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【レポート】「世界建築雑誌編集長会議」で、国際的建築雑誌のリーダーたちが建築とメディアの未来を語る!

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2011年9月25日~10月1日、東京で、第24回「世界建築家会議」が開催。世界中から多くの建築家、技術者、研究者らが集まり、建築にまつわる様々なイベントやプログラムが実施されました。その中から、こちらでは、世界の有力な建築雑誌の編集長による「世界建築雑誌編集長会議」の様子をお届けしましょう。

この会議では、世界を代表する建築雑誌である、イタリア誌「DOMUS(ドムス)」、フランス誌「L’ARCHITECTURE D’AUJOURD’HUI」、英国誌「The Architectural Review」、米国誌「Architectural Record」、そして日本の「日経アーキテクチュア」の編集長クラスが一同に会し、各国の建築の動向や各誌の特徴を報告するとともに、今後の建築のあり方と、これを伝える建築メディアの未来について、議論されました。

1: 各誌の取り組み

DOMUS (スピーカー: ロベルト・ザンカン副編集長)

「DOMUS」副編集長ロベルト・ザンカン氏

「DOMUS」副編集長ロベルト・ザンカン氏

「DOMUS」は、1928年創刊のイタリア最古の建築専門誌。イタリア国内の建築だけでなく、国際的な視野から、幅広く事例を紹介している。また、文化や社会の動きと連動させて、建築を採り上げているのも特徴。近年は、紙媒体だけでなく、動画やアーカイブコンテンツなどをウェブサイトに掲載したり、モバイルアプリ版をリリースするなど、総合的なメディアへと発展させている。

L’ARCHITECTURE D’AUJOURD’HUI (スピーカー: Antoine Vernholes編集長)

L'ARCHITECTURE D'AUJOURD'HUI編集長Antoine Vernholes氏

L'ARCHITECTURE D'AUJOURD'HUI編集長Antoine Vernholes氏

「L’ARCHITECTURE D’AUJOURD’HUI」は1930年創刊。建築を“作品”として捉えるのではなく、そのビジョンやアプローチ、プロセスを中心に採り上げている。また、新しい見方・考え方を発信すべく、哲学者や社会学者など、他分野の専門家からのオピニオンも幅広く掲載。紙媒体のほか、公式ウェブサイトでアーカイブコンテンツをデジタル化したり、リアルなイベントを開催するなど、メディアとしての新しい試みにもチャレンジしている。

日経アーキテクチュア (スピーカー: 真部保良編集長)

日経アーキテクチュア編集長・真部保良氏

日経アーキテクチュア編集長・真部保良氏

「日経アーキテクチュア」は1976年創刊。建築を俯瞰する視点と報道的な視点を大切にしている。建築の最先端の潮流を伝えるべく、進行中のプロジェクトを採り上げることも多いが、一方で、「建築後、実際にどのように使われているのか?」というフォロー取材にも積極的に取り組んでいる。紙媒体のほか、ウェブメディア「ケンプランツ」を開設し、アーカイブコンテンツや速報性の高いニュースを配信中。

The Architectural Review (スピーカー: キャサリン・スレッサー編集長)

「Architectural Review」編集長キャサリン・スレッサー氏

「Architectural Review」編集長キャサリン・スレッサー氏

「The Architectural Review」は1896年創刊。建築の新しいトレンドを追いながら、よりよい議論を牽引したいとの考えから、専門的な視点に基づく批評に、力を入れている。

Architectural Record (スピーカー: キャスリーン・マクギガン編集長)

「Architecture Record」編集長キャスリーン・マクギガン氏

「Architecture Record」編集長キャスリーン・マクギガン氏

「Architectural Record」は米国最古の建築専門誌。米国内だけでなく、海外の建築プロジェクトも積極的に採り上げている。主な読者層は、建築家、デザイナー、学生。紙媒体、ウェブサイト、スマートフォン向けアプリ、タブレット端末向けアプリと、マルチメディア化する一方、リアルなイベントも開催している。

2: ディスカッション「今後の建築とメディアの未来」

「世界建築雑誌編集者会議」ディスカッションの様子

「世界建築雑誌編集者会議」ディスカッションの様子

建築は、社会的課題や地球環境、都市問題とも密接にかかわるテーマ。建築は、ますます、社会や都市の課題を解決する有力な手段となっています。ゆえに、建築メディアは、個々の建築プロジェクトを“作品”のように採り上げるのではなく、「どのように造られているのか?」「どのように使われているのか?」という、プロセスを丁寧に伝える必要性が強く指摘されていました。また、各国の事例だけでなく、国際的な視野から、様々なプロジェクトを採り上げることも、より求められるだろうと予想されています。

昨今、社会的課題への意識の高い若者が増えていることから、建築を専攻する大学生など、次世代人材の育成において、建築雑誌が果たすべき役割は大きいと認識。単に最先端の情報を提供するだけでなく、採り上げるテーマの選別、批評や記事のクオリティが、より問われる時代となるだろうと予測しています。

また、各誌とも、従来の紙媒体だけでなく、デジタルメディアによる情報発信にも積極的ですが、「紙媒体とデジタルメディアは共存し、使い分けられていくだろう」というのが、パネラーの一致した見解です。特に、建築は、文字コンテンツのみならず、美しいビジュアルもポイント。この点からも、ウェブサイトだけでなく、紙媒体も不可欠なメディアであり続けるだろうと見ています。

各誌とも、独自のポジショニングやアプローチを採りながら、建築分野の発展のみならず、社会づくり、都市づくりに寄与しています。これらのメディアが、建築家のみならず、デザイナー、起業家など、様々な人々をつなぐプラットフォームとなり、よりよい社会に向けた取り組みが加速していくといいですね。