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お肉を食べるってなんだろう?green drinks 松戸「ぴゅあなソーセージをつくろう」[イベントレポート]

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こんなにきれいなソーセージ、あなたは見たことありますか?

自給自足できる街をテーマに2011年5月から毎月1回開催されているgreen drinks 松戸。2012年は「○○をつくろう!」をテーマに掲げ、少しでも自給力を高めることを目指していきます。

野菜、お米、ハーブと様々なモノづくりに取り組んできたgd松戸、今回のテーマは、お肉!

野菜やお米に比べて、飼育されてから食卓に並ぶまでのプロセスがあまり知られていないお肉。そんな普段なにげなく食べているお肉料理をもう少しちゃんと考えてみたい!という思いから、Vol.13は「ぴゅあなソーセージをつくろう〜お肉を食べるってなんだろうビールパーティ〜」と題し、7月28日(土)に開催しました。

ただお肉について知るだけでなく、実際に自分でオリジナルソーセージを作って食べるという、スペシャルパーティーです!今回の会場はgd松戸を協力運営しているスローコーヒー八柱店。広いバルコニーにBBQセットもスタンバイされ、ビールパーティーの準備が整いました!

みんな大好きお肉。その裏側に隠されているストーリー

今回お肉についてのお話と、ソーセージ作りの指導をしてくださったゲストは株式会社湘南ぴゅあの平井三郎さん。平井さんは養豚業を営む家庭に育ち、14歳からハム・ソーセージの修行を始め、22歳で単身ドイツに渡り、無添加にこだわる本場のハムやソーセージづくりを行ってきた、まさにお肉のプロ。現在はおじいさんが始めた湘南ぴゅあで営業や店舗運営を行っています。

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今回のゲスト、平井三郎さん。フジロックをおして来てくださいました!(笑)

まずは私たちが食べるおいしいお肉となってくれる、豚について知ることからスタート。

日本の養豚の歴史はまだ浅く、明治時期に関東近辺では中ヨークシャー種、九州地方ではバークシャー種(黒豚)が育てられていました。養豚はもともと農家が農業の傍ら始めたもの。以前は農家をしながら豚を飼うことが当たり前でした。農家は豚を軒先で残飯や余った野菜などを豚を通して土に還すことで、無駄を出さない循環型の農業を営むことができました。

戦後、高度成長と同時に豚もより効率的に早く育つ大型の豚「三元豚」が流行り、特に関東では、中ヨークシャー種が廃れてしまいました。今では、温度管理をされた豚舎で効率のみ重視される豚の大量生産が主流になっています。

このような生産方式は、汚水からの土壌への窒素汚染や臭い、騒音などの畜産公害が生まれてしまいます。都市近郊で、土壌汚染や臭い、騒音を出さない、豚と共に暮らす地域を提案することが「自然との共生」であり、これからの湘南ぴゅあがめざす畜産なのです。 湘南ぴゅあは、昔から神奈川にいた中ヨークシャー種を交配させた豚を育てています。

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豚肉といっても、その種類は様々。湘南ぴゅあではおいしさを第一に考えられた豚が育てられています。(写真:湘南ぴゅあ)

おいしい豚肉を作るために、湘南ぴゅあの農場では細かな配慮が随所にされています。環境にも配慮して、有用微生物を使い、汚水、臭いの出さない豚舎で豚たちは飼育されます。非遺伝子組み換えのトウモロコシを中心に、大麦等をバランスよく配合した餌を用いたり、1頭1頭丁寧に子豚の世話を行ったり、交尾を手伝ったりなど。こうして丁寧丁寧に育てられることによって、おいしくて安全な豚肉が出来るのです。

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平井さんのお話に聞き入る参加者の皆さん

皆さんは自分たちが豚のどの部分を主に食べているのか、知っていますか?日本人はロースやフィレ肉など、脂がのったやわらかい部位をとてもよく食べます。そのため、日本では豚肉の半分を占めているもも肉などがとても余ってしまいます。余った部分は冷凍保存されますが、せっかく育てても少ない部位しか売れないことから養豚をやめてしまう農家さんも多いそうです。

普段あまり食べられていない部位も、もちろんとてもおいしく食べられる部分。まるごと1頭おいしく豚を食べることをより普及させるため、湘南ぴゅあでは食育活動も積極的に行っています。

豚についての知識が深まったら、さっそくソーセージを作ってみましょう!

僕にもソーセージができちゃった!

湘南ぴゅあの「ぴゅあなソーセージ」はおそらく世界で唯一?化学合成添加物を一切使用せず作られているすごいソーセージ。今回はこのソーセージを参加者一人一人が手作りしました!

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ソーセージ作りに使用した材料と道具たち。奥に見える白い物体は、なんと豚の腸!

まずは平井さんによるお手本をみんなで見学。麻に似た素材の三角形の袋の中に、お肉を入れます。さらに袋の先に長い豚の腸を取り付け、その中にお肉を絞り出していきます。

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この茶色い袋に肉を詰めて、その先に腸を取り付けて絞り出します。

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絞り切った状態。まっすぐきれいなソーセージの形に!

絞り切れたら、お肉を半分、さらに半分にねじり、重ねてもう一度ねじって完成!最後はまるで風船のプードルを作るようです。

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完成!平井さんはここまで所要時間約2分。さすがお肉のプロ!

平井さんのプロの技に感動した後は、いよいよ自分でソーセージ作り!参加者を3つのグループに分け、グループごとに平井さんの指導を受けながら作ります。腸が薄く、ぬるぬるとすべるため、腸を取り付けることから一苦労…。さらに絞りだすのに意外に力が必要だったり、なかなかまっすぐ絞り出てくれなかったりと、意外に苦戦!

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平井さんの速さはさすがに10年以上続けてきたプロの技であったことを実感・・

なんとか完成!出来たらスローコーヒーの広いテラスでバーベキューです!焼いてみるとお肉にのった油が飛び散ってすごいことに・・これもおいしい豚肉である証拠!

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炎が燃え上がります!焼いているのはスローコーヒー店主の小澤さん、なんだかちょっとうれしそう。

焼きあがったらソーセージとビールで乾杯です!今回はスローコーヒーおすすめの桃の酵素ジュースなどもありました。

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ちょっと焦げ気味になりましたが、おいしく焼きあがりました!ビールで乾杯!!

自分で作ったソーセージの味は・・。肉の味がとても感じられて、なんだかハンバーグを食べているみたい!油がはじけるジューシーさとも違う、まさに「お肉を食べている」という感覚。

お肉という命の形を頂くこと。

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おいしいソーセージを食べて話も弾みます。みなさん真剣に平井さんのお肉についての話に聞き入っていました。

今まで知らなかった、材料となる豚について色々な知識を得た上で、自分で肉詰めして作ったソーセージを食べる。そのことによって、ただ「ソーセージ」という料理でしかなかったものが、肉という動物の命の形であって、私たちは日々他の生き物たちから命を頂いて、生きているんだということを実感することが出来ました。

平井さんは豚肉作りだけでなく、消費者にもっとお肉について知ってもらう活動も行っています。消費者にもっと自分たちの食べているお肉について知ってもらうことで、生産者の存在に意識を持ち、生産者がより養豚に取り組みやすい環境を整えることが出来るようにしたいと平井さんは言います。そのことによって、私たち消費者は、さらに良いお肉を食べることが出来るのです。

食のより良い循環を作るために、平井さんは、食育などを通じた、消費者との懸け橋づくりに取り組んでいます。今回のソーセージ作りもそうした食育活動の一環ともいえるもの。湘南ぴゅあのHPでは、そうした食育の活動を紹介しています。

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まさにお肉を頂いているという気持ちになった、湘南ぴゅあのソーセージ。自分で作った分感動もひとしおでした。

私たち消費者が食の大切さに気づき、命を食べているのだという自覚を持つことによって、生産者との循環が出来て、さらにおいしい食べ物を食べることにつながるなんて、なんだかすごいことだと思いませんか?

おいしいソーセージとビールを片手に、自分たちの食べ物は自分たちでよくすることが出来るんだ!というハッピーな気持ちをみんなで分かち合うことが出来た、今回のgd松戸でした。

(Text:原田恵)

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原田恵/埼玉生まれ埼玉育ち。筋金入りのさいたまっ子。
小さい頃から家にあった住宅雑誌を愛読し、建築を志すも数字アレルギーのため断念。より自然に近いことをやりたいと大学で造園について学ぶ中で、人との出会いの楽しさに気付く。現在は大学院で、人が主役になれる都市計画やデザイン、まちづくりについて学んでいます。
gd松戸サポーター/TX柏たなか駅高架下にて毎週土曜コミュニティカフェ「たなかふぇ」運営中
Twitter: @mkuman