greenz.jpの連載「暮らしの変人」をともにつくりませんか→

greenz people ロゴ

なんでもありの街はペイ・フォワードに満ちた暮らし。伝説の砂漠フェス「バーニングマン」に参加してきました!(2)

DSC06714

前回に引き続き、世界最大の奇祭「バーニングマン」の初参加レポートをお届けします!(前回の記事はこちら

私が一番興味深かったのが、バーニングマンで作られる仮想の街ブラックロック・シティの「コミュニティ」。今回はこの街の住人たちと、彼らの暮らしについて詳しく説明していきたいと思います。

お金のやりとりがないコミュニティ

電気、水道、ガスなどが一切無いブラックロック・シティでは、参加者それぞれが持ち寄ったテントやキャンピングカーを思い思いに装飾し、自分たちで施設をDIYしていきます。

レストラン、バー、ラーメン屋、郵便局、結婚式場、新聞社、空港まで、なんでもあり!ジョークで銀行もありますが、前回の記事でも紹介したようにこの街ではお金が使えないので、本物の銀行ではありません。またお金のやりとりがないので、お店の人たちはもちろん全てボランティア。一人ひとりが自分の好きなことで街と関わり、役割りを果たしているのです。

特に好きだったのは「Recycle Camp」。自転車を漕ぐと空き缶が潰れる仕組みになっており、潰れた空き缶はさらにプレスしてコインにしてくれるのです。ゴミ処理にまで遊び心を取り入れるブラックロック・シティのスピリットにひたすら感動しました!

DSC07022

DSC07027

そしてこちらは、朝日を見た帰りにたまたま発見したファーマーズマーケット!冷蔵庫のない砂漠では新鮮な野菜は貴重品です。オーガニック野菜とフルーツのスムージーのおかげで、その日一日幸せでした。

DSC07352

大きなポストの形をした郵便局。ブラックロック・シティ内はもちろん、自分の家にも送れます!世界でここでしか押せない「ブラックロック・シティ」の消印を押してくれるので、記念に出す人が多いのだとか。

DSC07821

夜になると賑わうバーでは、砂漠とは思えない本格的なカクテルが楽しめちゃいます。ただし、その時はコップと身分証明書をお忘れなく。特にアジア人は若く見られがちなので、必ず持って行きましょう。悲しい思いをします。

DSC07764

そしてもちろん、バーニングマンらしいファンキーなお店もあります。
こちらは、おしりを叩いてくれる「Spank of America」!
DSC07373

お尻を叩くと、記念にシールが貰えます。
他にも、お尻に電流を流してくれる(?)お店もありました。

DSC07381

トランポリンを使ったハイタッチスペースも。

DSC07371

とにかく遊び心たっぷりで、なんでもあり!何を表現してもOK!
そのメチャクチャさが、世界でここだけにしかない特別な街を作るのです。

キャンプで暮らす個性的な住人たち

人々が暮らすキャンプサイトには、アートパフォーマーたちが集まる「キャンプ」がいくつも形成されています。私たちが迷い込んだ(?)のは、ヒョウのアートカーを走らせるキャンプ「レオパード・マティーニ」。コミュニティの中心にはマティーニを振舞う大きなバーがあり、夜になるとそこで大きなパーティーが開かれます。

DSC06874

ではここで、個性的なキャンプの住人を紹介していきたいと思います。

まず、アルマジロ。
DSC07411

彼女はバーニングマンウエディングのオーガナイザー。7年前から、バーニングマン内での結婚式の場所の調整や、本部とのやり取りなどをサポートするボランティアを行っています。

バーニングマンで行われる結婚式は主に2種類で、1つ目は本物の結婚式。バーニングマンで出会って結婚するカップルに多いそうです。2つ目は、バーニングマンの中だけで成立するイリーガル・結婚式。キャンプには、結婚式を挙げたいという何組ものカップルが彼女を訪れていました。

テンプルで結婚式を挙げたカップル。

テンプルで結婚式を挙げたカップル。

彼女いわく、バーニングマン内で結婚式を挙げたいというカップルは年々増えているそうですよ。素敵ですよね!

ウェディングケーキの、アートカー!

ウェディングケーキの、アートカー!

そして、2人目はレオ。バーニングマン歴10年以上の彼が、右も左も分からない私たちをこのキャンプに招いてくれた恩人です。

DSC07771

彼がよく言っていたのが「シェアすることの大切さ」。キャンプメンバーとのコミュニケーションを手伝ってくれたり、アウトドアグッズを貸してくれたり、おすすめの店を教えてくれたりと、私たちにバーニングマンの「give & give & give精神」をたくさん体験させてくれました。

住民たちは誰にでも「ウェルカム!」で、どこにいっても両手を広げて迎えてくれます。でも、初心者だった私はgiveしてもらってばかり。「どうやってお返ししたらいいのか分からない」と伝えると「いいんだよ、そのかわり自分ができることを誰かにしてあげてね。ペイ・フォワードだよ」と笑顔で返されました。この親切心の連鎖がバーニングマンの魅力の一つなんじゃないでしょうか。

バーニングマンというとアート、レイブパーティーをイメージする人が多いけど、本当はコミュニティが一番大事なんだ。この砂漠で人と人がつながり合って、全く新しい暮らしを共に創り上げること。でも最近は参加人数も多くなったし、バーニングマンは変わってきているよ。

とレオは言います。

ブラックロック・シティは参加する市民によって作られる街。だからこそ、人々の変化がダイレクトに影響してきます。この街が大きくなった時、26年前にこのイベントを作った人たちがどうやって「彼らの伝えたいバーニングマン」を続けていくのか、とても気になりました。消費社会のあり方が問われている今だからこそ、こういった実験的なコミュニティがどう成長していくのかが楽しみです。

バーニングマンに参加してみて

DSC06737

私にとってのバーニングマンは「カオス」でした。とてつもなく刺激的で、ありとあらゆることが同時に起こりすぎて、何が何だか分からない。今までの当たり前が当たり前じゃなくなったとき、自分のことや暮らしのこと、一つひとつの物事と改めて向き合うような気持ちになりました。戸惑うこともありましたし、「超楽しかった!」の一言だけでは言い表せないイベントでした。

それでも、表現することの素晴らしさ、何かをシェアする幸せ、自分の好きなことで街を作る楽しさ、過酷な環境だからこそ感じる人と繋がることの喜び、限られた資源で生活をすることなど、ここでなければ感じられなかった学びが沢山あったような気がします。
 
ただ、これはあくまでも私が感じたバーニングマン。世界のありとあらゆるものが凝縮されたこの空間では、何を感じるかは完全に自分次第。だから、私が伝えたバーニングマンもこのイベントのほんのちょっとの部分でしかないと思います。みなさんには、ぜひ自分の足で会場へ行き、世界のどこにもない自分だけのバーニングマンを体感してほしいと思います!

バーニングマンにインスパイアされたイベント「Burning Japan」が、日本でも開催されることが決定したとか。10月20日−21日の2日間、場所は山梨県です。興味がある方は、ぜひ参加してみてくださいね!

前編ではバーニングマンならではのルールとアート作品、パーティをご紹介