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ここでしか見られない難民の物語を見逃すな!「難民映画祭」全作品無料上映!

『チルドレン・オブ・ウォー』 ©Peregrine Pictures

『チルドレン・オブ・ウォー』 ©Peregrine Pictures

いつまでも内戦や紛争の絶えない世界、今も世界のどこかで数多くの難民が生まれ、厳しいキャンプ生活を強いられ、未来の見えない生活を送っている。そんな難民の保護と支援を行う国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が2006年から行っている「難民映画祭」が今年も行われます。第三国定住制度による難民の受入れを初めて行ったばかりの日本で、難民にまつわるさまざまな物語を扱った映画を無料で上映するこの映画祭は、今の世界について考える人なら絶対に行くべき映画祭なのです。

今年で5回目を迎えるこの映画祭、私が初めて足を運んだのは2007年のことでしたが、そのときに見た『戦争の子供』という映画が忘れられません。この映画はボスニア内戦で離れ離れになってしまった母娘を巡るドラマだったのですが、廃墟の風景や「レイプ収容所」と呼ばれた収容所の記憶が語られる場面などが頭にこびりついています。戦争によって悲惨な経験をした人の物語は、生々しい戦争の映像よりむしろ戦争の悲惨さを伝えるのではないでしょうか。そのような意味で「難民」という戦争が生み出してしまった悲劇を巡る物語というのは、たとえそれがドラマ(=フィクション)であっても、戦争の真実をあまねく伝えるものとなるのだと思います。

© 2006 SHINE GLOBAL, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

『ウォーダンス』 © 2006 SHINE GLOBAL, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

今回もそのような心の琴線に触れるような映画が目白押しの「難民映画祭」、今回は東京のみならず、神奈川、埼玉、福岡、北海道、兵庫、郡馬でも上映が行われます。どの作品も注目ですが、「希望映画祭」の記事でも紹介した必見のドキュメンタリー映画『ウォーダンス』が日比谷公園で行われる「グローバルフェスタ JAPAN 2010」で野外上映されるのも注目です。難民キャンプの小学校の生徒達が全国音楽大会を目指すこの映画を屋外で見ることができるというのはまたとない機会になると思います。『ウォーダンス』と同じくアフリカの元少年兵を扱ったドキュメンタリーで日本発上映となる『チルドレン・オブ・ウォー』も併せて観たいところです。

また、新たな難民として今後増加の恐れがささやかれる「環境難民」を扱った『クライメート・レフュジーズ-環境難民-』も注目です。気候変動によって人間の生活はどう変わってしまうのか、ぜひこの目で確かめてみたいと思います。

©2009 Image Bearer Pictures, LLC.

『和解の時』 ©2009 Image Bearer Pictures, LLC.

そして、個人的に非常に注目しているのは『和解の時』というドキュメンタリー映画。この作品は1994年にルワンダで起きた大量虐殺にまつわる物語。ルワンダ政府はこの虐殺の5万人以上の加害者を出身地へと解放したそうです。この作品はその事実を、虐殺を生き延びた被害者の目から検証するというもの。内容は作品を見てみないとわからないわけですが、加害者を「赦す」ということが問題になってくるようです。

イン・マイ・カントリー [DVD]

同じように被害者が加害者を「赦し」、共生の道を探るという営為はアパルトヘイトが廃止された南アフリカでも真実和解委員会という組織を通して行われ、その様子はサミュエル・L・ジャクソンとジュリエット・ビノシュが主演した『イン・マイ・カントリー』という映画でも描かれました。

この作品が扱うテーマは非常に深いものです。戦争のような状況の中で人権侵害を犯した加害者の多くは、上官の命令や、洗脳にも近い偏った価値観によって加害者となっています。そのような加害者にどう償わせるのか、あるいは赦すのか、それはおそらく決して答えの出ない問題だと思います。しかし、そのような事態に対処しなければならなくなってしまった国や人々は何らかの対処を行わなければならず、『和解の時』が描くのはそのひとつの対処法を巡って人々が何を思うのかということだということになります。

どの作品を観ても、きっと未来への課題を突きつけられるこの映画祭、ぜひ足を運んでその目で世界の現実を目にしてください。

第5回UNHCR難民映画祭
【首都圏版】
■会期
10月1日(金)~10月10日(日)
■会場
イタリア文化会館(東京)、セルバンテス文化センター(東京)、ワーナー・マイカル・シネマズ浦和美園(埼玉)、ワーナー・マイカル・シネマズみなとみらい(神奈川)、イオンシネマ越谷レイクタウン(埼玉)
【全国版】
■会期
10月15 (金)、16(土)、22(金)、23(土)、29(金)、30(土)
■会場
ワーナー・マイカル・シネマズ江別(北海道)、イオンシネマ高崎(群馬)、イオンシネマ越谷レイクタウン(埼玉)、ワーナー・マイカル・シネマズ 福岡ルクル(福岡)、ワーナー・マイカル・シネマズ三田ウッディータウン(兵庫)、ワーナー・マイカル・シネマズ港北ニュータウン(神奈川)

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