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1日1ドル以下で暮らす人々に水を売る?!インドで水因性疾病の改善に取り組む「ワンスクウェア」 [マイプロSHOWCASE]

Water Carriers, Some rights reserved by Laertes

Water Carriers, Some rights reserved by Laertes

1日1ドル以下で暮らすインドの貧困層を対象に、きれいな水を売ろうと活動をしている人がいると言ったら驚くでしょうか。途上国では多くの人々が飲料に適さない水を飲むことで病気にかかっていますが、中でもインドは特に水質汚染が深刻な国の一つです。

インド北西部の貧困層の人たちが飲んでいる井戸水には有害物質が含まれており、そのせいで骨が曲がってしまったり、関節が痛んだり、脳の発達障がいが起こったりと健康被害が生じます。

そうしたインドの水問題に、ボランティアではなくビジネスとして取り組んでいるワンスクウェア株式会社の取り組みを紹介します。

ボランティアではなく、BOPビジネスで

現在、「ワンスクウェア株式会社」はインド北西部の貧困層にいる人たちに、WHOの飲料水基準をクリアするきれいな水を売るビジネスをおこなっています。

こういった発展途上国で生活水準を引き上げる活動は、寄付をベースにしたNPOやボランティア、国際的な団体の手によって行われて多いとのですが、なぜビジネスとしてこの活動を行おうと思ったのでしょうか。代表の藤井健さんにお話を伺いました。

株式会社ワンスクウェアの藤井健さん

藤井 健さん

寄付をベースにした活動が向く社会問題と、向かない社会問題があると思います。援助をする対象者数が少なかったり、地雷撤去のように一度行えば解決できるような取り組みだったり、難民支援などのように対象者からお金をもらうどころではなかったりするような社会問題は、寄付ベースの活動になじみます。

しかし、水の問題は、寄付ベースの活動では難しいと考えました。まず、対象者の人数が非常に多いことが、寄付ベースで水の問題を解決する活動を困難にさせます。寄付で行おうとすると莫大な額の寄付が必要になります。

また、継続性の問題もあります。寄付で行おうとすると、半永久的に寄付を募らねばなりません。しかし、寄付はドナーの都合によって打ち切られる場合もあります。そこで、貧困層の人々でも購入できる値段で水を販売する「受益者負担のBOPビジネス」を考えました。

BOPビジネスとは、「ベイス・オブ・ザ・ピラミッド=1日1ドル以下で生活する貧困層」を対象としたビジネスのこと。世界の約40億人がBOPに該当すると言われています。

BOPビジネスの成功例として注目されるヒンダスタン・ユニリーバがインドの貧しい農村部を中心に、1パック1ルピー(1.5~2円程度)の使い切り石鹸を販売して、公衆衛生の向上に貢献しつつ利益を得ていることを考えると、藤井さんの話に納得がいきます。

大掛かりな設備ではなく、フランチャイズで販売

インドの貧困層に水を売る

貧困層が購入できる価格に設定するために、ワンスクウェアでは、大掛かりで費用のかかる設備ではなく、小規模で簡単に取り入れられる設備を導入。なんと、プラスチックのタンクが3つと薬品さえあれば水がきれいにできる技術を使っているそう。

また、きれいな水を売る方法も自治体を通して販売する方法と、現地の協力者を捜してフランチャイズで販売する方法をとるとのこと。

村で説明会を開くと、「きれいな水を使うこと」にとても興味を持ってくれる人がいます。そういう人に、フランチャイズとしてノウハウとツールを提供し、「きれいな水」を売ってもらいます。私たち外国人がきれいな水を買うことを勧めるよりも、同じ村の人が勧める方が伝わりやすいですし、雇用をつくることにもつながります。

また、現地の人はフランチャイジー(加盟店)なので、「他の仕事をしてはいけない」等の制約はありません。ワンスクウェアの仕事を通じて「商売ってこうやるんだ」とわかれば、水を売りながら、他のものを売るビジネスを始めたり、と事業を拡大していくこともできます。

現地の人にフランチャイジーとして仕事をお願いすると、雇用も創出できて、さらに途上国の生活改善に貢献できますね。

「顧客の課題ありき」の姿勢

実はワンスクウェアは、最初から「この技術は途上国でも使える! これを使ってきれいな水を作って売ろう」と考えてビジネスを始めたわけではないそう。それよりも、「途上国の問題を解決したい」という純粋な気持ちが先にあったそうです。

途上国の抱える課題には広く関心を持っており、「最初に取り組むのは水関連の仕事をしよう」と決めていました。日本の水技術は途上国で役に立つと感じていたからです。しかし、それ以外には決めていませんでした。

「こんな技術があるから、その技術を使って役に立てる場所を探そう」とソリューションありきのビジネスを行うのではなく、現地の人の課題を見て、それを解決できるソリューションを探す、「顧客の課題ありき」の姿勢をとりたいと思っています。

ワンスクウェアの仕事は
1.顧客の持つ課題と、それを解決できる技術を持つ組織をマッチングする。
2.それを低所得者に届ける仕組みを作る。
の2点にある、と藤井さんは語ります。

当分の間は、現在の「超低価格できれいな水を売る」ビジネスにかかりきりになりそうですが、ゆくゆくは農業など他分野の「顧客の課題」を解決していくビジネスを行っていきたいと話してくれました。

インドで水を汲む人
インドで水を汲む人

バックパッカーとしての旅行中に感じた不条理からBOPビジネスに

藤井さんはなぜ途上国の問題を解決したいと思ったのでしょうか。ビジネスを始めたきっかけを聞いてみました。

大学卒業前、22歳だったときに、バックパッカーとしてアフリカ旅行をしました。ローカルバスを乗り継いでケニアから南下したのですが、そのときに、急に国境が閉じてしまって6時間待つことになったのです。やることがないので、その村の22歳の男性と話すことにしました。

そのとき藤井さんはベンチャーキャピタルから内定をもらっており、未来に希望を持っていたそう。しかし同い年のアフリカの青年は違いました。

彼は、未来に希望が持てないと言っていました。村には仕事がありません。そこで「○○村に行って仕事を探してみたらどう?」と言ってみると、基本的な教育を受けていないから仕事を得ることはできないと言うのです。

「教育がない」とか「仕事がない」といった状態が「壁」のように未来に希望を持つことを阻んでいるように思いました。単純に一括りにすることはできませんが、途上国に住む多くの人にとって、いろいろな「壁」が先進国よりもずっとあることを実感したのです。

周囲に起業なさっている方が多かったことから、いつか起業をしたいと思っていた藤井さんは、ベンチャーキャピタルや、消費材メーカーで勤務した経験を生かして、途上国の人々の生活のために仕事を始めました。

さまざまな「壁」を取り払っていきたい

「教育がなかったり機会がなかったりして働けない」、「本当はきれいな水を飲んだ方が良いのだけれど貧しいから飲めない」など、途上国の人々の前に立ちはだかる「壁」をどんどん取り払っていきたいと思っています。

と藤井さんは語ります。

「途上国にある「壁」を取り払っていきたいと語る藤井健さん

発展途上国の問題解決にも役立てられる可能性のあるソリューションを持っている団体や、「発展途上国の問題解決に貢献したい」という気持ちを持っている人とともに、途上国にある様々な「壁」を取り払っていければ、と語ってくれました。

ワンスクウェアの活動を聞くと、社会にある課題を解決する方法がまだまだたくさんあることに気付かされます。このような丁寧な活動が、世界をよりステキにしていくのですね。

あなたの周りにもし、「世の中を良くする活動に何か関わってみたい」と思っていたり、「こんな技術があるのだけれど、これ、途上国でも使えるな」という技術を持っていたりする人がいたら、ワンスクウェアの活動を伝えてみてください。社会の課題の「新しい解決方法」につながっていくかもしれません。

ワンスクウェア 問い合わせ先
info[a]onesquare.jp

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