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GNPでもGNHでもなく“GAH”。荒川区民の幸福度を図る指標、「グロスアラカワハピネス」って知ってる?

Some Rights Reserved, photo by CLF

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みなさんGNPはご存知ですよね。Gross National Product(国民総生産)です。では、GNHはご存知ですか?greenzの読者なら知っている方も多いかもしれませんが、これはGross National Happiness(国民幸福度)で、ブータンが提唱している国民の幸福度を図る指標です。では、GAHは? … … まあほとんど知っている人はいないでしょうが、これは「Gross Arawaka Happiness」なのです!なんじゃそりゃ?

Gross Arakawa Happiness、日本語で言うと「荒川区民総幸福度」とは、もちろんGNHをもじったもので、荒川区自治総合研究所が2008年から提唱している荒川区民の幸福度を図る指標なのです。

「なんだそんなふざけたことやって」と思うかもしれませんが、やっている方は実に大真面目で、2011年5月までに35回のワーキンググループを実施、2010年には『あたたかい地域社会を築くための指標―荒川区民総幸福度(グロス・アラカワ・ハッピネス:GAH)―』という書籍も発行しているのです。

ワーキング・グループは、荒川区の若手職員を中心に事務職、保健師、保育士、土木職、建築職など様々な約10人で構成、客員研究員として阿久戸光晴聖学院大学学長、坂田一郎東京大学教授といった学識経験者も参加しています。

調査研究の目的は「幸福概念の構築」「世論調査等の過去のデータの解析」「荒川区の幸福度指標の検討」の3つ、まだ研究段階なので、GAHの具体的な値は出てきていませんが、区世論調査の結果を受けて、GAHを向上させるための具体的な施策もすでに行われています。

その一つが「あらかわ満点メニュー」です。これは、世論調査で幸福の条件として「健康であること」が9割以上で1位となったこと、そして外食する機会の多い働き盛り世代に生活習慣病が多いことから、区内の飲食店で健康に配慮したメニューを提供しようと考えられたものなのです。

このグロスアラカワハピネスが素晴らしいのは、なによりも区という「ローカル」な単位で行われているということです。ブータンが国家としてGNHを掲げることができたのは国が小さく、人口も少ない(約70万人)ので、人々の「幸福度」が把握しやすかったからです。これを日本でやろうとしてもおそらく不可能です。でも、荒川区という小さな単位(人口約20万人)なら、「働き盛り世代に生活習慣病が多い」というような問題点を見つけ、それに対する施策を行うことができるのです。

ブータンのGNHは国家の価値を図る指標として経済以外のものがありうるということを示してくれましたが、そのような眼に見えないものを具体的な指標にするためには

実際にGAHが軌道に乗って、その数値が急上昇するようなことがあったら、荒川区は住みよい街になり、人々が集まり、経済活動も活発になるはずです。そもそも経済的な価値を上げるのは人々が豊かになり幸福になるためだったはず、それが今では経済的には豊かになっても格差が生まれ、全体の幸福度は必ずしも上がらなくなってしまっています。それならば最初から幸福度を上げることを目標とすればいいし、そうすることによって結果的に経済的にも豊かになるのです。

ローカリゼーションという概念が注目される今、この荒川区の取組は日本中の、いや世界中の自治体が注目すべきものなのではないでしょうか? 数年後にはGSH(グロスセタガヤハピネス)とかGBH(グロスブンキョウハピネス)も生まれ、その数値が高い区の人口が増えるなんてことが起きるかもしれませんよ!