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旅は単なる娯楽じゃない!真の国際交流を目指す「Voyagin」高橋さんと、地域活性を目指す「JapanSpotting」斎藤さんが語る旅の魅力

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(左)高橋理志さん(右)斎藤潤一さん

みなさんはこの夏、どこにでかけましたか?

グリーンズでも人気のテーマである「旅」。今回は現地の人と旅行者をつなげるツアーサイト「Voyagin」を運営する高橋理志さんと、地元自慢の写真でプチ国際交流のできるSNS「JapanSpotting」を立ち上げ準備中の斎藤潤一さんにお集まりいただき、”旅男子”座談会を行いました。

「旅」をキーワードに仕事をしているお二人は、社会起業家を支援するNPO法人ETIC.が主催する「ソーシャル・ベンチャー・スタートアップ・マーケット」で同時期に学んだ仲間。「旅」にどんな起業の種があるのか、何を大切にしながら旅サービスを運営しているのか、お話を伺いました。

「Voyagin」と「JapanSpotting」って何?

Felix 早速ですが、お二人の仕事内容を簡単に紹介してください。

高橋 「Voyagin」は、簡単に言うとツアーサイトです。通常のツアーサイトとは違うのは、ツアーの提供者の顔が見えるサイトであるということ。一般の方でも企業の方でも、現地の担当者と旅行者が事前に個人的なやり取りをした上で申し込めるのが特徴です。

大切にしたいのは、現地の人と旅行者が交流できること。現在はアジアを中心にサービスを提供しており、世界からアジアに来る人と、日本からアジアに出かける人に利用してもらっています。

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齊藤 「JapanSpotting」は写真を投稿し、投稿者とそれを見た人が交流できるSNSです。一人ひとりが、あたかも地元の観光大使かのように、世界に向けて日本の魅力を発信することができます。投稿者が自分の地元自慢の写真を投稿し、海外の日本に興味のある人がそれを見てコメントをつけることで、プチ国際交流を促すというものです。

高橋 Voyaginは英語と日本語でサイトを作っているけれど、サイトの情報はVoyaginが管理しています。でも、JapanSpottingはSNSですよね。「外国人と交流」と言っても、投稿者は英語で投稿するのですか? また、投稿が不適切だったりすることはどうやって回避しているんですか?

齊藤 僕は「写真は言語を超える」と思っているんです。写真がコミュニケーションツールになってくれるので、投稿者が英語を使えなくても大丈夫。もちろん日本語で投稿したものをGoogle翻訳を使って67カ国語に翻訳することもできます。不適切な投稿に関しては、今のところ投稿者を招待制にしている事で回避しています。当面は、運営者と投稿者が顔の見える関係で運営していく予定で、ある程度の質を確保してSNSの方向性をつけていきたいと思っています。

JapanSpottingサイト。すでにサポーターからの投稿が始まっている。 JapanSpottingサイト。すでにサポーターからの投稿が始まっている。

Felix Voyaginはツアーに参加することで現地の人と交流ができるとわかるのですが、JapanSpottingはどうやって外国人と交流するのですか?

齊藤 日本旅行を計画している外国人が写真の投稿を見て投稿者に質問をしたり、コメントをしたりすることで交流が生まれると考えています。投稿者全員が「地元の観光大使」なんです。

日本には美しい場所がたくさんあります。地元の美しさは存分に写真で自慢して「日本ってすごい!!」と思ってもらいたい。日本の魅力を世界に伝えるサイトにしたいんです。

ウェブサービスを盛り上げる工夫とは

高橋 SNSでは閲覧者や投稿に対するコメントを増やしたり、投稿者が投稿したくなる仕掛けが肝心だと思うのですが、JapanSpottingではどうしているんですか?

齊藤 仕掛けはいろいろと考えています。「城」を中心とした観光情報を中心にしているのもその1つ。実はトライアルでFacebookページをつくっていたんですが、そこで日本好きの外国人がたくさん「いいね」をつけていたのが城だったんです。

もっとも、城を重点的に紹介しているのは、JapanSpottingを盛り上げるという目的以外にも大きな理由があるんです。それは、お城まで公共交通機関が充実しているということ。江戸時代に参勤交代があったから、城までの経路はわりと良く整備されていて、外国人でも出かけやすいと思ったんです。実際に、観光客が現地を訪問してくれることを大切に考えています。

また、観光を盛り上げようとしている自治体とも話をさせてもらっているのですが、乗り気なところがいくつかあって、共同で写真コンテストをやろう、という話も出ています。いつか47都道府県に、世界に地域の魅力を発信するJapanSpotting事務局ができれば楽しいですね!

JapanSpotting投稿のための写真を撮影する斎藤さん。 JapanSpotting投稿のための写真を撮影する斎藤さん

多くの人に使ってもらうことを最優先に

齊藤 VoyaginはJapanSpottingの「城」のように、何か軸をつくるつもりはありますか?

高橋 何か一つにしぼることは、今はしてないですね。どちらかというと「あのサイトに行ったら何か面白い体験ができそう」と思ってもらえるようなサイトにしたいんです。まだまだ予想外のものが売れたりして、毎日発見があるので、しぼるのはもったいないなと。

お客さまの多くは、今は20、30代のファミリー層。その理由は、「子どもを喜ばせたい」「家族を喜ばせたい」っていう必要性があるからだと予想しています。一方で、ホテルから紹介してもらうお客様には、50,60代の方もいます。そういう方はお金の自由度は高いので、「滞在中の時間を最高にする」という感じでVoyaginを利用してくれています。だから、今は見やすくすることには注力するけれど、しぼったり整理するのはもう少し先でいいと思っています。

Voyaginのサービスで外国人とご飯を食べる高橋さん Voyaginのサービスで外国人とご飯を食べる高橋さん

高橋 とにかく、今はたくさんの人に参加してもらって、国際交流を行える機会を増やしてほしいと思っているんです。「単に旅行者とご飯を食べるだけ」などの体験ツアーもつくれるようにしているのも、そういった想いから。僕自身もその内容で登録していますし。

単純に外国人と交流したいという人でも体験を登録すると申込みがあったりするので、「家で手料理を振る舞える!」とか気軽な感じで 体験を登録してみてほしいなと思います。

Felix Voyaginは今、新しい取り組みを検討中と聞きましたが。

高橋 そうですね。まだ詳細は決まっていないのですが、海外に拠点を移す可能性があります。現在、Voyaginはアジア圏全体をサービス対象地にしているので、日本以外の国の体験をもっと登録する必要があるし、海外の同業の人たちと連携を進めていきたいと思っています。いろいろチャレンジしなくてはいけないことがあると思いますが、楽しみの方が大きいですね。

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「旅」が地域の雇用を生み出す

Felix お二人とも「旅」がキーワードの仕事をなさっていますが、それはなぜですか?

高橋 以前もgreenz.jpでVoyaginや、前身の「FindJPN」の記事を書いてもらったときにも話したのですが、自分がバックパッカーとして世界30カ国を旅したことと、ホームステイのホストとして自分の家に50人近くの外国人旅行者を泊めた結果、「現地の人と触れ合う旅は、よくある観光パッケージツアーの世界とは一味もふた味も違い、真の国際理解につながるものだ」と思ったことが理由です。

齊藤 僕も以前、NPO法人まちづくりGIFTという仕事でgreenz.jpに記事を書いてもらったことがあります。「まちづくりGIFT」は、日本の埋もれている魅力を発見し、世界中に情報発信するNPO。僕の興味は「地域雇用の創出」にあるんです。

まちづくりGIFTの活動を通して世界のまちづくりの成功事例を研究してきたのですが、その活動を通じて「地域活性化には、地域資源を活かした、地域雇用の創出が最も大切である」ということを学びました。その1つの手段が観光なんです。

実は震災後、最も打撃を受けたのは旅館やホテルなどの観光業。だから地域に雇用を生むために、観光業を盛り上げたい。日本のもっとすばらしい部分を、世界の人に知ってもらいたい。そういう想いでやっています。

JapanSpottingに投稿された外国人に人気の熊本城の写真。写真を見ただけで、どこのお城かわかる、外国人も多いそう JapanSpottingに投稿された外国人に人気の熊本城の写真。写真を見ただけで、どこのお城かわかる外国人も多いそう

Felix 高橋さんは「外からの視点」、つまり旅人の視点で旅に興味を持ったのに対して、斎藤さんは地域の発展という「中からの視点」で旅に興味を持ったわけですね。

齊藤 はい。でも、結局行き着くところは、「地域経済の活性化」と「交流」で、なんだか似ているなと思います。

高橋 そうですね。Voyaginも、体験を提供することで地方、アジアの国々に仕事をつくっているという意識はあります。世界中にプチ起業家を増やしていきたいし、地域のスモールビジネスに人の流れをつくりたい。

Felix 発端は違うけれど、やってみたら近づいてきた感じですね。

齊藤 いずれJapanSpottingで「ここに行きたい」という外国人旅行者ががいたら、Voyaginでガイドを探せる、みたいなことをやれたらいいですね。

高橋 いいね!

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Felix 最後に、「旅」を通じてお二人がつくりたい未来はどんなものですか?

高橋 ガイドブックをなぞる旅ではない、一歩踏み込んだ旅を多くの人に届けることで、異文化理解と国際交流が身近にある世界をつくっていきたいと思っています。旅は「再発見」をもたらすもの。イメージでしかなかった国にリアリティを持てたり、外国人から日本の良さを教えてもらえたり。そういう経験を多くの人が日常的になるといいですね。

齊藤 世界に住む人と日本の地方都市がつながっていくような世界にしていきたいです。地方に住んでいる人が、地元の魅力や価値を再発見してJapanSpottingに投稿する。それを見た外国人観光客が、SNSでプチ国際交流をし、地域を訪問する。そういう、人と人がつながっていく世界をつくっていきたいです。

(対談ここまで)



旅を通じて国際理解を促すVoyaginと地域活性を目指すJapanSpotting。「旅」という同じキーワードであっても、異なる視点で価値を生み出し、さまざまな工夫をしながらサービスを育てているのがとても印象的な対談でした。読者のみなさんもぜひ、これからの旅サービスを使ってローカル&グローバルな交流を楽しんでみませんか?