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職場で踊ると社会が良くなる!?ダンスを企業研修に活用する「melmic」 [マイプロSHOWCASE]

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ダンスで職場も会社も地域も活性化させる!

そんなソーシャルベンチャーを立ち上げたのは「melmic」の石川さやかさんです。子供の頃からダンスに取り組んでいたという石川さんは、ふとしたきっかけから大好きなダンスで起業するに至りました。

まさかダンスにこんな活用法があるとは思いもしませんでした(笑)

自らそう語るアイディアとは、いったいどんなものなのでしょうか。

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最初はホントにたまたまだったんです

石川さんは小学校4年の時に新体操を初めて以来、ずっとダンスのとりこ。ジャズダンスを中心にヒップホップなどもこなします。就職してもダンスは続け、かなりの頻度でステージにも立っていたのだそう。

仕事とダンスを両立させるには、仕事を時間内にきっちり終わらせられなくてはいけません。定時に上がるにはどう時間を使えば良いか考えるのは、業務の効率アップに役立ってました。でも当時は「仕事とダンスは別物」と考えてたので、直接結びつけるなんて思いもしませんでしたね。

実は石川さん、工学部出身の機械工学専攻という、女性にはちょっと珍しいバリバリの理系畑。大学卒業後もエンジニアとしてメーカーに勤めていたのです。エンジニアとダンサー。この二足のわらじを履いていた石川さんに転機が訪れたのは、就職しておよそ7年が過ぎた頃でした。

会社で毎年運動会があるんですが、ある年の企画が「部署対抗ダンス大会」に決まりました。とは言っても部署のみんなはダンスなんて全くの素人。経験者は私だけだったんです。

「なんなんだろう、この状況は…」

唯一の経験者である石川さんにリーダーとしての白羽の矢が立つのは至って当然の成り行きでした。ですが石川さんが勤務するのは従業員数3,000人にも及ぶ大企業。石川さんの部署だけでも100人に達する大所帯です。もちろん全員参加。

部署の全員が本番当日までに振り付けをマスターし、披露できるレベルにしなくてはいけません。かなりハードに思える状況ですが、石川さんは当時の様子を笑いを交えながら語ります。

dance2s別の会社にて。職場全体でノリノリです。

「なんなんだろう、この状況は」って思いましたね。だって会議室で同僚とダンスの練習をしてるんですから(笑)。まさか人生にそんな事が起こるとは夢にも思いませんでした。

こうしたイベントごとは忙しい同僚には後回しにされがちですが、トップに立つ部長のバックアップもあって職場全体が前向きにダンスに取り組んでくれたのだそうです。こうして練習を続けていくうちに同僚たちも少しずつダンスにのめり込んでいきます。

上下関係を超えて若手社員に教わるベテラン社員がいるかと思えば、普段は寡黙な上司がコピー機の前でステップ踏んでたり…。中には家庭で披露して、娘さんに褒めてもらえたって嬉しそうにしていた人もいたのだとか。

え、この人ってこんな人だったんだ、というのがダンスを通じて見えてきたんです。普段とは全く違った顔。すぐ近くの席にいる同僚への要件もメールで済ませていたような人たちが、一緒に身体を動かすことでグッと距離が近づいて、コミュニケーションが明らかに変わってきて…。こうした様子を目の当たりにして「これをやりたい!」と思ったんです。

ダンスによる職場の活性化。これってきっと、多くの企業に役立ててもらえるのではないか…。石川さんはそう気付いたのです。ですが同時に一つの壁も見えてきました。ダンスの良さは踊った人や、踊ったことのある人にしかわかりません。ダンスを知らない人、特に企業の担当者に理解してもらうにはどうしたら良いのか…? 

世の中に広めるためにもっと色々な事を勉強したい!こうした思いから石川さんはSFC(慶応大学湘南藤沢キャンパス)の社会イノベーターコースに入学します。石川さんは2年間の在学中にも研究の一環として岐阜県のある企業に出向き、社員たちにダンスを教えることになりました。

その会社の地元でお祭りがあるんです。例年はハッピを着た社員たちが行進に参加するだけだったのですが、これをダンスにしてしまおうと。これだとオフィス内だけでなく、お祭りを盛り上げることで地域の活性化にもつながりますし、地域に人たちに企業に対する親近感をもってもらうこともできます。

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とは言えあまり長い時間を割くことはできません。なので練習は週に一回、昼休みの30分にしました。練習期間は一ヶ月半ほど。振り付けもみんなが覚えやすいように繰り返しを工夫したり、YouTubeにアップした動画を見ながら、家庭で自習練習してくれた人もかなりいたのだとか。

お祭りの当日は雨が降りそうだったんです。そしたら社員の方たちも「お祭りがなくなったら残念だって、初めて思った」って言ってくれて(笑)。運動不足解消に役立ったり、職場のコミュニケーションが円滑になったりといった感想が寄せられました。社長さんも一緒に参加したのですが、「社長の笑った顔を間近で見られたのが良かった」と、喜んでくれた社員さんもいました。

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危ぶまれた天気も晴天。練習したダンスを思い切り披露しました。

身近な人を幸せにできなきゃ多くの人を幸せにできない。

地元の人たちからの評判も上々。こうした経験を通じてデータと実績を積み上げた石川さんは、ETICが支援するソーシャルベンチャースタートアップマーケット一期生として合格し、いよいよ起業への第一歩を踏み出します。ですがちょうどその時、予想外の出来事が起こりました。第2子の妊娠が分かったのです。

活動を軌道に乗せるため、徹夜しまくってバリバリ働いてる時に妊娠が分かったんです。それではたと気付いたんですね。「身近な人を幸せにできないことには、多くの人を幸せになんてできない」って。

そう考えた石川さんは家族との時間を大事にするため、準備期間を延長することにしました。その選択は事業計画をバージョンアップさせる良い機会となったほか、子供向けのダンス教室もスタートさせるなど、新たな展開にも繋がったようです。

今度、大きな柱にしたいのが地域活性化を図るイベントの実行委員との提携です。各地でよさこい祭りとか開かれてますし、お祭りによっては地元の企業の枠を設けているところもあります。でもこれまで全くダンスと縁がなかった企業にとって、そういうイベントに参加するのってちょっとしたハードルになってるんですよね。

地域のみんなに親しんでもらいたいし、地域活性化に繋がるのもわかってるけど、踊りなんてどうすれば良いのかわからない。こうした時に私たちの力が助けになるはずです。

この計画を実現する上での目下の課題。それは「仲間作りです」と、石川さんは語ります。

ダンスを導入したノウハウをもとにプランをパッケージ化すれば、企業も導入しやすくなりますし、趣旨に共感するダンサー達の力を活用することもできます。また、ダンスには衣装や小物、そして音楽など、ダンサー以外にも必要なものが多々あります。そうしたものの用意には、専門のスキルを持つ人の力が欠かせません。

「周囲の人の力を借りないとできないこともある…」。これもまた石川さんが育児とソーシャルベンチャーの両立に向きあったことで、見出した結論だったのです。

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お子さんと取材に応じてくれた石川さん

身体が硬いから、リズム感がないから、といった理由でダンスを敬遠する人もいますが、ラジオ体操ができる人なら誰にでもできるくらいのレベルで、かっこいいダンスを提供できます。ちょっとした場所があればいつでもどこでもできますので、イベントだけでなく、社内でのちょっとしたサークル活動や朝活など、日々に彩りを添える活動として気軽に取り入れてもらいたいですね。

オフィスにちょっとした変化を加えたい。そんな方はぜひダンスにトライしてみては? melmicでは石川さんと一緒にプロジェクトを推進するメンバーも募集中です!

melmic公式動画「ダンスで企業活性化 」

公式サイトをチェック!

みんなどんなマイプロをやっているの?SHOWCASEをみてみよう!