読者のみなさんにお願いです。greenz.jpを寄付でサポートいただけませんか?

greenz people ロゴ

今必要なのは「企業の誠実さ」 KAI presents アースラジオ・トーク in 岐阜 ー 遠藤宏治(貝印株式会社)×伊勢谷友介×谷崎テトラ

「明宝、飛騨高山」特集から、美しい紅葉

「明宝、飛騨高山」特集から、美しい紅葉

KAI presents「アースラジオ」は世界的な刃物メーカー「貝印」がスポンサーをつとめるネット番組。サステナブルな社会を応援するメディアとして、日本の地域のキーパーソンや知恵や取り組みを取材して毎週伝えています。パーソナリティはリバースプロジェクト代表で俳優の伊勢谷友介。そして取材・構成を私、谷崎テトラが担当しています。

貝印は岐阜県関市に拠点をおく、百年の歴史を持つ企業。「百年続いてきた企業が、百年先の未来に残したい」。そんな自然とひとの知恵をCSR事業の一つとして発信してきました。これまで番組ではオーストラリアのパーマカルチャー北欧の自然エネルギーの取り組みなど世界の先進事例、そして「岡山・棚田の再生」や「屋久島のエコツーリズム」「栃木・那須の小水力発電」など日本の地域での持続可能な社会キーパーソン、現場での取り組みを取り上げてきました。
 
10月22日、岐阜県関市に本社を置く貝印本社にてトークイベント「アースラジオ・トーク in 岐阜」がおこなわれました。番組で取材した事例をもとに人類が地球で生き残るための知恵、そしてそのために企業が社会で果たすべき役割について、貝印の遠藤宏治社長と伊勢谷友介氏と三人で語りました。そのトークの一部をご紹介します。

s_earth3

百年先の未来を考える

伊勢谷 いま地球上にいる70億の人が日本人と同じ生活をすると地球が2個半必要なんです。一人が使っていい限度を超えているわけです。まずそこから脱却しなければならないと思います。今のライフスタイルを続けることは未来の子供たちから未来を奪っていることになるんです。これからの地球のために企業の役割はどのようなことが考えられますか?

遠藤 コーポレートシチズンシップ、企業も地球市民の一人だという考え方があります。社員一人ひとりが環境のために地球のために皆のためにできることはなんなのかということをこういう機会を通じて考えていきたいと思います。
 
私の場合は、人間が誠実に生きることも大切なように会社が誠実に生きる。誠実であればそれがCSRにつながると思うんです。integrity(インテグリティ)=企業の姿勢とでもいいましょうか。会社が社会に対して誠実であることを真ん中において考えると、それの派生としてCSRがでてくると思うんです。

地球環境も経済も危機的な状況

s_earth1

伊勢谷 宇宙から見たら人間は地球のがん細胞のように増殖して他の生物をつぶそうとしているようにに見えるかもしれない。僕たちの世代は地球の外から、宇宙人の視点から地球を見ている世代でもあるんです。社会も変化をしていく必要がある。人類の種として進化していく必要があるかもしれませんね。

遠藤 「窮して変じ、変じて通ず」(窮而変変而通)という言葉があります。窮したとき、困ったときに、変化が起きる。変化が起きる。そうすると通じる。困った困ったと言っているのでなく、変らなければ、通じない。

伊勢谷 経営にも意識の深度というものがありますよね。一番目は「お金を稼ぐために何かをやろう」、二番目は「みんなが喜ぶために事業をやろう。それで食べてもらおう」。三番目は「人類のため、地球全体のバランスのために何かやろう。」会社がやっている所業そのものが社会や環境にあたえるエフェクト、そこも考える。この3つのタイプがあると思います。今おっしゃっていたのは最後の部分ですね。

地球の中でしか人間は生きられないのですから 、地球環境の事を無視して人間だけ幸せになることはありえないと思います。これからの企業の在り方はそこが大切になるのではないでしょうか。

遠藤 昔の言葉ですが「お天道様が見てる」っていいますよね。違う自分が見てどうなのか、第三者が見てどうなのか、我々は誠実なことをやっているかどうか、たえず自問自答することが大切なんだと思います。

元気玉で地域にクラウドファンディング

earthradio3
長野県安曇野のシードバンク。在来種の種を保存するシードバンク創設を元気玉でサポートした。

アースラジオではリバースプロジェクトが展開するクラウドファンディングプラットホーム「元気玉プロジェクト」と連携して、リスナーと一緒に小額の支援で地域を支えるプロジェクトを応援しています。

番組やWEBサイトを通じて地域や社会への支援、アートや文化を応援するプロジェクトに支援者を募り、アイデアを実現させるプラットホーム。よりよい未来のために「個人としてできること」「団体としてできること」をサポートする仕組みです。

thumb4-1
安曇野シャンティクテイの臼井健二さん。種の危機について語る。

安曇野で取材した臼井健二さんは日本の伝統的な野菜の種が失われつつあることをお話くださいました。「種のことを調べれば調べるほど伝統的な在来種 固定種を自家採取するしかない。 そしてどうしていったらいいかを考えたときにシードバンク(センター)を安曇野でも作らないといけないと思うようになった」。番組でそれを伝えたところリスナーからの元気玉で在来種の種を保存するシードバンク創設の資金100,000円が集まりました。

集まったお金はシードバンク建設資金一部補助、パンフレット作成、シードバンク(センター)運営資金に充てられています。

earthradio4
岡山県上山の耕作放棄された棚田を復興させるためのエコツーリズムの拠点を支援。

また岡山県美作市上山ではエコツーリズムの拠点づくりの資金を元気玉でサポートしました。かつては8300枚の棚田があった場所が、減反政策や高齢化による担い手不足によって耕作放棄地が目立つようになり、地元の方々も半ばあきらめて田畑が荒れていくままになっていたそうです。番組で棚田再生に情熱を注ぐ上山集楽の取り組みを伝えたところ、耕作放棄された棚田を復興させるための拠点となるシェアハウスの資金612,500円が集まりました。

貝印は元気玉を通じて東日本大震災の被災地支援にも積極的に取り組んでいます。2011年3月、飯舘村の幼稚園生、小学生たちは、東日本大震災を受けて、卒業を迎えることができませんでした。そんな子供たちに卒業式を実現させようという元気玉。震災から9か月、飯舘村教育委員会主催の合同卒園・卒業式が時折降る雪の中、飯舘村の隣町、川俣町の中央公民館で行うことができました。

また元気玉では震災時に必要となる「被災者の雇用」「被災者の避難」「食糧」「エネルギー」の全ての解決を試みた施設「TOHOKU ROKU PROJECT」(正式名称:環境・福祉・防災による復興プロジェクト・6次産業化モデルファーム)の支援もおこなっています。

ベジタブルガーデンと共に「蕎麦屋」や「パン工房」 などの食をテーマとした施設を設け、自分で火をおこし、目の前の畑の食材で食事をつくり、生きる力を呼びさまし、震災に負けない知恵を学び、『復興の未来』について語り合える場として、市民が気軽に集えるコミュニティの場を目指します。

伊勢谷 100年後の未来にむけて文化や自然、ひとの暮らしを応援したい。番組とリスナーと企業を結んで貝印とリバースプロジェクトが恊働するプロジェクトが「元気玉」です。小さなアイディアの積み重ねから、よりよい未来のために「個人としてできること」「団体としてできること」を考えていくこのプロジェクトは、誰でも支援が可能です。貝印さんにも東北の復興支援の様々なプロジェクトを応援していただきました。

genki_2

遠藤 微力ながら協力させていただいています。私が企業経営で一番大切に思っているのは「みんなが幸せであること、みんなが喜ぶ姿」というものを求めるということですね。生き生きと働けることをするにはどうしたらいいのか、その結果としていい製品ができて、企業が存続でき、良い社会ができたらいい。

伊勢谷 ひとはお金がなくても土地と知恵があれば生きていけるものじゃないですか。大事にしなければいけない中心はお金じゃない。お金は道具であることを理解し、それを「誠実」に生かしていくことが大切ですね。地球にも人類にも家族にも「誠実」であれば企業も生かされる。「誠実さ」は「信頼」につながり「生かされる理由」になるのではないでしょうか。

対談ここまで

s_earth2

対談を終えて

企業のCSR事業が地域や社会にさらに期待される時代です。昔から日本の商人は「売り手良し、買い手良し、世間良し」の三方良しと言われてきました。CSRという言葉が生まれる以前から日本の商売はそれが基本でした。誠実に商いをおこなうということは「環境」に配慮し、「地域」と「ひと」を守り育むこと。

ピーター・ドラッガーは企業マネジメントで最も大切なことはIntegrityであると述べています。日本語に翻訳すると「真摯さ」という言葉になるのですが、それは遠藤社長が語る「企業の誠実さ」という言葉そのものかもしれません。企業に対する社会課題解決の期待が高まるなか、貝印が提供するアースラジオはの社会問題解決と競争力強化を両立するCSV(Creating Shared Value=共有価値の創出)の好事例としてとらえることができます。

単に企業がメディアの広告枠を買って番組協賛をするということに留まらず、地域のNPOの情報を伝えたり、さらにソーシャルメディアの特性を生かして若者を中心とした倫理観や社会意識が向上したリスナーに社会参加の機会をあたえ、共に価値を創造する取り組み。貝印と伊勢谷友介のリバースプロジェクト、そしてアースラジオに今後もぜひ期待していただけたらと思います。

アースラジオは毎週更新しているウェブで試聴できます。百年続いてきた企業が、百年先の未来に残したいもの。自然とひとの知恵。私自身も企画・構成に関わっているわけですが、これからも番組を通じてそんなメッセージを伝えていけたらと思います。ぜひgreenz.jpの読者の皆さんともさらなるコラボレーションを考えていきたいと思います。

photo by Suzu(fresco)

貝印株式会社のプロジェクトについて調べてみよう。