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「気仙沼で会おう!」16人の社会起業家が想いを語った「社会イノベーター公志園」決勝大会 [イベントレポート]

社会イノベータ公志園決勝大会

日本の課題、世界の課題に取り組む社会起業家の方々が、多くの方の協力を得ながら数ヶ月にわたって自身の志や想い、事業をブラッシュアップし、決勝大会でその集大成を披露する「社会イノベーター公志園」。

「東北復興と日本の再生」をサブテーマとして開催された今年の公志園の決勝大会は、東北・気仙沼の市民会館を舞台に開催されました。その様子を取材してきましたので、現地の様子をレポートしたいと思います。

開会の挨拶

日本各地から集まった参加者だけではなく、近隣住人の方も会場へと足を運び、様々な方々の注目が集まる中、実行委員の方からの開会の挨拶で大会は幕を開けました。

挨拶が終了すると、公志園の本質をよく表しているというTED Talks、デレク・シヴァーズ の「社会運動はどうやって起こすか」の映像が会場で紹介されました。社会を変えるためにはフォロワーの存在が大事であるという公志園運営側の考え。

決勝大会に進出した社会起業家の方のようなフォロワーをゲットする必要がある人々はもちろん、フォロワーになる可能性のある参加者の方々も大事な存在である、というメッセージが発信されていました。

決勝大会に参加した16名の社会起業家

決勝大会に進出されたのはこちらの16名の人々。決勝大会当日の時点で、壇上でプレゼンする人は7名に絞られており、残りの9名の方は各自の取り組みが映像で紹介され、一言のコメントを述べました。壇上に登った際、公志園の仕組み独特の伴走者、パートナーという存在とともに紹介されました。

まず紹介された9名の方は、途上国の先生不足の問題に取り組む「五大陸ドラゴン桜e-Education Project」の代表 税所篤快さん。コミュニティ・ユース・バンクmomo 代表理事 木村真樹さん。NPO法人北海道エコビレッジ推進プロジェクト 理事長 坂本純科さん。「自産自消」という考え方をもとに活動している株式会社マイファーム代表取締役 西辻一真さん。世界の中学校「生徒会」を対象にグローバルリーダー育成事業を展開する「SENDto2050 PROJECT」代表 森下雄一郎さん。

プレゼンテーションの様子

「留職」のプログラムを提供するNPO法人クロスフィールズ代表理事 小沼大地さん。高知県で地域の総合商社を目指す森の学校/ばうむ合同会社 代表社員 藤川豊文さん。モンゴルの子どもたちに夢と奨学金を与えるNGOゆいまーるハミングバーズ 代表理事 照屋朋子さん。一次産業を、かっこよくて・感動があって・稼げる3K産業にしようと活動するNPO法人農家のこせがれネットワーク代表理事CEO 宮治勇輔さん。

以上、9名の方がまずプロジェクトの紹介を行いました。

社会の革新に挑戦する人々

続いて、7名の方がプロジェクトを紹介するプレゼンテーションを行いました。選出された7名の方は以下の通り。

市民の教育参画実現を目指すNPO法人放課後アフタースクール 代表理事 平岩国泰さん。石巻に新しい介護事業モデルを作ろうとしている小規模多機能型居宅介護めだかの楽園 管理者 井上利枝さん。オンライン英会話でフィリピンの若者の貧困を救おうとしている株式会社ワクワーク・イングリッシュ代表取締役 山田貴子さん。

有機農業を軸に持続可能な地域づくりを行うNPO法人福島県有機農業ネットワーク理事長 菅野正寿さん。キャンサー・ソリューションズ株式会社代表取締役社長 桜井なおみさん。島に移住し「島ぐるみによる観光まちづくり」を行なっている株式会社小値賀観光まちづくり公社専務取締役 高砂樹史さん。ヤマト運輸株式会社、松本まゆみさん。

素晴らしいプレゼンテーションの数々が繰り広げられ、すべてのプレゼンテーションが行われた後、表彰が行われました。「気仙沼市長賞」を受賞したのは放課後NPOアフタースクールの平岩さん。2つある審査員特別賞のうちのひとつは、福島県有機農業ネットワーク菅野さんが、もう一方の審査員特別賞は、ワクワーク・イングリッシュの山田さんが受賞されました。

表彰式

第2回社会イノベーター公志園の代表受賞者は、ヤマト運輸株式会社の松本まゆみさんでした。以前、配達先の独居高齢者の方の孤独死に遭遇し、何か自分にできたことがあったのでないか。そう考えた松本さんは、子供たちのことを考えて、あえて一人暮らしをしている高齢者の方を支えるためにできることを考え始めたそうです。ただ、一企業でできることには限りがあり、何度も壁にぶつかりました。一企業だけでなく、いくつもの団体、コミュニティと連携して、高齢社会という大きな社会問題に取り組んでいく必要がある、そう考えたそうです。

その結果生まれた取り組みが、これまでに蓄積されてきたヤマト運輸のネットワークを活かして、高齢化社会で特に問題視されている「買い物弱者」に対する地元スーパーと提携した買物代行。配達を行う際のドライバーの気付きを見守り情報として、社会福祉協議会にフィードバックする「まごころ宅急便」を構築しました。

松本まゆみさんのスピーチ

松本まゆみさんのスピーチ

企業が持つノウハウは財産です。ただ、ひとつの企業だけでできることには限りがあります。それぞれが連携し、それぞれの資産を共有することで、国全体が抱える問題を解決することも可能になるのではないでしょうか。私は企業人として最後まで挑戦します。

そう語った松本さんのお話は、会全体の中でもひときわ大きな拍手を浴びていました。多くの「起業家」がプレゼンテーションを行う中、松本さんは企業に務める会社員。そして、企業が他の団体と連携しながら社会の問題解決に取り組んでいくという事例でした。この活動から受け取ることができるメッセージは、「企業が社会の公を担う存在として、役割を果たしていってほしい。そして、それは問題に直面している現場の一個人から沸き起こるものであってほしい。」というものなのではないでしょうか。

自然と寄り添う事業。コミュニティを大切にする事業。世界の課題を解決する事業。世界のことを学びながら、自国のことを考える事業など、これからの社会を担っていくであろう活動をされている方々の紹介が続きました。それぞれに共通していることは、存在意義や役割のようななものを見なおし、新しい価値を見出していくこと。それが社会を変革していく挑戦者に求められることなのではないか。そんなことを考えさせられる時間でした。

挑戦者のみなさん

社会イノベータ公志園、第3回の開催は今のところ未定だそうです。運営委員会の方は、「1年半~2年空けて、必ずパワーアップさせて開催します。」とお話してくださいました。

少しでも社会イノベータ公志園の雰囲気に触れてみたいという方は、第1回の公志園の模様がDVDとなっており、TSUTAYAで借りることができるようになっています。今回開催された第2回の模様もこれからDVD制作に入るそうです。第2回の公志園の模様がDVDとなったら、ぜひみなさん熱量あるスピーチの数々をご覧になってみてください。

「社会イノベータ公志園」について調べてみよう。