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世界中に起業家精神を根付かせ社会に大きなインパクトを与えるためのプログラム「Unreasonable Institute」[SOCAP2012]

Banks

このレポートはサンフランシスコで開催されている「SOCAP」に参加している特派員の協力のもと、掲載されています。

こんにちは、特派員@ryu1023です。前回の記事ではメキシコの起業家Kythziaさんをご紹介しましたが、起業は”孤独な旅”のようなもの。1人で歩みを進めるのはとても困難です。起業家が社会に大きなインパクトを与えられるよう、ファイナンス、ビジネスプラン、ネットワークなど、様々な観点から支援する人たちもSOCAPに参加しています。

社会を変えていくために、起業家のアクションはとても重要な要素。今回は、世界中の起業家の育成に成果を上げている「Unreasonable Institute」をご紹介したいと思います。

世界で最も無茶な6週間

unreasonable

Unreasonable Instituteは2010年から毎年約20団体のベンチャーに対してプログラムを提供し、3年間で23億円の資金調達に成功しています。これだけの成果を出す起業家育成プログラムとはどんなものなのでしょうか?Unreasonable Instituteとパートナーシップを組んでいる、Banks Benitezさんにインタビューしました。

関係性の力を大切にする

Ryu Unreasonable Instituteがここまで起業家の育成に成功しているのは、なぜなのでしょうか?

Banks ぼくたちの根幹にあるのは、”関係性の力”を大事にすることなんだ。いくら起業家が素晴らしいアイデアを5分間で投資家にピッチしたところで、投資家と起業家の間に5分間でよい関係が築けると思うかい?君がだれかにお金を出す時にもっとも大事なのは、その人がどんな人柄で、どんな性格で、信頼できる人で、一緒にいて楽しいか。それを知ることだよね。

30分のミーテイングや、大きなカンファレンスで6時間一緒に過ごしただけでは、互いに関係を築くためには足りないよね。そこで、ぼくたちはコロラドで1つ屋根の下で6週間、起業家と投資家を含むメンターが一緒に生活し、アイデアだけでなく、投資家と起業家が人間としての関係性を構築できるようなプログラムを提供することにしたんだ。
 
このプログラムは人として大きく成長できる機会にもなっている。生活をする中で、生活態度から人間性まですべてを共有することになる。特に形式的な講義や授業などは用意しておらず、すべてインフォーマルな学習に任せている。最高のメンターと共に暮らすことで、1日や2日の講義では覚えられないし、身につかないことでも、6週間の実践により人生を通して役に立つスキルを体得できるようになるんだ。

workshop

プログラム構築の前に、人間関係の構築

Ryu 投資家、企業メンターなど多くの方が参加なさっていますが、どのように作られたのでしょうか?

Banks 僕はプログラムの立ち上げに関わったわけではないけど、ファウンダーたちから聞いた話を教えてあげるよ。彼らはまず2010年のSOCAPに参加して、何も持たず、誰ひとり参加者を知らない中で、声をかけはじめた。

「はじめまして!ぼくたちは最高の起業家育成プログラムを創りたいんだ。そこで、誰かいい人を紹介してもらえませんか?」と説明すると、相手からは、「おお!それは素晴らしいね。そしたら、テーブルの向こうにいる、あの人と話してごらんよ!」と、いろんな人を紹介してもらっていった。SOCAPの参加者はご存知の通り有名な財団、投資家、大企業の役員、起業家など、面白い人たちばかりだったのでとても楽しかった、と彼らは言っていたよ。

networking

僕たちは最初にプログラムをつくろうとはしなかった。まず、関係からつくりはじめようと決めていたんだ。繋がった人の中で、「この人にあの人を紹介したら、喜ばれるかも」とアイデアが浮かんできて、人と人を繋げるコネクターの役割を担えるようになった。繋がった人から「だれか紹介してよ」と言われるような関係になったんだ。

人との関係性を構築したことで、プログラムを作るのに必要な人たちに協力を依頼して参加してもらうことができたんだ。

善意からメンターになる人々

Ryu どんな人にメンターを依頼しているのですか?

Banks GoogleXというプロジェクトを運営する人や、WholeFoodのCEOなど、大企業で大きな成果を上げている人から、きっと名前も知らないような人だけど、多く人材研修を実施した実績を持つ方々もいる。メンターを選ぶ軸は、人を育てた実績があり、起業家に最も価値を提供できる人たち。

Ryu メンターには投資家、大企業の役員など様々な方がいらっしゃいますが、参加料などを支払っているのでしょうか?

Banks まったく払ってもらってないね。移動費の実費だけ支払ってもらって、滞在中はコックが食事は提供するものの、その他一切無償で参加してもらってる。なぜ来てくれるのか、彼らのモチベーションが何かはよく分からない。一人ひとり違うとは思うけれど、メンターは寛容な精神の持ち主で、人に奉仕したいと強く思っている人ばかり。僕らは彼らの善意に任せて参加を依頼しているんだ。

メンターの人々

メンターの人々

Ryu 今後は世界でも展開していきたいとお考えだと伺いました。

Banks そうだね。Unreasonable Instituteの文化を世界中に広めて、起業家精神を根付かせ社会に大きなインパクトを与えたいね。まだ日本からの参加者がいないから、日本人の応募を心待ちにしているよ。

(インタビュー終わり)

Unreasonable Instituteに関係した人たちと話をするたびに、どの人も正直で謙虚な姿勢を持った素敵な人であることにとても驚きました。Banksさんが言うように”関係性の力”を大事にするUnreasonable Instituteの文化が、一人ひとりの心に根付いていることがよくわかりました。

日本からUnreasonable Instituteへ参加する人が現れ、その文化を日本に持ち帰ってくることをとても楽しみにしています。

(reported by greenz.jp特派員 @ryu1023)

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