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「すべての人が「声」を持つには?」「人工衛星買えばいいんじゃん?」というプロジェクト

greenz/グリーンズ HumanRight ss2

アメリカのNPO、Human Rightsは、情報へのアクセスを基本的人権と考えて、世界中のすべての人がインターネットにアクセスできるようにしようという活動をしています。でも、パプアニューギニアやアフリカにインフラを整備するのは容易なことではありません。そんなときにお手ごろの価格で人工衛星が売り出されるという情報が! Human Rightsはその人工衛星を使おうと考えるのですが…

人工衛星というと国家プロジェクトで打ち上げるものの印象が強いですが、少し前に大阪の中小企業が共同で「まいど1号」なる人工衛星を打ち上げて話題になったように、民間で打ち上げられる衛星も結構あります。

そんな衛星のひとつがTerraStar-1、TerraCorporationが2009年に打ち上げた通信衛星で、より高速の通信ネットワークを北米に提供するサービスのために打ち上げられました。しかし、このTerraCorporationは2010年に破綻、連邦破産法11章(日本の会社更生法のようなもの)の適用を受けることになってしまいました。そして、再建のためTerraStar-1は売りに出されることになったのです。

greenz/グリーンズ TerreStar-1

その衛星に目をつけたのが、NPO「Human Rights」でした。世界中のすべての人が情報を手にできるよう活動するHuman Rightsは、この衛星を使えばパプアニューギニアなどインターネットに接続するためのインフラが整備されていない地域の人々がインターネットを使えるようになるのではないか?と考えたのです。

しかし、問題はその資金、衛星の売却価格がいくらになるかはまだ不明ですが、TerraCorporationの負債総額は7500万ドル、2000年に同様に所有会社が破綻して売りに出された衛星の価格は2300万ドルだったことを考えると、数千万ドルになると考えるのが妥当でしょう。

それだけの資金をNPOが集めるのはほぼ不可能なので、Human Rightsは自己資金として15万ドルをまず集め、それを基にさらに大きな基金を設立して衛星を購入するという計画を建てました。そして、現在はその15万ドルの資金を集めるために「Buy This Satellite」というファンドを募集しています。

「人工衛星を買ってまでパプアニューギニアにインターネットを整備する必要があるの?」と思う人も多いかもしれません。そんな方はちょっとこのHuman Rightsがホームページに掲げているメッセージを読んでみてください。

これが読めるあなたはラッキーだ

情報へにアクセスできることはすべての人が持つべき権利だ

私たちは世界のどこからでもタダで利用できるネットワークを作りたい

想像してみよう、地球上の誰もが「声」を持った未来を

キーワードとなるのは「声」です。声なき人(サバルタン)の問題についてはこれまでも議論がなされてきましたが、ここ数年のソーシャルネットワークの発達がそのサバルタンに声を与え始め、この問題がさらに脚光を浴びるようになりました。ソーシャルネットワーク/ソーシャルメディアはこれまでマスコミや権力に独占されてきた「声」をすべての人に解放しました。

これまではせいぜい自分の周りの人にしか自分の「声」を伝えることができなかった人たちが、世界に向けて語れるようになったのです。特に危機にある人々(たとえば天災の被害者)や虐げられている人々(たとえばアラブの女性)にとってそれは大きな力になります。

しかし、それをできるのもソーシャルネットワークという手段を手にできる人たちだけ。Human Rightsによると、世界でインターネットにアクセスできるのは全人口のわずか30%だそうです。残りの70%の人々の中のサバルタンは未だ声を持つことができていません。

それを人工衛星を買うことで実現してしまおうというのがHuman Rightsのこのプロジェクトなのです。この記事を読んでいるあなたはもちろんインターネットを使える恵まれた人、そしてほとんどの方はソーシャルメディアという「声」も持っているのではないでしょうか?

その手段を手にすることができない人たちのことを想像してみてください。「ちょっと衛星買ってみようかなぁ」と思いませんか?

greenz/グリーンズ HumanRight SS2

人工衛星に出資しよう!