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【gdj】「食にまつわるイイ話」green drinks HIDAレポート #gdJ #gdHIDA

greenz.jp では各地のgreen drinksオーガナイザーさまから投稿いただいたレポートを紹介しています。お問い合わせ・ご連絡は各オーガナイザーさまへお願いします。

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「美味しいごはん、食べてますか?」
10月29日、飛騨の静かな町で、食をテーマにしたグリーンドリンクスが開催されました。酵素玄米をバンズ代わりにしたきんぴらバーガーと、ひえスープ。もうすぐオープンする天井の高いカフェで(実は主催者のお向かいさん)おむすび村によるスローなワークショップと、地元に愛される喫茶店、壱之町珈琲店で食にまつわるトークセッションを行いました。

ひえスープの仕込み中。飛騨では手に入りにくい食材だそうです。
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ワークショップ会場、おむすび村の雰囲気はこんな感じです!
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わたしたちの食事のスタイルは日々変化しており、忙しさにかまけて簡単に済ませてしまうこともあるかと思います。今回はまるで家庭科の授業のようなワークショップで、改めて一緒に作る楽しさ、一緒にごはんを食べる美味しさを体験できました。

みんなでごはんを楽しんだあとは壱之町珈琲店に移動して、アルコールを片手にトークセッション。ここからは「食」にフォーカスした内容で、少し真面目な話も。

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おむすび村、三栖さん、堅田さん
「酵素玄米は古いものに新しいものを混ぜていく。そうすることで、美味しい酵素玄米が炊ける。人も同じで、昔からいる人と新しく来た人が混ざると面白い。おむすび村では、人が熟成し醸し出される場をつくっていきたい。」

ワークショップで余分に作ったひえスープをおすそ分けして、マイクは2組目のゲストへ。「町家を守る」という思いで12年前に壱之町珈琲店を始めた森本さん。主婦だった純子さんは急にお店に立つことになり、最初はコーヒーを出す手が震えていたとか。話を聴いてみると、最初のお客さんは中学生で、彼は大人になった今でも彼女を連れてカレーを食べに来てくれるそうです。古川らしさを感じられるこの空間にいると、時間を忘れてつい長居してしまいます。

森本さん
「町家が駐車場になるのを黙って見ていられなかったから、そこを借りて喫茶店をやろうと思った。自分たちができることをやっとるだけやさ。」

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ゲストトーク最後は、市役所農林部農務課の土田さん。有害鳥獣被害を減らすために最近罠の免許を取得したそうです。市役所の立場ということもあり、あまり迂闊な発言はできないということでしたが、色々と喋っていただきました。

土田さん
「米の消費量が落ち続けているので、国の減反政策で本来の田んぼの4割は作付けされていない。ただ、飛騨市では耕作放棄地を減らすために他作物を作ってもOKな制度を推奨している。」

現在の飛騨市の農家さん事情を伺ったあとは、少しブラックな話、JAと直売所それぞれのメリット・デメリットについてのセッションも。参加者からは、農薬の正しい撒き方を知らないおばあちゃんが原液を畑に撒いた結果、恐ろしいほど綺麗な色の毒アスパラが育ち、全く虫が寄りつかなかったことなどがトピックにあがりました。

「近所のおじいちゃんが作ったから安心安全なのではない。野菜を買うときは作った人を信頼しきれるかどうかも大切。」この言葉の重みで、無人販売所の野菜を買うときも色々と考えてしまいます。

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少し真面目な話をすると、飛騨の食料自給率は74%と、日本全体の自給率から比べると約2倍です。国内の大豆生産量は非常に少ないのに、この町には自分の畑で育てた大豆をオリジナルの味噌にしてくれるこうじ屋さんや、他の米と混ざらないように田んぼごとに毎回分けて精米してくれる米穀屋さんがあります。旬になると容赦なく続く野菜のおすそ分けや、厳しい冬に備えた大量の漬物づくり(人によっては250kgも!)もあたりまえの日常として根づいており、まさに自然に則した食生活といえるのではないでしょうか。

そんなまじめな話も盛りだくさんのgreendrinksHIDAですが、当然飛騨の方はお酒が大好き(vol.1では朝4時まで酒盛り)。壱之町珈琲店のビールが空になったところでトークセッションは終了となりました。このあとは当然明け方コースを覚悟し、三次会ではオーガナイザー白石の住むシェアハウスへ。引き続き食の話、行政の話を肴にいただいたワインや日本酒を次々と空瓶にし、気づけば朝6時過ぎ。飲み始めて約12時間が経過していました。

散々飲んだくれたあとは、同日開催されていた新そば祭り会場へ足を運び、飛騨各地で作られた蕎麦の食べ比べで〆。朝酒、朝蕎麦となんとも粋な(そしてとても長い)グリーンドリンクスとなりました。

greendrinksHIDAは、田舎らしくスローペースで活動中。これからも、地域の方が集いアイデアをシェアできるプラットフォームとして継続していきます。もちろん遠方の方やお酒の飲めない方も大歓迎ですので、飛騨に遊びに来るときはチェックしてみてくださいね。

(オーガナイザー白石 @silaisi)