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話題のコワーキングスペース「co-ba」が、依頼主と共に空間をつくりあげていく集団「HandiHouse Project」と取り組む”これからの場づくり”

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渋谷にあるコワーキングスペース「co-ba」。昨年12月にオープンして以来、何度も話題となっています。co-baを運営するツクルバは、CAMPFIREで資金調達を行ってクラウドファンディングの仕組みを利用したり、実際に空間ができあがった後も、co-ba会員のコミュニティづくりを精力的に行なっています。

今月後半に新しくオープンする予定のスペース「co-ba library」についても、工事している様子を24時間中継して、その作業工程をオープンにするなど、従来とは異なったアプローチをとっています。

co-ba libraryの工事を行なっているHandiHouse Projectは、依頼を受けた時ただ作るだけではなく、依頼主にも実際に手を動かしてもらうなど、一緒にその場を作っていくことを信条としている人々。角度は違えど、空間づくりに新しいアプローチを行なっているツクルバと、HandiHouse Project。これからの空間づくりを、どのように考えているのか、お話を伺いました。

場のサステナビリティ

村上さん ぼくは場づくりをするときに、持続性をテーマにしています。以前、不動産の仕事をしていたのですが、不動産は作って、壊して、また作って。それを繰り返していかないと続かないビジネスだと思いました。では、どうしたら持続性がある場づくりができるのか。そのひとつの解が、作り手と一緒になって取り組む場づくりです。

人々ができあがった場自体に愛着を持つことはあまりありません。立地だったりとか、値段だったりとか、景観だったりとか、そういったスペックで選ばれることがほとんどです。そうした基準ではないところで、価値が判断されるような場所ができると、その場はもっと人々から愛されるんじゃないか、そんなことを考えています。

DIYを通じて過程を共有する

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中田さん 僕たちは完成したものをそのまま渡すだけでなく、お客さんと一緒に作っていくことを心がけています。そうするといろんなハプニングもありますが、過程を共有することによるいい面もあります。

そのつくり方を、これまでは家を中心にやってきました。それだけじゃなくて、いろいろな人と関わりあえる場を作ることができたら、そう思ったとき今回のco-ba libraryのプロジェクトに声をかけてもらいました。

24時間LIVEで中継していることで、こういうふうに作っていくんだ、ということを知ってもらうことができます。普通の人は出来上がった時点で、買ってもらうだけ。ネットを通じてこういう建築のあり方があることを知ってもらいたい、そう思いながら作業をしています。どのように空間ができあがっていくのかを見てもらえていないから職人とお客さんの間に距離ができてしまう。どれだけの職人が一生懸命作業しているのかをもっと知ってもらうことができるといいなと思っています。

HandiHouse Projectのみなさん

HandiHouse Projectのみなさん

村上さん 今、co-ba libraryの工事過程をオープンにしているのも、別に過程を共有したほうがおもしろいから、そのほうが新しいからという理由でやっているわけではありません。情報をオープンにし、だんだんと出来上がっていく過程を共有して、みんなに愛される場をつくるためには、この方法がいいと思っているから、この方法を採用しました。

自分が住んでいる場所、働いている場所を客観的に見ていて、過程に参加しなさすぎて、自分に関係あることだと思えなくなってしまっていることが多いんじゃないかと感じています。

中村さん 今は、なんでもかんでもサービスとして提供されることが当たり前になってしまっています。それのためサービスの需要側と供給側の線引きがされてしまっていて、距離感が生まれてしまっているのではないでしょうか。

中田さん 線引きをしすぎてしまうと、どんどん自分に関係あることだと思えなくなってしまいますよね。離れすぎた距離を徐々に近づけるためにDIYが必要なのかもしれないと思います。

お客さんと一緒にDIYをすることで、お客さんとの距離や、自分たちがやっている作業とお客さんの距離を縮めることができたりします。作業に参加してくれたお客さんは工事が終わって、物件を引渡したあとも、お客さんが自分でやっていってくれたりしています。そのためにも過程に参加してもらうことを呼びかけていますね。

場に対してオーナーシップを持つ

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村上さん 先に場の持続性のことをお話しましたが、持続するためにはその場が愛されることが重要です。愛される場を作るために大切なのは、その場に対してオーナーシップを持つことだと思っています。

池袋にカフェをオープンしたときは、お金がなかったのでカフェの壁を自分たちで塗っていました。自分たちはオーナーなのでお金を出しているのでリスクもあるし、お店を運営していくことを自分ごと化していたのですが、そこで働いているメンバーも自分から提案もしてくれるし、カフェの運営を自分ごと化してくれています。

これはお店の壁を塗るなど場が出来上がるまでの過程を共有したからだと思っています。過程を共有することでその場に対してオーナーシップを持つことができるようになります。これは関わる人にとっていいことではないでしょうか。

中村さん オーナーシップは持てと言われて持てるものではなく、行動から生まれていくものだと思っています。オーナーシップを持つようになるためにもDIYをして過程を共有することは大切だなと思いますね。

コンテキストのある場づくり

村上さん なぜこの場が生まれたのか、誰が参加して、どのようにして生まれたのか。そういったことがこれからの空間にはすごく大事になってくると思います。Libraryをはじめることになったきっかけも、co-baを運営している中で本を介してコミュニケーションや、アナログのコミュニケーションが行われるのを見て図書館を作ろうと思った。その文脈があることが一番の差別化要因になると思っています。

中村さん 図書館のもともとの起源は、知識はハイグレードな人々しか持っていないもので、書籍は富裕層の所有するものだったそうです。それを共有する場所として始まったのが図書館で、スタートはシェアライブラリーだったそうです。ぼくらがやろうとしているシェアライブラリーも実は源流に戻っているのではないかと思います。

村上さん ぼくらがやっていることは何も奇抜なことをやろうとしてやっているわけではありません。人に愛されるような場を作りビジネスとして成り立たせていくためにはこれが合理的なやり方だと思っているし、これが自然な形だと思っています。

(対談終わり)

今ある垣根をなくし、フラットな場を作っていくことで、その場に関わる人がオーナーシップを持つことが可能になっていく。こうした空間のつくり方が今の時代に合っている、そんなお話を今回伺うことができました。こうした空間の作り方が、今後とくに公共施設をつくる際などにも活かされてきたりすると、多くの人に愛される場が生まれることにつながりそうです。

co-ba libraryの工事の様子を24時間中継中

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デザインから工事のすべてを自分たちの『手』で行う集団。