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都市防災キーワードは「自助、公助、共助」。3つの視点からこれからの自治を考える [コミュニティデザインの現場から]

Some rights reserved by Toujia Elementary School 頭家國小

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来る3月17日に開催されるイベント「Tokyo Community Crossing(以下、TCC)」。このイベントでは「都市防災とエココミュニティ」がテーマとなっています。

今回の開催ではコミュニティ、そして都市防災の専門家が登場し、トークを行います。前回の記事では「防災とコミュニティの関係」についてご紹介しました。TCCについての記事の後編にあたる今回は、登場するゲストの紹介と、都市防災を考える上でのキーワード、「自助、公助、共助」という言葉をご紹介します。

自助 -まずは自分にできること-

防災を考える上で、まずは自らの生活を見なおし、どれだけ備えができているのかを考えることが大切です。防災が起こったときのための備えをしておくこと、いざ起こったときのことをイメージしておくこと。防災の中でも自分でできる限りのことを行うことが自助になります。

当日のカンファレンスには、特定非営利活動法人プラスアーツの方が登壇されます。プラスアーツは防災NPOの第一人者。防災や災害対応の有識者という立場でいろいろな話をされます。TCCのプログラムでは「地震イツモ講座」というワークショップも開かれ、現在想定されている首都直下型地震は「どのようにして起こるのか」、そして「どのような被害が想定されているのか」について、地震が起こるメカニズムを交えて教わることができます。

ワークショップ形式の講座を通じて、まず自分でできる備えについて考えます。

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特定非営利活動法人プラスアーツ。社会における様々な既存分野に対して、“アート”そのものを持ち込むのではなく、アート的な発想やアーティストの持つ既成概念にとらわれない創造力を導入し、それらの分野がそれぞれ抱えている様々な課題や問題を解消し、再活性化させることを目的として活動。

楽しみながら学ぶ新しい形の防災訓練「イザ!カエルキャラバン!」などのプロジェクトを全国で展開しながら、阪神・淡路大震災から得た教訓を様々な世代へ伝えている。

公助 -行政による防災-

自分でできる防災について考えた後は、自分ではできない規模の防災について考えます。

震災が起こったときには、行政や企業も活動を行います。施設を利用可能にして帰宅困難者を収容したり、ストックしていた食料の配給等を行います。ですが、こうした公助がすべての人に行き渡るわけではなく、公助の限界も存在します。

こうした公助の現状と、自治の必要性について考えるトークセッションがTCCでも行われます。このパネルトークに登壇されるのは、港区区議会議員をつとめながら、街を綺麗にする活動を行うNPOグリーンバードの副代表としても活動されている横尾俊成さん。

『自治による防災を考える』というテーマのパネルトークで、行政がどのような備えを行なっているのかという公助の現状。そして行政の視点から見たときの、自治の大切さを聞くことができる予定です。

いざ震災が起きたとき、どのような支援が得られ、どのようなことは自分たちで行わなくてはならないのか。トークを聞きながら考えてみてはいかがでしょうか。

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横尾俊成さん。1981年生まれ。NPO法人グリーンバード副代表。一般社団法人リベラルアーツ推進協会代表。 港区議会議員(無所属)。
早稲田大学大学院、広告会社の博報堂を経て現職。街の課題を若者や「社会のために役立ちたい」と思う人々の力で解消する仕組みづくりがテーマ。第6回マニフェスト大賞受賞/元雑誌『広告』編集委員。

共助 -コミュニティによる助け合い-

自助、そして公助と考えてきて、最後に考えるのが共助です。そして、この共助が今回のTCCのメインテーマ。

震災後、多くの人がつながりの大切さや、コミュニティの大切さに気づきました。ですが、そのコミュニティはどのようにしたらつくることができ、互いに助けあいが行われるようなものにできるのかがわかっている人は多くありません。

そこで、TCCにはコミュニティづくりのプロとして、studio-Lの山崎亮さんが登壇され、お話をされます。山崎亮さんはgreenzでも記事にしたように「コミュニティデザイン」という分野を切り開いている方。「コミュニティデザイナー」として、地域コミュニティにおける課題解決を手がけ、日本中を飛び回っています。

「コミュニティの可能性について考え、そして動き出す」というテーマのパネルディスカッションで、コミュニティに関して問題意識を持っているけれど、どうしたらいいのかがわからないという人にむけて、コミュニティについて考えるきっかけ、そしてアクションのためのヒントを得ることができる時間となるはずです。

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山崎 亮さん。1973年愛知県生まれ。studio-L代表。京都造形芸術大学教授。
地域の課題を地域に住む人たちが解決するためのコミュニティデザインに携わる。まちづくりのワークショップ、住民参加型の総合計画づくり、建築やランドスケープのデザインなど、全国各地でプロジェクトに携わる。
著者:『コミュニティデザイン(学芸出版社)』

自助、公助、そして共助

住民のひとりひとりが自らの生活を見なおし、どれだけ備えができているのかを考え、備えをしておく自助。行政や企業といった団体からの支援を受ける公助。そして、隣近所の人々、同じコミュニティに属する人々で互いに助けあいを行う共助。

これら3つを合わせて考えることが都市防災を考える上ではとても大切です。とくに自助と公助で不足してしまう部分を埋めるために、共助について考えることを欠かすことはできません。

様々な視点から都市防災とコミュニティについて考えることができるTokyo Community Crossing。残念ながら今回の開催はもう定員となってしまったため、参加はできないのですが、TCC自体は今後、育児や教育などの分野に特化した分科会も広げていく予定だそうです。「気になる!」という方は、今後も活動は継続して行われていくはずですので、ぜひチェックを!

greenzでも当日のTCCの様子をレポートする予定です。そちらのレポートもお楽しみに!

コミュニティについて考えてみよう。