“自由”に働くとはどういう事か?これからの理想的な働き方を考える、green drinks Tokyo「これからの働き方」レポート #gdTokyo

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greenz.jpが毎月第2木曜日に開催しているネットワーキングパーティ「green drinks Tokyo」、6月のテーマは「これからの働き方」。

生き方から仕事を探すというこれからの求人サービスを展開している東京仕事百貨の中村健太さん、個人のエンパワーメントをテーマに『未来の仕事』という講義も開講しているソウ・エクスペリエンスの西村琢さんをお迎えして、“働き方”というものがこれから変わっていくのか、それとももうすでに変わりつつあるのか、働く上での「自由」の意味などについて話をうかがいました。当日の様子をレポートでお伝えします!

ちょっと変わったgreen drinks Tokyo

ゲストのおはなしの前に、今回からgreen drinks Tokyoがちょっと変わりました。参加してくれた方にとってもっと意味があるものになるように、みんなが話を聴くだけでなく、話をして帰れるようにしたのです。そのためのひとつの試みが「チェックイン」という時間。ゲストのトークの前に隣の人と何でもいいから5分間会話をしてみるというものです。

これがかなり盛り上がりまして、編集長も「すごい熱気」というくらいに話が弾みました。次回以降もお楽しみに!

熱気ムンムンのチェックイン

熱気ムンムンのチェックイン

変わりつつある働き方

これまでの日本では、いい会社に入って定年まで勤めるというのが典型的な「働き方」でした。しかし、若い人は転職することも多くなり、起業する人もいたり、あるいはプロボノという形でべつの働き方をする人も出てきています。

今回はこのような働き方の変化の中で、自由大学で仕事についての授業を持っている二人のゲストを迎えて、これからどのような働き方をしていきたいか、そしてどうしていけばよいのかについてお話いただきました。

おふたりとも自分の会社を起こして着実に進んでいるだけに、「これからどう働いていけばいいんだろう?」と悩んでいる人がたくさんのヒントを得られるような、そんなgreen drinksになりました。

今回のゲストは?

まずはゲストのプロフィールと、その取り組みをご紹介します。

中村健太さん

greenz/グリーンズ gdt1106 中村健太さん

東京仕事百貨」を運営する株式会社シゴトヒト代表取締役。求人情報を掲載する際には必ず取材をし、記事を書く。そのために全国を飛び回る日々。自由大学では「東京仕事百貨の伝え方」の授業を担当。

西村琢さん

greenz/グリーンズ gdt1106 西村琢さん

ソウエクスペリエンス株式会社代表取締役社長。いい仲間に囲まれて楽しく仕事できているのが何よりだと語る。自由大学では「未来の仕事」という授業を担当。

いい仕事をしている人の共通点とは?

中村さんは仕事百貨でさまざまな仕事をする人と接するなかで、いい仕事をしている人には共通点があると感じたといいます。それは

1.今を楽しんでいる
2.仕事(仕える事)というより自分ごと
3.お金は後で、贈り物をするように仕事を
4.まずは自分の傍らのことから
5.自立していること

だそうです。

その具体的な例のひとつとして仕事百貨で以前とりあげた神山塾をあげます。

この募集は仕事ではなく基金訓練生でしたが、実際にそこで生活している方の感想として、「野菜ももらいすぎて困るくらいでした。今までは何をつくるか考えるところからはじめて、スーパーに買い物に行くのだったけれど、ここは食材ありき。それで何をつくるか考える。」という言葉を紹介します。そして、この神山塾を運営するNPOグリーンバレーの南さんの「若い人は大きいことをはじめてしまって結局うまくいかないことが多い」という言葉も紹介します。

この2つの話に共通するのは、まず目の前のことに集中するということ。料理でも仕事でも目の前にあることをひとつずつ処理していって、そこからモデルが出来上がって行き、広がっていくのです。そうすることで仕事は自分事となり、楽しむこともできると。

そしてまた別の例として、東京のウェブ制作会社の事例を上げます。この会社では「これやったらいいんじゃないか、ということをどんどんやっちゃう」んだそうです。頼まれていなくても「これをやったほうがよくなる」ということがあればやってしまう。そうすることで結果的に依頼も増え、依頼の内容もざっくりとしたものになっていったというのです。

これは「贈り物のように仕事をする」ことの例です。相手が喜ぶようなことを楽しみながらやること、それがいい仕事をするコツなのです。

ウェブ制作会社グラムデザインの募集ページ

ウェブ制作会社グラムデザインの募集ページ

西村さんは仕事百貨ができる前から中村さんと友達で「とにかく仕事百貨を作るといって作ったことを尊敬する」と話します。そんな中村さんも含めて「仕事百貨に載っている人たちはいま興味があることを仕事にしたいと追求しているところが尊敬できる」といい、「自分自身も自分のやりたいことをいい仲間と成り立たせるということに妥協はしていないという自信はある」と話してくれました。

これは、後でお話いただく「自由」ということにも関連しますが、いかに仕事を楽しめるか、「自分ごと」にできるかということです。

働き方は変わってきている?

中村さんは「この断絶された世の中で、仕事も「親が喜ぶ」とか「合コンでもてそう」とかいう一般的な“価値”によって仕事が評価されてきた。けれども、それが自分がどうしたいかに素直になれるようにシフトしてきている。」といいます。

確かに、いまそのような傾向があるように思えます。その理由について西村さんは「インターネットはすごく大きい。人が発信することのコストや招聘がすごく小さくなって、人やお金を集めやすくなった。たとえばこのgreen drinksに150人ものひとが集まるなんて昔は考えられなかった。それによって好きな仕事を始める環境を作りやすくなったんじゃないか」と話します。

実際にソウ・エクスペリエンスもみんなに「いい」と言われてすんなりスタートできたとのこと。でも、西村さんはそれをちょっと後悔しているそうです。それは、「みんなが『いいね』ということはあまりよくなくて、賛否両論ぐらいで、ある程度ぶっ飛んでると思われるくらいのほうが大きく花開く」からだそうで、今後なにかぶっ飛んだ提案をしたいと考えているそうです。

greenz/グリーンズ ソウ・エクスペリエンス

一方の中村さんは仕事百貨を始めるときみんなに「やめとけ」と言われたそうで最初は本当に誰も取材にも応じてくれなかったそうです。でも個人的に自分の直感を信じたほうがうまくいくと考えていて、その直感に従ったんだそうです。

中村さんのように自分の直感を信じて飛び出すというのはなかなか勇気のいることですが、「一般的に価値といわれているものはまやかしだった。ある人にはすごく価値があるものがある人にはまったく価値がないこともある。一般論では語れないというのが大きな変化なのかな」というように、価値が相対化される中で、何が「受ける」かはやってみないとわからないというのは事実です。

他の人が何を言おうと、それもすべてその人の感覚でしかない。自分の感覚を信じるか、他の人の感覚を信じるか、その判断を行うときにも、最初の5原則に戻ってみるといいかもしれません。自分が目の前のことを楽しく贈りものをするように仕事ができるか、どういう結果になるかよりも何ができるかを考えることがどんな仕事ができるかを判断するために必要なことなのかもしれません。

こだわりをもつ

ここでYOSH編集長のお悩み相談。「greenzでいろいろなプロジェクトを紹介していると、たまに何かを作っている人がうらやましくもなる。こつこつと何かをやる職人的な仕事と編集するようなコーディネーター的な仕事と、いっつもいったり来たりしている気がする。」というお悩みです。

中村さんは「やりたいことをやればいいので、どっちでもいい」と答え、西村さんは「広く浅くなりがちなコーディネーター的な仕事をやる中でもどこかでこだわりを持ち続けなければいけないと思うし、何かをスタートさせるときにはそういったこだわりや情熱を持った人がエンジンをかけるひとになる」と答え、その例として広く浅いものの極みというべき食べログの中にも「飯を食う」ことが本当に好きな人がいるということをあげます。

さらにYOSH編集長から「ロールモデルはもつべきか?」という質問が。

これに対して、中村さんは「仕事のボキャブラリーが少ないと自分の物語を語れない。ボキャブラリーを増やすためにロールモデルは必要だ」と答えます。西村さんは「最近矢沢永吉の『成り上がり』を呼んですごく刺激を受けたけれど、遠山さんも尊敬している。でも、PASS THE BUTTONはいったことがなくて、それはすごいのが分かるから行くのが悔しいから。そういう想いが自分の活動の原動力になるという意味ではロールモデルといえるんじゃないか」という答えでした。

これらに共通するのは、仕事に対する「想い」ではないでしょうか。どのような仕事か、どんな人になりたいかという「形」にこだわるのではなく、自分の「想い」をいかに仕事に結びつけ行くかということ、その結果、仕事が「形」になっていくのです。

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自由と理想の働き方

「働き方」というテーマで話をすると、「自由に働きたい」とか「理想の働き方ってなんだろう」という話が必ず出てきます。自由に働けることが理想の働き方の要素の一つであることは間違いないと思いますが、お二人にとって自由とは、そして理想の働き方とはなんなのか、お聞きしました。

中村さんは、以前は自由を「自分中心」のように思っていたのが、今は自分の隣、あるいは自分の目の前のはなしと考えるようになったそうです。これは社会に対して「自由」と考えるとその対立軸として「自分」が出てきて、社会から自由になるためには自己中心的にやりたいことをやるみたいな形になってしまうということではないでしょうか。

そうではなくて、「社会っていうわけのわからないどっかの話から、自分の隣り、自分の目の前」に目を向けると自由というのは自分だけの問題ではなくなるとのことです。
理想の働き方というのも「これがというゴールはなくて、常に変わり続けるから、そっちに行けばいい」とおっしゃいます。

西村さんも理想の働き方について「ゴールがないというのはそのとおり。今は楽しい仲間と楽しいプロジェクトをやっていて、これが自由というのかはわからないけれど、恵まれた環境にいるので何の不満もストレスもない」といいます。さらに、「自由というのは難しい言葉で、しなくていい自由としてもいい自由というのがあって、しなくてもいい自由に甘んじるのではなくて、してもいい自由に関心がある」ということです。

この「自由」について話す中で西村さんがあげた例が非常に分かりやすく興味深かったです。それは、グーテンベルクが活版印刷を発明したときに、これまで手で写本していたものを「手書きで写さなくて良くなったラッキー」という「しなくてもいい自由」ではなくて、「これで聖書を印刷して世界に配ることができるようになる」という「してもいい自由」を選択した人が世界を変えたというおはなしです。

自由に働けるというと「フレックスタイムとか満員電車に乗らなくていい」という「しなくてもいい自由」に話が行きがちですが、本当に大切なのは手に入れた自由で何が出来るのかという「してもいい自由」なのです。

また、中村さんは地方で働くメリットとして、最初に神山の例でもあげていただいたように「お金が無いと生きていけない東京と違って、食べることには苦労しないので働き方が全然違う」と話します。これに対してYOSH編集長は「ベースが安定しているから何を通じて社会と関わりたいかということに集中できるということですね」と応じましたが、これも「してもいい自由」のひとつの例だと言えるでしょう。

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この後、来場者から「上司と部下の関係に悩んでいるが…」という質問がありましたが、これもまた自由に関わる話となりました。

西村さんは「その上司にもいいところがあって、そういうのが見えると関係が良くなるんじゃないか」と答えましたが、中村さんは「まず全部受け入れてみるといい」と答えました。これについて「独立している人でも、まずやるべきことをやると、自由に出来る部分が増えてくる。それは会社でも同じではないか」と話します。最初のウェブ制作会社の例のように、やるべき事をやってその上でプラスアルファ何かをやると、そこから「してもいい自由」が生まれてくるはずだということなのです。

これは中村さんが上げた5つの原則の1つ「贈り物のように仕事をする」にも通じることです。「これからの働き方」をどうするか、そのカギは目の前のことに集中し、贈り物のように仕事をする、それによって得た「してもいい自由」でどのように社会と関わっていくかを考える、ということなのではないでしょうか。

今回からトークのあと、会場入口でみなさんに模造紙に感想を書いていただくという試みもスタート。なんか色とりどりで寄せ書きみたいで楽しいですね!

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