼んでいます。

身の回りにある問題を「他人ごと」と捉えるのではなく、「自分ごと」として考え、アイディアを武器に問題を解決していくこと、それは何も特別な仕事ではありません。誰もがソーシャルデザイナーになれるのです。あらゆる立場の人と一緒にソーシャルデザインの生態系をつくっていきたい。それがグリーンズの想いです。


greenz.jpは2006年7月に生まれ、今年で丸8年が経ちます。世界の話を半分、日本の話を半分くらいの割合で、今日もソーシャルグッドなアクションをシェアしています。


 
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greenz.jpのトップページ

実は、greenz.jpには広告がほとんど入っていません。greenz.jpは個人やコミュニティだけでなく、企業や行政が、社会性と経済性を両立していくプロセスも応援できる存在になりたい。
そんな想いに正直に向き合った結果、自然と広告の依頼は減っていったそう。

では、収益はどうなっているのでしょうか?そこが副編集長である小野さんの仕事です。

greenz.jpは培ってきたソーシャルデザイナーとのネットワークをもとに、企業と様々なコラボレーション事業を行うことによるコンサルティングがベースとなり、それに付随する研修やコンテンツ制作などの業務委託費で賄われています。

コラボレーションは藤野電力や経済産業省のDIY発電の企画「わたしたち電力」や、ヤマハとの「おとまち」など多岐に渡っています。


 
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「わたしたち電力」

それに加え、2013年からは個人向けの寄付会員制度「greenz people」がスタート。寄付会費は現在、年会費のみで6,000円、9,000円、12,000円と3つのコースが用意され、開始から1年半経ったいまでは、300名弱の会員がいるそう。

ここで質問。元々企業に勤めていた小野さんですが、なぜグリーンズに転職したのでしょうか?


小野さん 問題意識としては、世の中ってもっと良くならないかなあと思ってて。

今の社会構造では頑張れば頑張るほどそういった世の中から遠のいていく感覚すらあり、もっといい社会をつくろうとするプレーヤーはいるのに、必ずしも実現するわけではないし、その活動を継続するために必要なお金とインパクトを出すために不可欠なユーザーとの距離感もなかなか近づいていかない。

その間にメディアが入るっていうのは活路になるんじゃないかと思いまして。

現在グリーンズの事業は、webマガジンgreenz.jpの運営にとどまりません。


2007年から始まった、エコやサステナビリティをテーマにした飲み会であるgreen drinks。今では全国津々浦々で月5回ほどのペースで開催されています。

ニューヨーク・パリをはじめ、アルゼンチンからジンバブエまで、世界の800都市以上で開催されているグローバルなネットワーク。
日本だけでなく、海外旅行に行った際などにも参加してみたいですね。


green drinksは日常生活の中では話す機会の少ない社会課題について、自由に語り合える人々と出会える貴重な場になっています。

green drinksでの経験から、もっとアイデアをカタチにして、それを実現させる仲間と出会える場をつくりたいと考えたgreenz.jpは、2011年に「ほしい未来」をつくるためのソーシャルデザインの学校「green school Tokyo」をオープン。年間100人ほどの卒業生を生み出すこの学校は、必ずしも起業だけをゴールとはしていませんが、その中の1割くらいが起業するなど具体的な成果も出始めています。



そしてご存知の方も多いかと思いますが「リトルトーキョー」というスペースを、虎ノ門にオープン。ここでは生態系のつながりをリアルに感じられる場があります。コーヒースタンドとバーが併設し、ランチも食べられます。
 
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昨年オープンした「リトルトーキョー」

「(リトルトーキョー)市民」という会員制度をつくり、市民が中心となり物事が起こる様な取り組みや、元々「日本仕事百貨」とのコラボレーション企画であるリトルトーキョーではいろんな仕事をしている人と語れるイベント「しごとバー」も夜な夜な開かれています。8月末には「調布ナイト」の開催もあるとのこと!



会場からは、「自分もgreen drinksを開催したい!どうしたらいいのですか?」という質問。

小野さんからの回答は、「ではwebサイトを見て申し込んでくださいね!」というものでした(笑)。
怖がらずチャレンジをしてみるのも、いいかもしれません。そしてgreen drinksの輪がどんどん広がっていくといいなと思いました。あなたの住んでいるまちでも是非開催してみては?

 
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今回のケータリングも、おなじみ「sippoterry」の杉田志保さん。まるで絵のようなサラダを、いろんな種類のディップにつけていただきます!参加者からは「食事がおしゃれでびっくりしました」という声も!

 
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カラフルなディップサラダでソーシャルな飲み会

今回もグッドアイディアと人が交差し、多様な刺激に溢れた回になりました!

今回はアプローチこそ違えど、まさに自分にしかできない方法で、自分ごととして捉えた社会課題の解決を楽しみながら取り組んでいる方々のお話で、今地域や日本で起こっているソーシャルデザインのかたちを感じる事ができた回になり、とても刺激的でした!

green drinks chofuは毎月第3日曜日に開催。次回の開催は8/17(日)です。


次回のゲストとして株式会社「ツクルバ」代表取締役CCOの中村真広さん、NPO法人「Ubdobe」の岡勇樹 a.k.a ゆーく さん、株式会社「MNH」の小澤尚弘さんをお迎えします。
そしてgdcでは初となるアコースティックライブ!tricolorをお呼びしてのアイリッシュミュージックライブありのgreen drinks chofuをお楽しみ頂きます!

調布にとどまらず、毎回各地から参加者が集まるgreen drinks chofuです!東京の心臓部、新宿から電車で20分。最近アツくなり始めているこのまちで、皆さまのグットアイデアにつながる何かがみつかるかもしれません!
 
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(Text: 池田睦美)
(Event photo: 松本茜)