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みんなで政治について考えてみよう!green drinks 松戸「知事選挙と自分の暮らしって関係あるの?」

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自給自足できる街をテーマに2011年5月から毎月1回開催されているgreen drinks 松戸。2013年2回目となるvol.19は、「ちじセンキョと自分の暮らしって関係あるの?」と題して開催しました。

みなさん、選挙には行きますか?

本当は自分にすごく関係があるんだけど、今いちピンとこないという方も多いのではないでしょうか。最近票の格差問題が大きく取り上げられたり、ネットでの動きが活発になってきたり、実はホットな話題になっています。自給自足できる街を目指すgd松戸としては、まちの仕組みを作る政治においても自給を考えてみたい。

ということで今回は3月17日に行われる千葉県選に向けて、せんきょってなんなのか、固く考えがちな政治と自分の暮らしの関係を、gd松戸らしく、ゆるーく飲みながら皆で考えました。

今回は、松戸が誇る熱いコーヒー屋さん、slowcoffeeさんにて開催です。おいしそうなドリンクとフードが並び、もちろんフェアトレードコーヒーもあり。

まずはgreendrinks松戸らしく、乾杯から。今回はslowcoffee代表、小澤さんによるスロー方式です。こだわりの音楽が流れる中、皆で乾杯!

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slowcoffee代表小澤さん。今回小澤さんがどうしてもかけたかったという音楽が響く中、乾杯!

固い内容の話をする前に、まずは皆で飲むところからゆるく始めましょう!

せんきょも政治も、自分の暮らしをよくするためのものなんだ。

gd松戸オーガナイザー殿塚からの簡単な説明のあと、今回のゲストの自己紹介。

まずは北川義樹さん。せんきょCAMPのメンバーである北川さんは、政治家を目指して政治塾に通ったり、シェアハウスをやったり、若者による社会変革を応援するソーシャルメディアオルタナSの編集員を務めるなど、色々な面から若者が政治に関わるきっかけを作っています。

北川さんからは、まず選挙の仕組み、これからの政治の流れについて話していただきました。

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帽子とネクタイが素敵な北川さん。

政治を考えるっていうと、議員さんが国会で話しているような姿を想像することが多いかと思います。

選挙と言われても、国政のような大きなものばかり目を向けがちですよね。でも、国政の代表である内閣総理大臣は、国会議員の投票によって決まります。国会議員は地域の住民の代表であり、皆の意見をまとめて1人が投票するという、間接的な選挙の方法で選ばれます。衆議院選などの国政選挙は「党を選ぶ制度」であって、私たち自身が直接議員を選ぶことはできないのです。

これに対して、知事選挙などは地域の住民が直接候補者に投票します。つまり、自分たちの意見をダイレクトに反応させることができるということ。

地方の選挙は国政に比べて注目されることも少ないし、投票率も低い。でも、自分が住んでいるまちへの意見を言いたいというときには、地方選挙の方が言いやすい仕組みになっているんです。県知事は自分が直接トップを選べる機会なので、もっとみんな積極的に選んでほしいですね。

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北川さんも参加している「せんきょCAMP」http://senkyocamp.org/

議員と地方自治体の首長(知事や市長ですね)が、それぞれ何票あれば当選できるのかご存知でしょうか?

例えば渋谷区では、有権者数が約7万8000人いて、一番得票数が少ない議員さんは約1100票で当選するそうです。松戸市の場合は、直近の市議選では約19万人の有権者がいて、一番得票数が少ない議員さんは1700票くらいで当選しました。ちなみに現在の松戸市長が集めた票は、55000票でした。

実際に当選する数字を見てみて、正直な感想は「思っていたより少ない」という反応。もちろん場所によって当選するために必要な得票数が異なるのですが、これも「1票の格差」といって色々なところで話題になっています。将来的には選挙のシステムそのものも、現代に合った形を考えていかなければならない状況にあります。

じゃあとにかく皆投票に行ってもらって、投票率をあげればいいのかというと、そんなことはありませんよね。やっぱり「この人にまちを盛り上げてもらいたい!」と思えるような人に当選してもらいたい。

ネットによって簡単に情報が得られるようになったとはいえ、未だに情報収集が難しいという現実もあります。ただ投票率を上げるだけではなく、投票候補者がこれまでしてきたこと、どのようなことをしようとしているのかということまで投票者がきちっと理解してから投票する率=行使率を上げることが重要です。

北川さんが行っているせんきょCAMPでは、ただ若者の投票率を上げるだけではなく、この行使率もあがるようにし、今後の選挙の関わり方に対する意識向上を目指して活動しています。最近は「一票の格差」による違憲判決などが全国で出るなど、政治だけでなく、選挙制度も動きが出始めています。今後の動きに要注目ですね。

政治家は「つなげてくれる人」

次に(株)まちづクリエイティブ代表寺井元一さんが登場。まちづクリエイティブは、アーティストやクリエイターの地方移転を軸に、新しいまちづくり・商店街活性に挑む社会企業で、現在松戸駅西口エリアを中心にに地域活性プロジェクト「MAD City」を行っています。

今はまちづくり会社を運営されている寺井さんですが、もともと政治に興味を持ち勉強されていました。学生時代は政治家の事務所に出入りし、学生秘書などもやられていたそう。

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昔とった杵柄で、政治の現場に関わった経験を持つ寺井さん!学生時代は政治関係のつながりがとても多くあったそう。

寺井さんが「実際に政治家に『こういうことがしたい』とお願いしたことがある人はいますか?」と会場に聞いてみると、ない方がほとんど。確かに、普段政治家と関わる機会なんてほとんどない…。政治家っていったいどんなことを仕事としてやっているのか、イメージがつかない人も多いですよね。

寺井さん自身の政治家像は、「いつでも電話している」というイメージだそう。

例えば道路を使ってイベントをやりたい!という話が出てきたとします。でも、まず使いたい道路が県道なのか市道なのか私有地なのかによって管理を担当しているところが違いますし、そもそも手続きをどう進めればいいのかもわかりませんよね。つまり、普通に暮らしていると、何かをしたいというときにどこに頼めばいいのか分からない場合が多いのです。

そこで政治家が登場します。政治家は様々な方面につながりを持ち、そうした手続きの流れがわかっているので、色々な人と連絡を取ってくれます。つまり、政治家は「つなげてくれる人」。

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「MAD City」が路上で行った「高砂通り酔いどれ祭り」

それから、法律などのルールも、たくさんあるし、どう読んでいいのかわからない、そもそも何が書いてあるのかわからないということもありますよね。市役所に行っても、相手にされなかったという気持ちになる人も多いはず。

そういうときにも政治家が登場します。政治家に相談に乗ってもらい、アドバイスしてもらうことによって、行政関係の必要な部署や担当者を紹介してもらうなど、スムーズに話を聞いてもらえることが期待できたりするのだとか。

国会などを見ていると、政治家は法律を変えている人というイメージをなんとなく抱いてしまいますよね。でも割合的には、法律そのものを変えるより、法律に書いてある事の「解釈」の仕方を変えていることのほうが多いのだそう。

法律は、時代が移り変わって新しい技術や状況が生まれても、趣旨が変わらず機能するように、ある程度の抽象性をもたせて書かれることがほとんどです。すなわち、場合によってはあいまいだったりわかりづらいこともあったりするということ。

法律に書かれている言葉が何を意味するのか議論して、役所側の新たな解釈を引き出すことが政治家の大きな役目であり、それを政治家さんと一緒に作っていくことで得られるのが私たち住民の「利権」になります。今までダメだったのものが可能になったり、その逆があったりするわけです。

だから理屈としては、たくさん当選している人は「この人の言っていることはいいな」と思えるようなことをたくさんしている人、多くの人に利権を提供している政治家、ということになります。

法律という基本的なルールがあり、それを場面に応じて様々に解釈することによって、社会の色々なことが決まっているんですね。そして、政治家はその決め事を変える手助けをしてくれる役割を果たしているということ。「利権」というと裏口入学や談合といった負の固定観念がありますが、必要な利権を生み出して市民に提供していくことは大切なことに違いありません。

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真剣に話に聞き入る皆さん。今回のgdはちょっと大人なムードです。

北川さんによる選挙の仕組みについて、寺井さんによる利権についてのトークのあとは、実際に自分たちで利権について考えてみます。

自分たちで利権について考えるなんてなんだか難しそう・・と思いますよね。そんなことはないんです!gdらしく、飲みながら自分たちのペースで考えていきましょう。

簡単に政治を考えることができちゃった!

北川さんのファシリテートのもと、ワークショップスタートです。

まずはそれぞれ自分自身が日頃気になっているニュースやキーワードをポストイットに書き出していきます。

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書き出し終わったらグルーピング。「社会保障」や「地域通貨」など、色々なキーワードがあげられました。

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今度はそれぞれ挙げられたキーワードの中で特に気になったもの、皆と話してみたいなと思ったものにそれぞれチームで分かれます。今回は2つのチームに分かれてグループディスカッション開始!

「社会保障」をキーワードにしたチームは北川さん、「原発」をキーワードにしたチームは殿塚によるファシリテートのもと話し合いが進みます。

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チーム社会保障。学費から年金まで、 様々なテーマに話が広がります。

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チーム原発。それぞれ原発に対して抱いている思いや、エネルギー政策にまで話を広げて盛り上がります。

それぞれのチームでディスカッションは大盛り上がり!終了予定時間を超えて熱い議論が続きます。

それぞれのチームで出た意見を全体にシェアします。

まずチーム原発から。電気がそもそもどういうルートで出来ているのか、自分たちがどう使っているのか知らないという現実を改めて実感し、知ろうというきっかけになったと言います。多くの人々が電気を使わない生活を東日本大震災ののときに経験しているので、これからはより多くの人がエネルギーについて考えていくことが出来るのではないかということでした。

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チーム原発の皆さん。日々自分の中で感じていた思いを、誰かとシェア出来たことが一番よかったと語ってくれました。

次にチーム社会保障。

社会保障チームは社会保障の中で、特別養護老人ホームの運営方法、年金、生活保護という3つのテーマに分けて話し合いました。

どのテーマも数多くの問題を抱え、さらにそれらの問題は複雑に絡み合っています。しかし、対処療法的に、直接その問題を解決できるような手段を考えるだけでなく、そもそもその根本にある理由、問題に対する切り口を変えてみることによって、問題解消につながる可能性が広がります。

例えば特別養護老人ホームの話では、実際に施設を作る段階では、医療、介護系の様々な利権構造、天下りなど問題が数多くなってしまっていて、直接解決していくことは難しい。それなら、施設の前段階、家庭での介護への援助を厚くすることで、問題解消につなげることが出来るのでは?という意見が出ました。

今回のように、複雑で難しい問題であっても、様々な立場の人が集まって話すことによって、新たな解決策が見つかるもしれませんね。

最後に、今回のゲスト、北川さんからは、

普段溜まってた思いを話してもらうことができる場になったと思うけど、まだこの場でしか共有できていないのではないでしょうか。今後、今日みたいなワークショップや政治に関する意見を気軽に行える場が増えればいいと思います。

というコメントをいただきました。

また、オーガナイザー殿塚は、

今回行ったワークショップは政治家の人が政策についてやっているのと同じ手法です。やってみてもらって分かったと思うけれど、問題点を考えて、実際に解決策を編み出すのは難しいこと。今日考えた事は今度投票してもらう時に指標の一つになればいいと思います。

と語ってくれました。

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ぜひ選挙や利権をテーマに取り上げてみたかったというオーガナイザー殿塚。参加者ともいつも以上に熱く語っていました!

知事選挙とエコをキーワードにした飲み会、という異色のコラボレーションだった今回のgd松戸。しかし今回はいつも以上の盛り上がりを見せ、終了予定時間を過ぎても会場内では熱いトークが繰り広げられていたのが印象的でした。

選挙や政治って、本当は自分たちの生活に直結しているもの。でもなんとなく敷居が高くなってしまったり、人と話すことがタブーのように感じてしまったり。興味があってもなかなか自分からアクションを起こすことって難しいですよね。

でも、こうして気軽に人と自分の思いをシェアすることによって、自分たちが持つ日常生活をよくするための権利をもっともっと生かすことができるのではないでしょうか。それがまさに利権であって、今回のgdは、自分たちの生活のシステムも自分たちでちゃんと自給できるんだ!ということを感じることができる場になったと思います。

日常生活の中で、まずは家族や友だちなど、身近な人と自分の思いをシェアすることによって「自分たちの生活を自給するための第一歩」を踏み出す人が増えたらいいなと感じる会になりました。

(Text:原田恵)

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原田恵/埼玉生まれ埼玉育ち。筋金入りのさいたまっ子。
小さい頃から家にあった住宅雑誌を愛読し、建築を志すも数字アレルギーのため断念。より自然に近いことをやりたいと大学で造園について学ぶ中で、人との出会いの楽しさに気付く。現在は大学院で、人が主役になれる都市計画やデザイン、まちづくりについて学んでいます。

gd松戸サポーター/TX柏たなか駅高架下にて毎週土曜コミュニティカフェ「たなかふぇ」運営中
Twitter: @mkuman