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高知の天然資源はニッポンイチ!あらゆる産業に活用できる“84はちよん”ブランドとは?

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日本で一番森林率の高い県を知っていますか?答えは高知県。森林率はなんと84%もあります。日本は世界で森林率第2位の国。その中でニッポンイチなのだから、高知の人々はもっと誇りに思ってもいいのでは?と、84%の数字を使って高知県をブランド化する動きが始まりました。

“84はちよん”プロジェクトは、高知産の食材や加工品、木材などをアピールする手段であり、同時に高知の大切な財産である森林を守ろうというメッセージでもあります。

高知県の広大な森林は「CO2を吸収する巨大な装置」

高知県は「山と川と海しかない」と地元の人が口にするほど、一次産業に頼る地域。
県内総生産は全国でも下から2番目、製造品出荷額は47位と最下位で、経済的にはなかなか厳しい状況にあります。そんな高知県が自慢できるのは天然資源が豊富なこと。

“84はちよん”プロジェクトでは、高知の広大な森林を「CO2を吸収する巨大な装置」と見立てました。温暖化が進み、CO2削減や自然環境保全が叫ばれる世の中、これはひとつの大きな価値になります。
また、森林が多いことは川や海など「水」の恩恵も多いということ。森が元気であれば、川や海に住む生き物、自然からの恵みも豊富です。

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そんな背景から“84はちよん”プロジェクトでは、一次産業の価値を高めるために“84はちよん”ブランドを作り、あらゆる産業に活用しようと考えました。“森を大切にしよう”というメッセージとともに、高知の商品やサービスを活性化しようという試みです。

“84はちよん”への関わり方はさまざま。原則として「高知県でとれた材木(84材)、農畜産水産物(84食材)、加工食品(84食品)に関わること」という基準がありますが、ビジョンがあえばどんなものでも“84はちよん”ロゴを使うことができます。(判断が難しいものは84会議で協議されます。)

▼CO2のカンヅメ
 一番初めに形になったのは、高知の木で家具をデザインしてきた木星会の川村純史さんが作った「CO2のカンヅメ」。一見長さ15cmほどのただの丸太ですが、制作者の川村さんにはこの丸太に込めた思いがありました。

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木はCO2を吸収して中に固定しています。つまり、木が沢山あることは温暖化対策のCO2の吸収に貢献できるということ。このことを言葉だけでなく、子どもたちに木に手で触れてもらってリアルに感じてほしい。丸太の周りには、酸素と二酸化炭素の仕組みを解説したラベルがぐるりと貼ってあり、川村さんはこの木のカンヅメを環境教育の教材に役立てられないかと考えています。

▼84はちよん作業服
 高知県の人々がもっと日本一の「84%」を意識できたら、森を誇らしく思い大切にするのではと考えてつくられたのは、山師のためのユニホーム。山で働く男たちの背中に「84」が入っていれば、自然とこんな会話も生まれるだろうと、梅原真さんは著書に書いています。

山仕事をするオヤジに「その数字はなんですかぁ~」と聞く。オヤジは振り返り「高知の森は日本一の84はちよんヨ!知っちょきや~」と答える。ユニホームに84を入れるだけでオヤジは元気になる。(『ニッポンの風景をつくりなおせ』より)

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▼84ジカのジビエ料理を出すレストラン
帯屋町のフレンチレストラン「三木ドゥーブル」では“84はちよんジカ”を使ったジビエ料理を出しています。ジビエ料理とは狩猟によって捕獲された野生の鳥獣を食材とした料理のこと。あまり知られていませんが、高知県ではシカが多く出てシカ害で困っているのだとか。シカを使った料理はもともとメニューにあったものですが、“84はちよん”のビジョンに共感したシェフが84の名をつけました。

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もともと人気商品だった四万十ひのき風呂の芳香剤にも“84はちよん”ロゴの入ったものが作られたり、目下検討中の“84のイエ”、“84カフェ”、“84デスクキット”など、構想は沢山。利益が上がったもののみ、数パーセントのマージンを84プロジェクトに納めてもらい、84の運営費や森林の整備に使われる仕組みです。

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地元の人間がやらんと意味がない

このプロジェクトの言い出しっぺは、高知県在住のデザイナー梅原真さん。四万十川新聞バッグの記事でも紹介した有名な方ですが、今回のプロジェクトには立ち上げから地元の多くの人々が集って始まりました。発起人には、木工職人、NPO活動家、百姓、地方企業家、公務員、写真家などさまざまな職種の方が名を連ねます。

梅原さんは当初からこれは一人でやることじゃないと言っていました。(梅原さんが)自分ひとりでやったものやったら意味がないということやったんじゃないかと思います。今回のプロジェクトは、高知の地元の人たちが自分たちの持っているものの価値に気付いて、守っていこうとする気持ちがベースにないと成り立たんから。

“84はちよんプロジェクト”事務局長の兼松さんはこう言います。この取り組みは、4月からNPO化されて事務局を主体に運営されることになっています。
今は発起人たちそれぞれが形にできることを検討していますが、随時“84プロジェクト”を考えて形にしてくれる人を募集中。
毎年8月4日には「はちよんの日」として集会が行われており、誰でも参加できます。2009年の第1回目には、発起人や賛同者を中心に決起集会が行われ、昨年2010年には「84の森づくり」をテーマに森に関わる人々のトークセッションを行いました。

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“84はちよん”がユニークなのは、一商品やサービスのブランディングに留まらず、「高知県の誇れることを皆で守ろう」というメッセージが暗に込められていることにあります。

地元の共有財産というんかな。高知の人たちにとって今本当に大切な財産は何かを考えて皆で守ろうやということ。いわばホンモノの社会活動じゃないかと思うてるんです。

終始のんびり話されていた兼松さんの声に少し熱がこもりました。
自分たちが持っているものを見直して新たな価値を見出すこと。その価値を世界にアピールしていこうという新しい“84はちよん”の風が吹き始めています。

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