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「自分たちの手で政治は変えられる!」ローカルから国へアプローチをかける「武蔵野エネルギーシフト」 [R水素アクションNOW: イベントレポート]

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6月23日(土)、3.11をきっかけに学生が主体となって立ち上げた「武蔵野エネルギーシフト (以下MES) 」が、国際基督教大学社会科学研究室とともに公開シンポジウム「ローカルから考えるポスト3.11の新エネルギーの展望」を開催しました。 

会場には、500名以上の来場者のほか、パネリストとして前総理菅直人さんと電力システム改革の専門家高橋洋さんが参加。日本のエネルギーと政治の未来についての熱い議論が行われました。そのシンポジウムの様子を、MESの活動とともにご紹介します。

ローカルからのエネルギーシフト

シンポジウム後の武蔵野エネルギーシフトのみなさん!若者のエネルギーが集結!

シンポジウム後の武蔵野エネルギーシフトのみなさん!若者のエネルギーが集結!

「自分たちの手で政治は変えられる」と訴えるMESの現代表の市毛さん。D.I.Y. (Do It Yourself)精神とフットワークの軽さをいかし、ローカルから国へエネルギー政策の提言を行っています。

例えば今年の2月から3月にかけては、国民的議論の出発点となるような新エネルギー政策の陳情書を、武蔵野市と三鷹市の市議会議員に提出するための署名運動を行い、3週間で三鷹市で789名、武蔵野市で1,067名の賛同者を集めることができました。

その陳情書のポイントは、以下の3つです。

(1)新たな事業者から電力を購入する = 電力の選択肢の確保

(2)市から国に対し、電力自由化や発送電分離を含むエネルギーシステムの改革を促進する = 国政レベルでエネルギーシステムを見直す

(3)市から市民に対し、再生可能エネルギーの導入や災害時の備えとしてエネルギーを貯蔵する技術の普及をサポートする = 市のレベルでエネルギーシステムを見直す

「政治的対立を超えた提言をつくる上で、できるだけ多くの人が賛同できる内容にすることを重視した」という市毛さん。MESメンバーがリサーチし、学内でエネルギー政策に関する勉強会を開き、さらには全会派の市議会議員や行政スタッフへのインタビューを行うことで、団体と陳情書の信頼度アップに繋がって行きました。

結果的に陳情は三鷹市の議会で配布され、武蔵野市では全会一致で可決され、国に陳情の内容が含まれた意見書が送られました。まさに若者が自分たちの手でローカルから国政へアプローチをかけることができたのです!

デザインの力

短期間で広めることができた大きな要因は、政治と接触する機会が少ない若い世代に響くデザインの力です。フライヤーやポスターのデザイン一つでエネルギーと政治の問題が多くの人に届くようになります。シンポジウムを紹介する映像とその映像に合わせた音楽もすべてD.I.Y!

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ポスター


武蔵野エネルギーシフト 2012. 6.23.シンポジウムのトレイラー

3.11後 エネルギーシナリオの議論

(左から)国際基督教大学の教授そして当日の司会  西尾隆氏、MESの前代表  毛利智氏、現代表の市毛裕史氏
(左から)国際基督教大学の教授そして当日の司会 西尾隆氏、MESの前代表 毛利智氏、現代表の市毛裕史氏

シンポジウムは、「大きな社会の方向性を示すのは、政治家だけでなく日本という民主主義社会に生きる一人一人の個人としての責任だ」という毛利さんの言葉から始まります。また、パネリストの高橋さんから電力自由化、菅さんから脱原発のロードマップの具体的な提案が発表されました。

新しいエネルギー政策を議論する際のキーワードは、”柔軟性”と”現実的かつ具体性のあるビジョン”です。柔軟性は特に原発の推進派、反対派を超えて今ある課題を共有することを示します。

共有すべき課題は2つあります。一つは原子力発電の巨大なリスクを直視すること、二つ目は中長期的なエネルギー供給の見通しをたてること。その中で、「できるだけ早期に原発のない社会をつくること」を最も現実的な選択肢として、議論は進められました。

最後に、二人のパネリストが考える「シフト」とは何か?というメッセージで、シンポジウムは終わります。

消費者が電源、電力会社、消費パターンを選択できるシステムが電力自由化だ。単に電力を再生可能エネルギーに変えるのではなく、電力の仕組みあるいは、消費者の役割を変えるということがエネルギーシフトなのではないか。(高橋洋さん)

この問題はある意味、政治家が一番臆病なんです。どうしても次の選挙のことを考えてしまうんです。今の政治家の平均年齢はわかりませんが、あと50年は生きないわけです。この問題の一番の当事者はみなさんであると同時にこれから生まれてくる世代です。(菅直人さん)

シンポジウムの様子は映像でご覧いただけます

(左から)パネリストの菅直人氏と高橋洋氏、笑いを入れながら笑顔でプレゼンテーションを行っていた

パネリストの菅直人氏と高橋洋氏、笑いを入れながら笑顔でプレゼンテーションを行っていた

高橋洋(富士通総研主任研究員)
「3・11後の電力自由化:消費者の立場から」
「電力自由化」の反対にあるのが「独占」/実はすでに部分的に電力自由化されている/小口や一般家庭は今でも法定独占/発送電分離の仕組み/スウェーデンのケーススタディ/デマンド•レスポンス:消費者による電力需給調整/日本全体の電力網で需給調整

菅直人(衆議院議員、前内閣総理大臣)
「脱原発ロードマップと新エネルギーの展望」
福島原発で何があったか/原発事故の経緯/脱原発ロードマップを考える会の有志グループが作成したロードマップ (遅くとも2025年度までの出来るだけ早い時期に脱原発する) /再生可能エネルギーの可能性/国民がエネルギー政策を決めたドイツのケーススタディ

一人一人が持つ選択の権利を活用して政策を変えよう!

シンポジウムで重要なテーマとなっていたのが、政府の国家戦略室エネルギー環境会議が示すエネルギー政策の3つのシナリオです。シンポジウム当日はまだ発表されていなかった2030年時点の原発依存度を基準に、政府が用意した3つのシナリオは(1)原発ゼロ (脱原発シナリオ)(2)原発15%シナリオ(3)原発20〜25%シナリオというものでした。つまり、脱原発に向かうだけでもさまざまなアプローチが考えられるにも関わらず、脱原発のロードマップは一つしかないのです。

だからこそ、今必要とされているのは、政策決定のプロセスに国民が参加し、「第四の選択肢」を自分たちの手でつくるという積極的な”国民的議論”です。情報提供、データベースの整備、意見聴取会、パブリックコメント、討論型世論調査がすでに始まっています。

電力消費者と有権者である私たちと国との民主的な議論は始まったばかり。「武蔵野エネルギーシフト」が実現したローカルからのアプローチを参考にしながら、私たちのエネルギー政策を具体化していきましょう。

武蔵野エネルギーシフトの活動を応援しよう!

内閣府へ「エネルギー•環境に関する選択肢」に対する自分の声を届けよう!

パブリックコメントについてもっと知ろう!