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21世紀型のサステナブル建築を定義する「Living Building Challenge」が2012年のバックミンスター・フラーに!

Creative Commons: Some Rights Reserved. Photo by nic_r.

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米国の「Buckminster Fuller Institute」では、毎年、国際デザインコンテスト「BUCKMINSTER FULLER CHALLENGE(バックミンスター・フラー・チャレンジ)」を通じて、20世紀に活躍した建築家・思想家のバックミンスター・フラー(Richard Buckminster Fuller)のスピリットを受け継ぐ、優れたソーシャルプロジェクトを表彰。

このほど、2012年度の受賞者が発表され、21世紀型建築の基準策定とその普及に取り組むプロジェクト「The Living Building Challenge」が、2012年の”バックミンスター・フラー”に輝きました。

今年のコンペティション「2012 BUCKMINSTER FULLER CHALLENGE」には、世界から122件のプロジェクトが応募。包括性・先行性・実現可能性・立証性・復元性・環境への配慮といった観点から審査した結果、自然環境と調和した“21世紀型建築”のための基準づくりに取り組む「The Living Building Challenge」が選ばれました。

ちなみに最終選考には、このプロジェクトのほか、アフリカの過疎地に向けてバイオ炭を製造する「ECO-FUEL AFRICA」、ポルトガルのビオトープ「Tamera」、水産物の持続可能なサプライチェーンの構築プロジェクト「Future of Fish」もノミネートされています。

THe 2012 Buckminster Fuller Challenge Finalists Video from Buckminster Fuller Institute on Vimeo.

greenz.jpでは2009年から毎年、「BUCKMINSTER FULLER CHALLENGE」の受賞プロジェクトについて採り上げてきました。2009年には、都市型モビリティとシェアリングシステムの開発プロジェクト「Sustainable Personal Mobility and Mobility-on-Demand Systems(SPM/MoD)」が受賞し、2010年は、太陽光エネルギーの普及とアフリカ地域の女性の雇用創出を目指す「Barefoot college」、2011年は、マダガスカルの海洋生態系の保全に取り組む「Blue Ventures」がそれぞれ受賞。

2009年からの変遷を見るだけでも、モビリティ、再生可能エネルギー、水資源、そして、2012年のサステナブル建築と、いずれも地球規模で解決すべき社会的課題にフォーカスし、デザインやイノベーションを通じて具体的な解決策を提示したプロジェクトが受賞しています。

あえて、2012年の受賞プロジェクト「The Living Building Challenge」の特徴を指摘するならば、個別プロジェクトへの取り組みにとどまらず、この成果に基づき、新しいフレームワークや基準の策定にまで踏み込むことで、汎用性や応用可能性を高めている点が挙げられるでしょう。

「BUCKMINSTER FULLER CHALLENGE」のように、定期的に開催される国際的なコンペティションは、社会的課題の解決につながる成功事例をアーカイブする役割をも担っています。

「日々の経験や工夫からどんどん積み重なっていく”知の財産”を、いかに残し、将来に活用するか?」という観点も、地球環境と共存し、持続可能な未来づくりを加速させる上で不可欠なポイントのひとつかもしれません。