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いよいよ”人工光合成”が実現!?「水+太陽光+粉=R水素」が、これからのエネルギーの方程式だ!(中編) [R水素(再生可能水素)アクションNOW]

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究極のエネルギーシフトを可能にする先端科学、光触媒のお話。前編はこちら・後編はこちら

工藤教授は東京理科大学に赴任した当初,学生と一緒にタンタル酸ナトリウムという物質(光触媒)を発見しました。1999年のことです。当時、この大発見を世界に知らせようと学会に論文を提出したところ、審査員陣に「そんなことはあり得ない」と突き返されたとか。

しかし、取材に訪れた私たちの目の前では、絶え間なく生まれる無数の気泡が、現実を物語っていました。

水素の泡がふつふつと!

水素の泡がふつふつと!

ホンダ・フジシマ効果(前編・下写真参照)が発見された後、雨後のタケノコのように研究機関が立ち上がり、多くの人がその壮大な価値を認めて研究を始めました。ところが、その多くは、反応を起こす物質(光触媒)を見つけ出せないまま消えていった。研究の発想も、最初に見つかった酸化チタンのアレンジに留まっていました。

その一方で、発想を転換して酸化チタンとは別の物質に活路を見出し、効率は低くても、反応を起こす物質を発見できたチームはまだ研究を続けています。

1967年。ある大学院生が、酸化チタンに光を当てると水が分解することを発見しました。

1967年。ある大学院生が、酸化チタンに光を当てると水が分解することを発見しました。

ひとたび水から水素を取り出せば、リチウムイオン電池のように放電することなく、大量に長期間、備蓄しておくことができます。そうしてためておいた水素を燃料電池で電気に変換することで、車やバスなど、さまざまな機械を動かすこともできます。炭化水素の代わりに水素を燃やしてタービンをまわし、発電することもできます。

また、あえて二酸化炭素と化合させて、ガソリンをつくることも、さらには、窒素と合成し、食料生産を活性化する化学肥料をつくることもできます。この用途の幅広さが、工藤教授が「水素があれば、なんでもできる」と断言する所以。

つまり、太陽と水の間を光触媒が取り持ち、水素を取り出すことで、地球全体に分け隔てなく降り注いでいる太陽のエネルギーを、備蓄したり、動力に使ったり。太陽の恵みを、電気に変換するソーラーパネル以上に、簡便かつ立体的で重層的に活用することができるようになるのです。

そもそも水素って?

水素という物質については、greenz.jpでも重ねて紹介してきました。が、ここでもう一度おさらいしてみましょう。

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水素は、ガソリンや都市ガス・プロパンガスなど、先進国の住人が日常的に親しみ、お世話になっている物質の中にあります。

燃やしても二酸化炭素を排出しない可燃性ガスで、燃料電池と呼ばれる水素発電機で電気と熱に変換できます。この原理を利用して家庭用のエネルギーをまかなおうというのが、日本国内ですでに1万3000台が普及しているエネファームです。

逆の見方をすれば、ガソリンや都市ガス・プロパンガスなどはすべて、この水素に、炭素(C)が化合した炭化水素です。炭素が含まれているので、燃やすと熱エネルギーが得られるのと同時に二酸化炭素を出します。エネファームの場合は燃やしませんが、都市ガスやプロパンガスから水素を分離して使うので、分離するときにやはり、二酸化炭素が出ます。

つまり、エネルギー源に炭化水素を使っている限り、私たちが車で出かけたり、ガス給湯器でシャワーを浴びたりすると、二酸化炭素が出るわけです。

炭化水素から水へのエネルギーシフト

電気を使っても、根本的には同じ。

いま火力発電で作られている電気は、炭化水素を燃やして熱エネルギーに変換し、その熱で水を沸騰させて蒸気の運動エネルギーに変換し、その運動エネルギーでタービンをまわしてつくられているので、電気をつくるプロセスで二酸化炭素が出ます。

また、物質→熱→運動→電気 と、次々に変換される過程でロスも出ます。運動エネルギーとして使えない熱は、大気中に捨てられてしまいます。火力発電所の総合エネルギー変換効率は、40%に過ぎません。

そしてこれら炭化水素は、わざわざ外国で権益を獲得し、巨大な設備をつくって採掘し、パイプラインやタンカーで遠路はるばる運び、さらに沿岸の石油精製施設で加工して初めて、使えるようになります。さらにさかのぼれば、ハイテク探索マシーンや優秀な地質学者の存在なしには、どこを掘れば採れるのかもわかりません。

つまり、欲しいのは熱や光、動力といったエネルギーの最終形なのですが、それらを得るために、以上のような無駄の多いプロセスを踏んでいるのです。

ところが、水素は、私たちが毎日目にしている「水」の中にあります。「炭化」水素との比喩で言えば、水は水素と酸素が化合した「酸化」水素。燃やしても分離しても、二酸化炭素は出ません。理論上、1リットルの水には電力換算で3.6kWh分のエネルギーがあり、水素と酸素に分離することで役立てることができます。

この、炭化水素から水(酸化水素)へのエネルギーシフトは、文明のあり方を根本的に覆すインパクトを持っています。

水に姿を変えている水素を取り出し、エネルギーとして使う新しいモデル。言わずもがな、このモデル実現のキーは、「水から、どうやって水素を取り出すか」にあります。この課題を乗り越える道のひとつが、光触媒なのです。