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太陽のエネルギーでつくる、小さな映画館。ドキドキも一緒に体験するソーラー上映会 [イベントレポート]

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わたしたち電力」は、これまで“他人ごと”だった「再生可能エネルギー」を、みんなの“じぶんごと”にするプロジェクトです。エネルギーを減らしたりつくったりすることで生まれる幸せが広がって、「再生可能エネルギー」がみんなの“文化”になることを目指しています。

「太陽光の電気を使って、映画の上映会ができないか?」「ならまずやってみよう!」ということで、グリーンズでは11月11日(月)の夜、ソーラー上映会を開催しました。

作品は、デンマークやオランダの自然エネルギー活用事例などを取り上げたドキュメンタリー『パワー・トゥ・ザ・ピープル』。グリーンズでも監督にインタビューしています(記事はこちら)。上映にあたっては配給会社のユナイテッドピープルにご協力いただきました。

自然エネルギーを使って、自然エネルギーを題材にした映画を観る!まさに今回の上映会にふさわしい作品だと思います。

グリーンズとしてもソーラー上映会は初めての試みです。果たして無事に上映できるのかという緊張感(?)を、主催者側と参加者が共に体験できる場となりました。リトルトーキョーが小さな「映画館」になった一日をお伝えします。

Step1 事前準備 バッテリーに充電!

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まずは肝心のミニ太陽光発電システムを用意。今回「藤野電力」さんのワークショップで作ったキットを用意しました。リトルトーキョーでもミニ太陽光発電システムを作るワークショップを定期的に行っています。

そして上映会に使う機材を確認。どれだけ電力量が必要なのかイメージします。今回は、パソコン、プロジェクター、ステレオの3つです。

ところで、「ソーラー上映会」と銘打っていますが、ソーラーパネルで発電した電気をリアルタイムで使用するわけではありません。発電した電気を一度バッテリーに充電し、バッテリーから各機材に電気を送ります。

その場で発電した電気で上映会をやろうとすると、たくさんのソーラーパネルと大掛かりな機材が必要となり、とてもリトルトーキョーのスペースには置けません。(それに上映会は夜ですからね。)太陽が出ている時間にバッテリーに充電しておきます。

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2枚のソーラーパネル(50W)で、2つのバッテリー(20Wh/5Hr)にフル充電しました。快晴なら、およそ5〜6時間で完了です。映画上映の約2時間に必要な電力はこれで十分まかなえます。

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この後いきなり本番!では不安なので、事前にセットを組み上映してみました。大丈夫、きちんと映像がスクリーンに映し出され、音も鳴りました。準備万端で当日を迎えます。

Step2 機材のセッティング

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バッテリーと各機材をつないでいきます。使用した機材はこちら。

・プロジェクター

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消費電力は約70Wの省エネタイプ。小型ながらも色合いは非常に鮮明です。今回はユナイテッドピープルからお借りしました。

・パソコン

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消費電力は50W。DVDを入れて再生します。プロジェクターのコネクタの形状には要注意。必要によっては変換コネクタが必要です。

・ステレオ
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リトルトーキョーに備え付けのもの。このステレオが後にちょっとしたハプニングを……。

・インバーター

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直流の電気を交流に変換する装置。一般的な家電製品が使えるようにします。各機材のコンセントはここに差します。使用電力は250Wまでです。

・バッテリー

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2つあるうちの1つをパソコンとステレオ、もう1つをプロジェクターにつなぎます。

今回の上映作品

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肝心のコンテンツは、ドキュメンタリー『パワー・トゥ・ザ・ピープル』。配給会社であるユナイテッドピープルに上映を申し込みました。自主上映会の場合、基本料金は30,000円です。ソーラーのエネルギーで上映する場合は、20,000円になります! LEDプロジェクターの貸し出しもご相談くださいとのこと。

参加費を集める形で上映会を開催する場合、著作権者の許諾を得る必要があります。個人で持っているDVDを、参加費を集めて無断で上映することはできませんのでご注意を。もちろん、少人数の仲間で集まり、自分で購入したDVDなどを、私的に鑑賞する分には大丈夫です!

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さて、準備も終わり参加者も集まってきました。皆さん、ドリンク片手に、リラックスした雰囲気です。

Step3 いよいよ上映

最初に今回のソーラー上映会の仕組みを話し、上映開始です。

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「テレビがなかった時代、町の集会所なんかに集まって映像を見るときってこんな雰囲気だったのかもしれませんね」

照明が落ち、デンマークの海と青空のオープニングが映し出されます(ちなみに筆者は、この小さな上映会の様子を見て、イタリア映画の名作『ニュー・シネマ・パラダイス』を連想しました)。

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『パワー・トゥ・ザ・ピープル』は、再生可能エネルギー普及に取り組むオランダの活動家や、10年という年月をかけて、100%クリーンエネルギー化を実現したデンマークのサムソ島の取り組みなどを紹介する、明るいビジョンに満ち溢れたドキュメンタリーです。

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本編には「節約が楽しいの〜」なんて話しながら、自宅の太陽光発電システムを自慢げに紹介する主婦の方も登場します。自然エネルギーを活用することは楽しいことなんだ、というメッセージを強く感じました。

良い雰囲気だなーなどと思っていると、「ピー!ピー!ピー!」と警告音が……。
インバーターの容量を超えたときに鳴る音です。

インバーターの使用可能電力は250Wまで。パソコンの消費電力は50Wですから、ステレオはその容量を超える消費電力だったようです。

ステレオをソーラーの電気から東京電力の電気に切り替え、事無きを得ました。そんな時でも一同にこやか。そんなドキドキも楽しさの一つ(?)かもしれません。その後は何も問題なく、映画は幕を閉じました。

Step4 上映会を終えてディスカッション

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「ミニ太陽光発電システムは大きなおもちゃみたいなもの。『天気いいねぇ』なんて言いながら楽しめますよ」

終わった後は参加者でトーク。自己紹介から映画の感想、ミニ太陽光発電システムについての質問などで盛り上がりました。

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興味関心は参加者それぞれですが、「小規模な経済圏」や「顔の見える関係」というテーマが話題の中心になっていったと思います。エネルギーを始めとして、生活に必要なモノ・コトを外部に依存しすぎているのでは?という問題が、映画を通して浮かび上がってきました。

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話は尽きませんが、夜も深まってきたのでお片づけです!参加者の皆さんにも手伝っていただきました。

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まずは上映会をやってみよう!

ハプニングも起こったとはいえ無事成功したソーラー上映会。リトルトーキョーの小さな映画館は、観た後みんなで一緒に話せて、身近な電気について楽しく考える場となりました。主催したグリーンズ発行人、鈴木菜央はこう話しています。

ソーラー上映会は、自然エネルギーを題材にした映画に限らず、もっとポップな作品でも良いかもしれません。ソーラー上映してみたい映画があれば、ぜひグリーンズに連絡ください!そして、太陽光を使うと、準備も含めて楽しかったですね。私たちでも開催できたので「ソーラー上映会、面白そうだな」と思った皆さん、考えるよりもまずやってみてください。

手作りした電気を使って楽しいことがしたい、と考えてスタートした今回の上映会ですが、機材さえ揃えば、思ったよりも簡単にできました。機材の消費電力をきちんと計算し、ソーラーパネルの発電と充電さえできれば大丈夫。そんなに複雑な仕組みではありません。

映画を一人で観るのもいいですが、みんなで一緒に体験し、お互いの感想を言い合える場があると、映画の理解もより深まるのではないでしょうか。そういう意味では、今回ぐらいの小規模な上映会なら、全員が密に話し合うことができてちょうどよいと思います。

そして何よりもワクワク感があります!自分たちで作った電気で具体的に何かやってみることは、とてもやりがいがあると気づきました。考えるよりもまず行動。そうやって楽しく進めていくことが大切だと思います。

太陽光発電に関心がある皆さん。ご自身の地域で取り組んでみてはいかがですか?