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「みんなで日常を編集すれば街はもっと楽しくなる」新サービス「tab」をリリースする頓智ドットCEO谷口昌仁さん [インタビュー]

Some rights reserved by joseph a

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今回は、「tab」という新サービスのリリースを控えている頓智ドット社長CEOの谷口氏と、greenz.jp編集長YOSHさんの対談を通じて、街を編集すること、日常を楽しくすることについてお伝えしていきます。

YOSH greenz.jpでは、これまでにも”まちづくり”や”シビックプライド“といったキーワードを取り上げ、記事にしてきました。「セカイカメラ」というアプリを開発したことで有名になった頓智ドットが、新しくリリースするサービスは、まさに“まち”がキーワードだと伺っています。

今回のサービスを制作するに至った経緯は一体どのようなものだったのでしょうか。

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谷口 私は経済産業省や楽天などで仕事をしてきましたが、ずっと「日本を元気にしたい」という想いをもって活動してきました。頓智ドットでもその想いは変わらず、今回新しくリリースするサービス「tab」は特に「街を元気にしたい」という想いを持って作っています。

街はお店、会社、人などいろいろなものが集まって構成されています。多くが集まることで効率が高まるメリットがあるため、その流れが進んできました。

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谷口さん

谷口 ただ、街に情報が集まりすぎてしまうと、その分ノイズも多くなり、把握できないことも増えてしまいます。情報が溢れる街中を歩いていて、自分にとって価値ある情報だけが浮かび上がるようにできるようにしたいと思っています。

YOSH なるほど。たしかに何となく街を歩いているだけだと、どこに何があるのかわからないですし、本当は自分にふさわしいものが売られていたとしても、知るすべが無いですものね。実際にはどのような仕組みのサービスなのでしょうか。

「tab」とは

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谷口 「tab」では自分のお気に入りの場所の情報を登録することができます。また誰かが登録した場所、作成したまとめを見て、自分が知らない街のおもしろい場所を探すことも可能です。自分がまとめたところ、誰かがまとめた場所の近くまで行ったとき際、位置情報を取得して、その場所を知ることができ、足を運ぶことが可能になります。

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谷口 これまでも雑誌の特集などを見て、興味を持ったとしても、実際にその場所の付近まで行ったときにはそのことを忘れているか、もしくは気づかないことが多く、行動には至っていませんでした。興味関心を行動にまで至らせる「Interest to Action」はtabで実現したいことのひとつです。

YOSH 一人ひとりが”わたしマガジン”の編集長になって、雑誌の特集コーナーをつくるように街のおもしろい部分を切り取ることができるんですね。そして、実際にその特集を見ながら街を歩くこともできる。


リアルの世界をもっと楽しくしたい

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谷口 私は、街をもっと楽しむことが可能だと思っています。街にはまだ発見できていない部分が多くあり、多様な人が様々な切り口から見た街を知ることができたら、さらに街は魅力的な場所になるはずです。

YOSH そうですね。誰もがそれぞれユニークな視点を持っている。誰かにとってあたりまえと思っていることでも、きっと他人にとってはオドロキがあることってよくあるとおもいます。違う角度から、あるいはより高い解像度で世界を見ている人の目線を追体験することで、自分の視野も広がりますし、お散歩がさらに楽しくなりそうですね。

谷口 人々が街で何気なく過ごしている時間は、実はとてもおもしろいものであることに、気づいてほしいとも考えています。興味関心から生じる日常の活動、実はそれ自体に価値があり、それぞれが持つ街の楽しみ方を共有することで、街の楽しみ方は増えていくのではないかと。

YOSH 知人の好きな場所がわかると、その人の意外な一面が見えてきそうですね。街のおもしろさと、人のおもしろさを同時に知ることができるのは、魅力的です。職場のメンバーとか、近いところにいる人同士で共有しても発見がありそうです。

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“まち”をふるさとにする

YOSH 僕がこのサービスを使用するとしたら、”そのまちで誇りに思うところ”をキュレーションして掲載したいなと思いました。それを通じて、僕はここに選んで住んでいるんだという想いを表現できるんじゃないかなと。

もう10年以上も前になりますが、上京して初めて住んだ街が西荻窪なんです。そのときよく「西荻大全」というガイドブック的なウェブサイトをずっとみていたのですが、そのなかで”西荻の誇り”と書かれているお店が数軒あるんです。中華の「博華」とか、蕎麦屋の「つる屋」とか。”◯◯の誇り”っていう表現がとてもいいと思っていて。

ただ今振り返ると、西荻時代は”なんとなく”すごしていたなーって思っていました。大好きな場所なんだけど、ほっと一息つけるような帰るべき”HOME”とまでは言えない。最近ずっと考えているのは、縁あって暮らしている街、働いている街に、”なんとなく”居るのはもったいないなということなんです.

谷口 街に対する関心を高めていきたいと思います。昔は街と人が一体となっていました。お店に足を運んで、商品を買うとき、売る側も買う側も互いにコミュニケーションをとり合い、関係を築いていたんです。

そんな少し昔の感覚を取り戻せるようにして、地域と人の間、人と人の距離を縮めたい、そう思っています。

YOSH そうですね。通勤に便利とか、子育てがしやすい、とか、街を選ぶ理由は人それぞれだと思うんですが、それぞれが納得して同じ場所に住んでいるというのは、ものすごい縁だと思うんです。好きなパン屋さんが一緒だったり、共有できるものがきっとあるはずです。

自分が関わっているまちに興味を持ち、一歩踏み込んで関わることで、大好きな街が自分にとってのHOME=「ふるさと」になるといいなと思っています。

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谷口 とても共感します。モノやサービスを使用しているお客さんの中でのコミュニティは存在しています。例えばある歌手を応援する人たちはファンクラブを作り、盛り上がっています。お店や、街に対してもそこに関わる人たちのコミュニティを作っていきたいですね。

YOSH そんなことを思いながら、いま丸の内朝大学というスクールで”マイまちづくり”をテーマに授業をあしています。そこではそれぞれがふるさとにしてみたい”マイまち”を選び、地域のイシューを発見してプロジェクト化し、通り過ぎるだけの場所だった”まち”との接点を、それぞれが増やしていくのを応援したいと思っています。お題を探そうとすることでまちを見る目が変わってくるでしょうし、自ら気づき、自らその解決のために組み立てたプロジェクトは持続するはずです。

僕がやりたいなと思っているプロジェクトのひとつが、創業記念日バースデーサプライズ。先ほどのパン屋さんじゃないですが、「このお店を好きな人だったら、初めましての人でもきっと仲良くなれる」ことってあると思うんです。自分が好きなパン屋の創業日、つまりパン屋さんの誕生日に、そこのお客さんたちがこっそり集まって、みんなでお祝いするなんてことをできたら素敵ですよね。

「その街が好き!」というポジティブな思いがつながるきっかけとなり、コミュニティが育っていく。そんなプロジェクトを、tabを使っていろいろ仕掛けてゆけたらいいですね。

谷口 tabで提供するのは、現段階ではユーザが興味を持ち、行動するところまでですが、いずれはそのお店でお客さんが出会った後のコミュニケーションツールなども提供していきたいとも考えています。

YOSH 4月にMaGaRiの今村さんたちと浅草近辺をめぐる「東東京散歩」という旅をグリーンズとして企画したのですが、おもしろい場所を編集している街のキュレーターと一緒に、ツアー企画もできたらおもしろくなりそうですね。やはり実際に行くことが、一番の喜びになると思いますので。

というわけで、“ほこり”を感じる場所のプラットフォームとなっていきそうなtab、これから楽しみにしています!今日はご登場いらだき、ありがとうございました。

谷口 こちらこそありがとうございました!

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