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花火に“鎮魂”の意味があるって、知ってる?ピカッ!花火で照らせ、被災地の未来 『LIGHT UP NIPPON』

LIGHT UP NIPPONのウェブサイトでは、被災地の人たちのコメント映像なども見られるほか、毎日19時からバーチャル花火大会が行われている

LIGHT UP NIPPONのウェブサイトでは、被災地の人たちのコメント映像なども見られるほか、毎日19時からバーチャル花火大会が行われている

花火に“鎮魂”の意味があるって、知ってる? この時期になると「キ●チョーの夏」というようなフレーズをよく耳にしますが、日本の夏といえば蚊取り線香というより花火ですよね。そんな夏の風物詩・花火は、そもそも灯篭流しなどと同様に、送り盆の時期に魂の鎮魂のために打ち上げられたものだといわれています。

それが時代を経るにしたがって意味や時期を広げていき、現代に至ります。東京最大の規模を誇り、毎年多くのカップルを輩出していると有名な隅田川花火大会も、享保17年(1732)に起こった大飢饉と疫病で亡くなった人々の慰霊と悪病退散を祈って行われた水神祭で打ち上げられた20発の花火を由来としているそうです。そう考えると、花火大会に持ち合わせたちょっとした下心も火花に清められるような気がしますね。

さて、そんな花火で東日本大震災の復興支援をしよう!というのが今回紹介するマイ・プロジェクト「LIGHT UP NIPPON」です。このプロジェクトは、震災の起きた3月11日から5ヶ月後の8月11日に、東北から北関東にかけての太平洋沿岸の複数箇所で一斉に“追悼”と“復興”の花火を打ち上げようというものだそう。ドカンと打ちあがる花火を見ているだけで心がスカッと明るくなりそうですが、それだけにとどまらず被災地の経済までも盛り上げてしまおうという、その企てとは――。

LIGHT UP NIPPON運営事務局の高田佳岳さんにお話をうかがいました。

LIGHT UP NIPPON運営事務局の高田佳岳さん

LIGHT UP NIPPON運営事務局の高田佳岳さん

そもそもの話

東京湾花火大会が中止になるという話を聞いて心底驚いたんです。自粛って、大切な日本の文化や経済はどうなるの、と。それで、勢いですぐに中央区に電話したんです。すると、警備上の問題もあって開催が難しいと言われました。その花火はどこに行くのだろうと思い、今度は東京湾花火大会の花火師を調べて電話をして聞いてみました。「確かに花火自体は余っているけれど・・・」と始まり、花火に鎮魂の意味があることや隅田川花火大会の由来を話してくれて「こんなときこそ花火を上げるべきなんだ」、と。「じゃあ、その花火を東北に持って行きませんか!?」そんなやりとりをしたのがきっかけですね。 「もっと命に関わる援助もできたのではないか」という意見もありましたが、「ぼくらにはそのような活動をやろうと思っても知識もないしよくわからない。楽しんだり感動したりすることは、生きて行く上でとても大切だし、エンターテイメントの世界にいる人間として、“僕らができること”という意味ではこういう支援のやり方は正しいと思ったんです。

※メンバーの多くは広告、メディア、飲食などの業界で働いている

打ち上げや運営は地元に任せる

だからといって、僕らが東京で花火大会のパッケージをつくって押しかけるのって、すごく迷惑な話ですよね。よそ者が突然やってきて一方的に花火を打ち上げて、それに自己満足して帰って行くのって、どうなの?って思う。だから地元で趣旨に賛同してくれる人たちに実行委員をやってもらい、自分たちで運営してもらうのが一番いいなと。 それと同時に津波や原発の影響で地元の人たちには仕事もなくなってしまっている人もいるわけです。花火大会をやればそこに人が集まる訳です。そうしたらおのずとお金が生まれるのではないかと。なにかしら地元の経済の支えになるものでなければならない。そこのさじ加減はすごく気をつけています。 それなので最初は自分たちのことを実行委員と言っていたんですが、それもやめました。実行委員はあくまで現地の人たち。主に商工会議所や青年部の人たちやJCの人たちです。彼ら主体で声をかけてもらい人や街を動かして、屋台を呼んでお祭りにしてもらう。僕たちは資金集めや企画・全体の演出などに対してもちろんサポートをするけれど、あくまで地元の人たちが主役になるように進めたいと思っています。僕たちもみんな仕事をやりながら活動しているので、現地での細かい折衝などを現地の人たちに任せるというのは効率的でもあります。

花火大会は高コスト

一番大きな問題は、やはりお金です。目安としては1か所1,000万円。瓦礫などもありますし、安全に楽しめる場所にするために警備や避難経路の確保など通常より厚く準備する必要があるんです。一口1,000円という、花火を買う程度の金額から寄付ができるようになっているので、もっと広く知ってもらって個人の小さな力をたくさん集めて大きな力に変えたいと思っています。 また、仙台に全会場の花火が一斉に見られるパブリックビューイングできるメイン会場を設けて、音楽とスポーツとファッションのイベントを開催する計画も進んでいます。そういうイベントへの参加やオフィシャルTシャツなどへの広告掲載などで企業からの協賛も集めたいですね。すでに十数社のテレビ取材が入っています。

ここに挙げるのは検討・進行中の案の一部です。
・花火大会は二部構成。 “鎮魂”をテーマにした一部の厳かなオープニングと、“復興”をテーマにした激しい二部を、音楽ライブと連動させて展開!あの大物アーティストにも交渉中
・ラジオのチャンネルをジャック!ラジオで曲を聴きながら遠くからでも花火を楽しめる
・魚を採ることができなくなっている漁師の人たちに船を出してもらい、沖から花火を見るツアー

華やかでツボを押さえ、なおかつ現実的な企画は、さすがの一言。花火と祭りで東北の人たちの心と経済を盛り上げるこの花火大会は、来年以降は東北の一大イベントになっていきそうです。これから夏の予定を立てるなら、東北ひいては日本を明るく照らす花火でドカンと一発、いかがでしょう?

この顔にグッときたら、LIGHT UP NIPPONへ!

この顔にグッときたら、LIGHT UP NIPPONへ!

最新情報や寄付などはこちらから

LIGHT UP NIPPON(ライト・アップ・ニッポン)
開催日時:2011年8月11日(木) 19時スタート予定
開催予定地:山田町 / 岩手県、大槌町 / 岩手県、釡石市 / 岩手県、大船渡市三陸町 / 岩手県、陸前高田市 / 岩手県、いわき市 / 福島県、その他現在調整中(6月1日現在)
寄付先口座:三井住友銀行/赤坂支店(店番号825) 8885881 LIGHT UP NIPPON 実行委員会 実行委員長 高田佳岳
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