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世界一受けてよかった!「みずのがっこう」×「green drinks Tokyo」コラボ授業レポート

greenz/グリーンズ gdTokyo

毎月第2木曜日にgreenzが開催しているエコ飲み会「green drinks Tokyo」。10月はイレギュラーなスケジュールとなり、10月18日(月)に開催しました。今回のテーマは『みずのがっこうで世界の水問題を解決しよう!』Think the Earthプロジェクトが展開している「みずのがっこう」とのコラボレーションで特別授業を開催しました。

会場には続々と駆けつけた生徒たちの姿が。さっそく先生たちに登場していただきましょう!

ゲスト(先生)紹介

今回のトークゲストは「みずのがっこう」に関わるお二人です。

橋本淳司さん(水ジャーナリスト)

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世界各地で取材した水辺のルポやエッセイを発表するほか、全国の学校で「水の授業」を行っている橋本さん。「みずのがっこう」には副校長先生として参加し、水の大切さを分かりやすく解説する様々な授業を行っていらっしゃいます。

橋本さんの自己紹介で印象的だったのは、「浄水場を巡って歩いた」というエピソード。その珍しい趣味が高じて(?)世界に足を延ばし、衛生面で数々の問題を抱えた開発途上国の現状など、世界中の「水辺」を見て回った経験の持ち主です。最近では、環境に対する意識に変化が見られる中国でも水について伝える人「節約リーダー」を育てる授業を行うなど、多方面で活躍されています。

風間美穂さん(Think the Earthプロジェクト)

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デザインやクリエイティブの力で、社会問題に関心を持ってもらうきっかけ作りを行っているThink the Earthプロジェクト。風間さんは、水問題を考える学びのプラットフォーム「みずのがっこう」を担当されています。

“世界一受けたい…”風に。授業スタート!

そんな「みず」でつながったおふたりを交えた今回のトークは、『世界一受けたい○○』風に、会場とのやりとりから始まりました。まず最初のQ&Aはこちら。

Q:水問題っていったい何?

A1:途上国の子ども達が水の汚染によりいのちを落としていること。
A2:砂漠など、水が足りない場所があること。
A3:気候変動により海流が変わり、日本でも雨の流れが変わっていること。

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こんな基本的な質問ですが、回答はご覧のとおり、三者三様。これらの水問題のつながりについて、橋本さんはマインドマップで説明してくれました。

「MIND MAPで水問題を考える」

「MIND MAPで水問題を考える」

橋本さんは、企業の排水問題も、家庭における節水の問題も、

すべての問題は大きく見ると、つながっている

と言います。たとえば日本には馴染みがない国際河川は、当然のことながら上流地域の汚染が下流につながります。そしてさらに、その地域から食料を輸入している日本へも影響します。その他にも、中国の河川の汚染物質が日本において酸性雨の原因となる、など、ひとつしかない地球の水は、世界中のあらゆる場所で、(概念としてではなく、本当に)密接につながっていることが分かるのです。

続いて第2問。

Q:今日、何に水を使いましたか?

A1:手洗い
A2:電車の車両を洗う水
A3:食器を洗った
A4:ごはんを作った、お茶を入れた

私たちの生活には、あらゆる場面で水が必要です。東京都で1日に使われている水の量は、1人1日約250リットル。一般的にサステナブルな水の使用量として「1日50リットル」と言う指標がありますが、橋本先生によると、これは、トイレ5回分、水道なら5分、シャワーでも5分程度で使い切ってしまう量だそうです。

「もし1日50リットルで水が止まってしまったら?」と考えると、私たちは本当に暮らしていけるのでしょうか?普段見えていない水の使用量。このようにリアルに可視化されると、私たちは驚くべき事実に気付かされます。

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水道や下水の設備が当然の世界に住み、ミネラルウォーターの水質にまでこだわる私たち。一方で、汚れた水を飲むしかない環境に住む開発途上国の子どもたちが実際に存在します。各国であまりにも違う、でもつながっている水事情。橋本さんが紹介してくれたこれらの背景を踏まえ、greenzが行ったあの試みへとトークは進んでいきます。

「Blabo!」で発見!上手に水を扱うためのアイデア

“あの試み”とは、ツイッターを活用したディスカッションで企業やNPOの課題を解決するオンラインプラットフォーム「Blabo!」で行った「みずのがっこう」のオンライン特別授業のこと。『みずのがっこうの相談室』と題して14日間に渡って開催されたオンライン会議では、こちらの記事で紹介したとおり、上手に水を扱うためのグッドアイデアがたくさん誕生しました。

中でも橋本さんを唸らせたのは次の2つのアイデア。直筆の“脱力系(?)”イラストで紹介してくださいました。

Q Drumを使いやすくするアイデア

Qドラムを改良せず、インフラをQドラム用に整備するという発想の転換!

まず、最も盛り上がったのが、「Q Drum」についての議論。「Q Drum」は、清潔な水を手に入れるため、何キロも歩いて水を運ばなくてはならない途上国において、一度に大量の水を、安全かつ簡単に運べるようデザインされた道具。

この優れた道具にも「湿地では使えない」という欠点があることが判明し、これに対する改良アイデアがディスカッションされる中で、

すいません。Qドラム用の道(溝みたいな)を整備すれば、女性や子供でも扱える範囲でQドラム型をもっと大型化する事できるんじゃないでしょうか?
@7tune7さん(この日もご来場いただきました!)のアイデア

という画期的なアイデアが生まれました。道具ではなくインフラ側を変えてしまうというこの発想はスゴいですよね。個性溢れる知恵が集結したからこそ生まれたアイデアと言えるでしょう。

ヴァーチャルウォーターを可視化するスマートフォンアプリ

そしてもうひとつ、橋本画伯を唸らせたアイデアがコチラ。
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iphoneやアンドロイドアプリで商品を見るとARでヴァーチャルウォーターの量が見えるようにしたらどうだろう
@SUSTAINABLUE_さんのアイデア

ヴァーチャルウォーター、つまり、その食べ物を作るのに必要とされる水の推定量を、アプリという身近な形式で可視化するこのアイデア。「自分がどれだけ水を食べたか」が分かれば、食べ物を選ぶ基準も変わるかもしれません。スマートフォンアプリという、遊び感覚も取り入れたところがグッドです。

橋本さんは当初、140文字でディスカッションができるのか心配していたとのことですが、「完璧にできましたね!」とこれらのアイデアを絶賛。140文字が生む新たな可能性を実感した14日間だったようです。

今後に活かしていくには?

橋本さんに意外な絵の才能を披露いただいたところで、話はこうして生まれたグッドアイデアを活かしていく方法論へと展開していきます。

アイデアや、それに対する反応をループに乗せることまでは、「Blabo!」で実現できました。あとは「こまりごと」をループに乗せることが必要です。「こまりごと」と「アイデア」がループに乗ってマッチングしたときに解決が生まれ、また新たな問題が発生したらループに乗せる。この循環(ソリューション・ループ)で社会問題が解決できる可能性を感じています。(橋本さん)

橋本さんによると、「水問題に関して、絶望的になっている人が多い」とのことですが、こういった仕組みが機能することで、それぞれの人がそれぞれの立場から関わり方を見つけて参加していけば、解決の扉は開いていくのかもしれません。

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デザイナーも、プランナーも、SEも、学生も、主婦も。様々な立場の方が社会問題に対し関心を持ち、この“ソリューションループ”に参加すること。その意識改革が今、最も必要とされているのです。

「みずのがっこう」校長先生の沖大幹さん

「みずのがっこう」校長先生の沖大幹さん

会場も全員参加型で行われた「みずのがっこう」最終授業は、アットホームな雰囲気の中、校長先生の沖大幹さんの挨拶をもって終了しました。

ご参加いただいたみなさん、本当にありがとうございました。これから社会問題のソリューションループに乗ること、そして、それを伝え広めていくこと。これが、「みずのがっこう」を修了した私たちの役目ですね!

Ustream映像

flickrスライドショー

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